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そして『器』を奪われた俺  作者: 深爪 みなみ


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ep.10 エテルナケア①

少し朝霧のかかる森。

忙しく動き出す行商人。

少し顔を上げると陽の光が眩しく感じる。


ここ、シブルクの街の冒険者ギルド。

そこにギルド旗が掲げられる。

商店で言うところの開店といったところか。



とはいえ、ここは冒険者ギルド、もちろん夜間にクエストを行っている冒険者もいるわけだ。

よってギルドには必ず1人は常駐している。

まぁ、俗に言うところの夜勤とでも言えばよいか。


ギルド旗が掲げられるということは

その者にとっての終業なわけだ。

ご苦労さまです。





同時に2人の者が姿を現す。



昨日あんなことがあったのだ。

疲れた顔を見せるのも無理はない。


と、思いきや。

どこかスッキリとした晴れやかな顔をしているリリィ。

対照的にどこか浮かない表情を浮かべるダウラ。どうやら首の辺りを気にしている様子だ。

頷きすぎだ。





「お、お、おはよう、、、ござ、、

ごさ、、、います」


ぺこりとお辞儀をする。リリィ。



そこへ駆け寄る1人の女性。


「リリィちゃん、昨日は大丈夫だった?

何にもされなかった?」


シュナだ。

少し早めに出勤していたようだ。

どうやら昨日ギルド長室へ呼び出されたことを心配して駆け寄ってきたみたいだ。



??いや、本当に心配しているのか?




シュナは言葉とは裏腹に

リリィをまるでぬいぐるみを扱うがごとく

わしゃわしゃと愛でている。

余程お気に入りなのであろう。





そしてもう1つわかった事がある。

昨夜の帰り道、宿に向かうリリィとダウラの会話でそれは判明した。


このリリィ。見たところ16歳前後といった所と思っていたのだが、実年齢を聞いてダウラは驚いた。

22歳だと言うではないか。



とても幼く見える。

背丈や喋り口調がそうさせているのだろうか。



故に、その幼く見える見た目がコンプレックスと感じることもあるのだとか。




そんな彼女らのやり取りを一通りみたダウラは少し微笑みを見せた。そのような表情もするのだな。

一礼をした後、クエストボードの方へ歩みを進める。


クエストボードには様々な依頼が貼られている。




Dランク依頼 ゴイモ谷でのウルフ討伐


Fランク依頼 カナデばぁさん家の猫探し


Bランク依頼 王都へ向かう貴族護衛




100を超える依頼書が張り出されている。

クエストボードとは、、もはやボード内に収まりがつかず壁1面がクエストボードと化している。



その中のひとつの依頼書がダウラの目に留まる。

声1つ出さずにその依頼書をじっと見つめていた。

依頼書とともに手配書も添付されているようだった。


その姿を見た者が書いたのか。

はたまた、見たものが描けるものに伝えたのか。


顔はハッキリとは描かれてはいない。

背中には黒い翼のような物が生えている。

ローブを着て振り向く女性。

いや、果たして女性なのか。

依頼書の文字を見た固定概念なのかもしれない。





Sランク依頼 忘却の魔女 討伐





ダウラは忘却の魔女の依頼書のことを聞くべくシュナの方へと歩みを進める。

今はまだ動き出すことのないダウラの物語なのかもしれない。



時の流れが止まることはない。


次第にギルド内は人で溢れ

クエストボードには人集り。

受付カウンターには多少の列が出来ていた。



しばらくして。


段々と各々に行動を始める。



クエストに向かう者。

装備品の手入れのために武具屋へ足を運ぶ者。

ギルド内の食事処で軽めの朝食を取る者。




しかし時が止まることはない。

ギルド内もこの時間になれば人で賑わいを見せていることもなく少し閑散としている。


陽が登りきるであろう頃合。


木々からの木漏れ日が、時の流れを少しだけ緩めてくれる。そんな気がする午前の終わり。



ようやく2人がギルドに姿を現す。


「待たせたな。ダウラ。」


「おはようございます。ヒイラギ様。」


続けてあのデカイ声が響く。


「おはよぉ!」

「おーい、リリィ、ダウラぁ

ちょっと俺の部屋までいいかぁ?」


コクリと頷く2人。



「あー、あと、それとぉ、

シュナぁ。お前も来てくれぇ。」


なぜ自分が呼ばれるのかと不思議でならないシュナ。



昨晩から今までヒイラギとヴァルカスが何を話したのか。

ヒイラギは全てを打ち明けたのか。

ヴァルカスはどう捉え、どう解釈をしたのか。


それは2人にしかわからない時間。

恐らく今後、語られることの無いであろう一夜。

2人しか知らない。それで良いのかもしれない。





こうしてヴァルカスの部屋に集まった5人。


ヴァルカス、リリィ、シュナ。


向かってヒイラギ、ダウラと席につく。



全てを話すわけではない。

いや、全てを話せる訳がない。

しかしながら要点だけは抑えつつ

ヴァルカスがシュナに説明をする。


間に挟まれたリリィは

照れたり、ムスッとしたり。


なんともまぁ、昨日のリリィと大違いではないか。何がが吹っ切れたかのごとく感情が豊かではないか。



一通り話し終えた所でヒイラギが口を開く。


「リリィ。昨日はどうだった?」


少しハニカミ、照れくさい表情のリリィに続ける。


「色々考えたであろう。

今、全てを話せとは言わない。」

「それは後ほどゆっくり聞くとでもしよう。」

「お前は、リリィはどうしたい?」

「それだけを聞かせろ。」




昨夜、リリィとリリィがどのような会話を織り成したのであろう。

どのようにして答えを導き出したのであろう。

それもまた、2人しか知らない。

それで良いのかもしれない。



大きく息を吸い、ごくりと唾を飲むリリィ。

ヒイラギの口ぶりに驚きを隠せないが、それよりもリリィがと、不安な表情で見つめるシュナ。

今日はあんまり頷かないダウラ。




「わ、わ、、、、わたし、、、」




「、わ、、わたし、、は、、、、」




「ぼ、、、、」




「ぼ、、、、」







「冒険者になりたい!、、、、です。」



顔を真っ赤にして両手で顔を覆いかくす。

照れているのか、泣いているのか、

はたまた別の感情なのか。


この回答が分かっていた。

そんな表情を浮かべるヒイラギとヴァルカス。


大きく一つだけ頷くダウラ。



「リリィ。我と共に来い。」



コクっ。



時というものは止められない。

止まっていたリリィの時。


いや、他の人よりも少しだけ進む速度が遅いせいか、止まっていた様に見えていただけ。




そんなリリィの時が加速して動き出す。

読んでいただきありがとうございます。


感想やレビューもらえると


めちゃくちゃ喜びます。


拝読いただきありがとうございました。


では、また次回。

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