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捨てる神に拾う神  作者: たま


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6/12

6

確かに任侠の世界なんて今時の子は憧れない。コアな少女漫画では人気だが、それは物語の中だけで現実でちゃんと恋愛結婚する子はヤクザに嫁入りしたくは無い。海斗君のお母さんも実家から絶縁されてるし。

実彩子は仕事で20歳から国会事務として16年のキャリアがあるし実家と言っても母だけだ。嫁入りの発想は微塵もない。

1人の社会人なだけだ。

もし、海斗がやはり継ぐと言えば速攻で離婚するだけだ。仕事1番の人間なのだ。

その上、苗字も変えなくて良いのは仕事上助かる。

戸籍が親元にあれば公務員は問題だが、結婚して新戸籍を2人で作ったので全く問題ない。

この形なら実彩子も戦える。

元彼のゴミは、この実彩子の生きる姿勢も目障りだったみたいだ。実の母ですら女だと言うだけで格下に扱うので、父親に俺の嫁なんだぞ!と注意されたそうだ。

実彩子は冷笑して受け流してたが…

今、思えば親にも会わせなかったし弟達すら会わせなかった。結婚の話をしてたくせに…

実彩子自身が、彼氏を心の中でバカにしていた気がする。でも彼氏だから、どんだけ高卒だ低脳だと言われても受け流してただけで…

本当に彼氏が結婚しょうと言ったら、母や弟に会わせられたのかな?と疑問がわく。

母なんか露骨に顔に出るタイプだし絶対無理だ!

海斗の顔を見る。

母は親の仕事なんか拘らないだろう。

それより本人だ。海斗の事は何も知らないが、その受け答えで母に小バカにされる事は無いだろう。

弟達にも安心して会わせられる。システムエンジニアやってる末っ子より年下だが、海斗の方が大人っぽい。

「どうしたんですか?」実彩子がジッと海斗の顔見てるので聞かれる。

「ううん、どうする?両方の親と顔合わせする?後になったけど?」と聞く。「そうですね!お見合いみたいな形は、ウチの場合辞めておいた方が良いけど…待て!

そっちから先に行きましょう!

ウチは、あの母なので手の平返し食らうかもしれません。」と何か心配そうな顔をした。携帯が鳴る。

「そうだよなあ〜これは罠かもしれません!ウチの方はしばらく放置しましょう。」と携帯画面見ながらニャッとした。

「お母さん?なんて?」実彩子が気になって質問する。「父親の病院に奥さんと来いと言ってます。するとウチの幹部とも顔合わせします…囲い込みされる恐れがありますね、これは」と笑った。

携帯を操作して誰かに送信した。

「返事したの?」実彩子が聞く。

「いや、母のはスルーして兄に病院来いと母が言ってると連絡しました。立ち回り気をつけないとね。」と海斗がタワマンの20階のベランダで東京タワーを背にウインクした。

爽やか好青年だけでは無いのかもしれない…とその時実彩子は思った。


母に電話すると「じゃ、渋谷で待ち合わせしょ♪他の子も呼んどくよ〜」と気軽に言われた。

駅で会うと「弟2人は先に写真スタジオで貸し衣装借りてるから行こう!」と5分くらいミヤシタパークを突っ切った。

「アッ、ここって昔々に来た気が…」実彩子が就職した時に母にプールのそばのイタリアンで祝われた記憶が…昔過ぎてうろ覚えだ。

「そうそう、まだ宮下公園だった時代に来たよね?

忙しいだろうし、もしかしたらすぐ離婚するかもしれないし、フォトくらいプレゼントするわ〜

さあ、衣装選んで!」と母は海斗と全く話さず2人を店の中に入れた。自分はもう選んでたようで試着室に入ってしまった。

「いいの?お母さん、アッサリしてますね。」海斗が心配する。

「さあ、もういい大人だからお任せなんじゃない?」実彩子は母らしいなと思った。就職祝いの時も夜だったがこんな感じだった。弟2人も合流した。

「ビックリしたよ〜ライン見て!やめてくれよ〜俺らまで結婚しなきゃいけない感じなるじゃん!」と2人とも文句たらたらだ。

てきとーに10分後撮影が始まった。

結局30分で撮影は終わり、そのまま横のイタリアンで食事になった。

「昔からココは簡易結婚式場だったみたいよ。知らなかったけど。」母が言う。

海斗に何ら質問しない。

「あの、急なお話ですいませんでした。お嫁さんに貰いましたが、大丈夫ですか?」たまらず海斗から母に話す。

「そうですね。ご挨拶ぐらいしないと!」の母が海斗の方を向いて弟達にも号令する。

「返品は受け付けません。よろしくお願いします!」と。

海斗がポカーンとしてる。

「ごめんこめん、70年前くらいから伝統なの。祖母がね、スゴい跳ねっ返りで結婚式の日に式場のトイレに籠って結婚しないと騒ぎ出したらしくて。

その時に曽祖母がお祖父ちゃんに「返品は受け付けません!」と宣告したらしくて!」と実彩子が爆笑した。

「へーーーっ!面白いですね〜」と海斗も受けた。

食べてる内に写真も出来上がり母から撮影フォトをプレゼントされた。そして、そのまま駅で皆散っていった。

「皆、住んでる場所は違うんだ?」当たり前なのだが、海斗が散り散りに別れて行ったの見て感慨深そうだ。

「うん、バラバラで暮らせるって事は健康で経済的にも安定してる証拠だからね!

ウチは18から20歳で独立したよ。皆、東京だけどね。」実彩子もスタスタと海斗と山手線に乗ったが降りて行く。

「エッ?」と海斗が驚くが、「私、目黒なのよ。じゃ、また休み明けの月曜日ね!」と去っていった。

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