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捨てる神に拾う神  作者: たま


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4

仕事は生きる為!金を稼ぐ為の手段だ!

父が亡くなった後、ダブルワークで3人の子を育てた母を見てるので仕事にはシビアな実彩子だ。

女性大臣のイヤミなんか気にしてられない!

が、豆腐メンタルらしい後輩はずっと引きずってた。

と言うか、国会事務自体がもう嫌になってたようだ。

そこに実彩子の元彼がつけこんだのだろう?

産休入る時、すごく嬉しそうだった。

しかし、彼は抵抗できない女をディスってストレス発散する男だ。

出産予定日は早退したのに奥さんの親から電話が掛かってきた。旦那が来ないと。

上司は忌々しそうに「彼は申し訳ないが信用に値しない男ですよ。公務員法があるので辞めさせられないだけですから。」とあちらにハッキリ伝えてた。

「本当に実彩子先輩切れて良かったですよね〜

俺見ててイライラするから実彩子先輩自身も避けてたくらいですよ!」と坂巻に肩をグリグリされた。

「ハハッ、そんなに?彼のオイ!高卒!って呼び方は不愉快だったんだね?ゴメンゴメン。」と実彩子が謝る。

失恋したせいか?

何事にもネガティブだ。元気出したいのだが…なんか恐いのだ。誰かと仲良くなったり、期待したり。

昔はそれを恐れる心が無かったが、今は全部恐い。

離婚ほど深刻じゃなくても、心の痛手はかなりなんだなと思う。後輩の子は仕事でボロボロなってたが、実彩子は恋愛でボロボロだ。

恋愛や結婚が、もう苦手意識が染み付いてる。

仕事考えれば仲良くなるべきなんだろうけど、こっちから距離を保たないと。

と新しい部下の木嶋にも思っていた。


が、飲み会翌日なぜかホテルに木嶋と寝ていた。

横でスヤスヤ寝てる木嶋を見て、頭が混乱する。

酒にはめっぽう強いので記憶を失くした事無いのに!

昨夜は記憶がない!

気分が悪くなってトイレに吐きに行こうとして後輩の坂巻に場をお願いした。お酒には強いのだが、この頃一人になるとため息ばかりついてた。

とにかくもう自信がない。見せないが人が恐いのだ。

疑心暗鬼に囚われているのだ。眠りが浅い自覚はあった。吐いたら楽になったが、スゴい睡魔に襲われた。

木嶋くんが、「大丈夫ですか?」とわざわざトイレまで来てくれたのは覚えてる。が、そこで記憶が途絶えてる。

ブラキャミとブラウスは着てるが、下がスッポンポンなのだ。木嶋君は反対に上は裸だがパンツは履いて寝てる。

一体…どういう状態なんだ?


「あっ、先輩 大丈夫ですか?」木嶋君が目を覚ました。

「あっ、あの私のパ、パンツは…」お風呂場でバスタオルを見つけて腰に巻いている。

お酒の失敗はしたことないので狼狽える。

「…覚えてないんですか?」木嶋君が眉間にシワを寄せる。何か失敗したのか?いや、もしかしたら、彼を襲ったとか…実彩子は必死で記憶を探るが!

全然出てこない。

「店のトイレに呼びに行ったら、出てくるなり僕に倒れ込んで気を失ったんですよ。坂巻さんが後は良いからと先輩の住所渡されてタクシー乗ったら、担いで膝に乗せてたんですが…その濡れてきて…大急ぎでタクシー降りたんです。」聞くだけで顔から火が出そうだ。

「ご、ごめん!私お漏らししたの?!!!」小さい時からしっかり者でミスは滅多にしないのだが、10年に1回くらいビックリするようなポカをする事がある。

ちょうどそれをやったようだ。

「いえいえ、気にしないで!タクシーは何とか汚さないで済んだので。

それより、昨夜の相談した事まで忘れてませんか?

そっちは忘れられると困るんですが…」とバッグから紙を出してきた。

「!婚姻届」実彩子は思わず叫んだ。

「先輩、俺に同情してくれて結婚してくれるって。ちょっとこれは…忘れられると困るんですが。」記憶にはない!

が、何か書いた気はする!

お風呂場でシャワー浴びた記憶も浮かび上がってきた。

スゴい感謝して床に頭つけて感謝したような…

「何でもしてくれるって譲らなくて。それで婿養子にしてくれるって。

何なら書類だけで別居で良いからって。」木嶋君もそこは必死な様子だ。

「実は…ウチは◯◯会なんですよ。父が倒れたので兄か俺が跡目継がなきゃいけなくなって。

でも俺も兄貴も彼女すらいないから、先に結婚出来た方は家継がなくて良いって。お袋の条件なんすよ。

せっかくカタギの仕事就けたのに、でも参議院の議員に気付かれて衆議院に移されたんです!

とにかく実彩子さん家に婿養子にして下さい!」今度は木嶋くんが土下座してきた。

昨夜の自分は、彼に同情して婚姻届にサインしたようだ。

今、聞いたらビックリだが、もし本当なら早く新しい戸籍を作らないと衆議院だって辞めて貰わないといけなくなる。

確かに一大事なのだ。反社と繋がるのだけは絶対ダメなのだ。

「私だって人の膝でお漏らししたのは人生初だし、それを黙って貰えるなら戸籍くらい売るわ!」実彩子も考えたらかなり危機なのだ。

それなりに仕事では信頼を勝ち得てきてる!

お漏らしは許されない。

2人は握手した。お互いに背に腹は代えられない!

扉を叩く音がして絶対カタギじゃない男が、「坊っちゃん、頼まれたの買ってきやした!」とドスの聞いた声がした。

換えの下着類と服だった。

「体重は50kgくらいだと思ったのでMサイズにしました。大丈夫ですか?」と聞かれたがピッタリのワンピースだった。量販店は下着から服まで揃うので助かる。ジャケットの裾だけ洗ってドライヤーで乾かした。

「保証人の欄は、上司に頼みます。帰りに出しましょう!それで良いですね?」木嶋くんにうながされて実彩子もうなづいた。


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