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捨てる神に拾う神  作者: たま


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2

実彩子と正反対で母は人の好き嫌い、男の好き嫌いも激しい。おかげで結婚までこぎ着けたのは父だけだ。

ひどい時は初デートで1時間で「別れて!帰る!」と本当に帰ったらしい。

原因は車のハンドルをカーブで片手で運転したのを注意したのに、その場で訂正しなかったからだと言っていた。

仕事でも1週間で上司とケンカして辞めてしまった事があるらしい。不倫に誘うので注意したら仕事を教えてくれなくなったので社長に直訴したらしい。なぜ、彼女から実彩子が生まれたか遺伝子の神秘だ。

実彩子はどんなクズでもゴミでも仲良くできるおかげで仕事は重宝がられる。

クセ強議員の担当事務官になっても、省庁の官僚とも仲良く国会運営を滞りなく運営できる。

「先輩、大変ですね!防衛大臣の担当事務官になっちゃいましたね。」後輩の坂巻(さかまき)が声を掛けてきた。

先日の失恋飲み会も彼が音頭を取ってくれたのだ。

今、1人にしたら先輩自殺するかも?と心配してくれたらしい。

「ありがとうね。あの悪口大会でかなり腹の虫が治まったわ。

そうだよね。クズだってずっと前から皆に注意されてたのに聞かなかったのは私だもんね〜」実彩子(みさこ)

苦笑いする。

「相手の子は、あのクズの事ほとんど知らない参議院から来た新人だから引っ掛かったんですよ。衆議院の奴なんか近寄りませんからね。」と坂巻はクズ男に容赦ない。衆議院と参議院の職員は採用も別だし滅多なことでは異動はない。

彼女も何か問題ある職員だったのかもしれない。

歓迎会で酔いつぶれて道路に倒れて泣き叫んで居たらしい。

ある意味、クズ男とお似合いである。

坂巻にとって先輩だが仕事ができないのでクズ男と陰で呼び捨てなのだ。

報連相(ほうれんそう)がまず出来ない。

すぐ独自の持論や手法を語る。上司に歯向かう。

結果うまくいかないと他責思考でまくし立てる。

自己弁明と相手を刺すのだけは冴え渡る奴なのだ。

いくら勉強出来ても組織で1番使えないキャラなのだ。

とてもじゃないが、あの母に会わせられなかった。鼻先で笑われる。10年間付き合っても。

上司の飲み会やゴルフにも全く呼ばれない。実彩子は進んで幹事を引き受ける。

「お前は出世するよ!どうせ!」と飲むと「高卒高卒〜低脳低脳〜」とイジメられた。

母が唖然とした顔でその話を聞いていた。

「…先輩って、ちょっと恋愛入ると頭足りない子になっちゃうんですよね〜心配だわ〜」坂巻も母と同じ顔をする。

クズ男は同期だが大卒枠で入ったのだ。実彩子は父が急死したので大学には行かなかった。倍率100倍を超えて採用されたのだ。なので大卒のサポートポジションなのだが、結局クズ男より上のポジションになってしまったのだ。

議員は官僚と違い、結構地方の土建屋だったりする。今はある程度大卒だったりマシになったが、ヤクザまがいの下品な言葉つかいをする人もいる。

片や官僚はエリートなので、それなりの品良い家庭で育っているので議員のヤクザまがいの言葉でメンタルやられる人もいる。

実彩子は、クズもゴミも何でも仲良くできるのでガラの悪い議員から貴族みたいな官僚まで誰とでも合わせられるし仲良く出来るのだ。

ただし、恋愛だけはこの体質が裏目に出る。

「僕…今フリーなんですよね。どうですか?先輩が心配なんですよ。またカスに引っ掛かりそうで。」坂巻が本気か冗談か分からない誘いをする。

「ありがとう!元気づけてくれて!若いんだから〜

こんなおばちゃんに気を使わなくて良いんだよ。」と坂巻の肩に手を置いて去って行った。

「ハア〜ッ、本当に恋愛レベルは幼児以下なんだよなあ〜あの人。」坂巻がガックリ肩を落とす。

その2人のやりとりを赤い絨毯の突き当たりの扉の陰から見ている男がいた。鋭い目つきで見ている。着てるスーツの内側には小さなピンが見える。

「ターゲットに今夜接近します。少し手荒をします。サポートよろしくお願いします。」と呟いた。

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