エッセイ :「我が家の雑じゃない旅」 松島編
アニメの「ざつ旅」を見ていて急に、老い先短い生涯に何も好い思いをさせてやれなかった家内との夫婦旅行を思い付きました。
唯、どうせ行くなら下調べや準備を十二分に行って、雑じゃない旅にしたいと思って色々ディパックとか買い込んだりしました。移動手段を考えたり何処で何を食べたらいいか検討を積み重ねて計画を立てます。
調べるうちにユーチューブの、個人でVLOGをやってる人の動画を参考にしたりしましたが、自分も旅行の記録を残そうとSONYのZV-E10をAmazonで購入しました(旧ヴァージョンなんで少し安くなってました)。……VLOG用の動画を撮ってると肝心な観光旅行が楽しめない本末転倒になって仕舞うかと思い、撮影はスチルに限定してます。
んで、極めてプライベートな旅行記なんですが、その時々に感じた雑感なんかを交えて投稿してみますので、暇潰しにどうぞ……
アニメ「ざつ旅」で松島の回を見ていて、我が家の老妻と夫婦旅行に出てみるのも粋狂で面白いかなと思いました。
日本三景征服を最初に思い付きました。
当然ながら最初は「松島」を訪れてみることにした訳です。
で、何が必要か考えて細々とした物をAmazonで購入し、揃えていきました。
空覚えの昔々のディスカバー・ジャパンだったか国鉄時代のキャンペーンで高峰三枝子が法師温泉に浸かるって感じですが、我が家のフルムーン向け旅行鞄は楽なスタイルを重視してディパックを家内とお揃いで買いました。
マムートのLithium 15ℓってモデルです……最近、よく見掛けるようになりましたが、スイスの登山用品製造ブランドらしいです。
その他、大小のポーチやスタッフザック、旅行用グルーミングセットなど色々取り揃えて行きます……私、形から入るの大好きだもんで。
次に電車でのアクセスをその手のサービス・サイトで検索します。
色々調べていくと、「えきネット」ってチケット予約サイトでJR東日本の提供する高齢者向け会員サービスを知ります。年会費を払っても最大30パーセントの割引なら元が取れそうなので、早速夫婦して入会しました。
[1日目]――――――
当日、住み暮らす茨城県の某片田舎から上野駅に到着、朝6:30から営業している駅弁屋……新幹線コンコース内にあるのは「駅弁屋56号店」との案内を信じて想定した通りに、お弁当をゲットする。
会社の若い傍輩から旅先で食べたものの記録を残すように助言されているので、新幹線内で食べた朝ご飯を撮影する。何気ないノルマだが、これが結構楽しい。
仙台駅に到着後、「仙石線」って言う在来線に乗り換えて「松島海岸」駅に到着、最初に駅前の観光案内所で遊覧船のチケットを購入、出港前まで時間があるので桟橋袂のレストハウスのコインロッカーに荷物を預けて付近の散策に向かいます。
最初に訪れたのが、少し小高くなった場所にある「観瀾亭」、別名月見御殿と呼ばれる由緒ある建物で抹茶と茶請けのお菓子が頂けます。
ここで頂いた南瓜のタルトが気に入って、会社のお土産に好いなと思い販売場所を調べて翌朝、地元のお菓子屋さんを急襲、無理言って大量に売って貰いました。
「菓子工房松田屋」さん、その節はすいませんでした。
「観瀾亭」の観光客は少なく、私達の他は一組しか居ませんでしたので結構穴場かと思います。
松島の名の由来になったとか言う「雄島」にやって来ました。ここも街中から離れている為か、余り人気が無いようです。
途中、欧米人の団体さんがツアーガイドに説明を受けているのに擦れ違いましたが、若い頃と違い金髪美人にも眼が行きません。
霊場でもあった「雄島」は和歌では「松島」の枕詞とされる説があり、見仏上人が法華経60,000部を読誦した褒章に鳥羽天皇が千本の松の苗木を贈ったのが松島の始まりとされているとか……嘗て島内には108の岩窟が有ったと言われ、今も50程が残っているらしい。
観光のメインである筈の一周クルーズ遊覧船は思ったより感動は薄かった……生憎の空模様と、中国系インバウンドの多さも有ったが、充分に楽しめたかと言うとはっきり言って退屈でした。
島の来歴の説明なんぞ何ひとつ覚えちゃいません。
デッキに出て島影と妻の撮影をしただけです。
根が心配性なので乗船前に酔い止めを飲んでましたが、出航時間ギリギリだったので席取りには失敗しましたね。もし遊覧船に乗られるって方は、並ぶの覚悟で早めに行かれた方がベストビューを確保出来ます。
揺れないって話だったのに、外洋近くへ行くと結構揺れました。
遊覧船から降りると丁度お昼の時間です。
「松島さかな市場」にやって来ました。
人気の観光ポイントなので、お昼のピーク時間を過ぎてもすごい人出です。券売機でチケットを買うんですが、スマホの他クレジットカードでの支払いも可能になっていました。
妻は海鮮丼に、私が特選上握りに当日のお勧めの真海鞘を購入、順番待ちでナプキンや割り箸、醤油やガリの小袋をセルフで用意します。
「松島さかな市場」は2階が食堂、1階が海産物の販売所になっています。筆者の好物の海鞘は外せませんが、三陸ワカメや金目鯛の干物、エボダイの干物、冷凍マグロの赤身なんかを購入……リーズナブルなんですが大トロ、中トロはそれなりに高いんで今回は見送りました。
最近は観光地のお土産屋さんの多くが宅配サービスを請け負っていますので、自宅に送るよう手配して貰います。
午後はお寺巡りで、最初に「円通院」を訪れました。
ここの社務所で売っている御朱印帳が超欲しかったので、一番に来たかったのです。入場料300円、御朱印帳1200円、御朱印料300円になります。
16:00には閉まっちゃうので注意してくださいね。
薔薇園とか、お茶会の待合いかな、苔生した東屋なんかが見所です。
次に訪れたのが国宝「瑞巌寺」。
拝観料は700円、ここも季節によって変わるようですが、3時30分から4時30分と閉門が早いので注意してください。山門内は撮影禁止です。
ここは瑞巌寺の本尊参拝と、付属する「五大堂」の二つの御朱印が頂けます。それぞれ400円です。
付属する宝物館が別棟になっていて、地下に降りていくんですがなかなか立派な施設です。見所ありますよ。
本堂への参拝順路は庫裡から入りますが、正面上部の複雑に組み上げられた梁と妻飾の豪壮な唐草彫刻が見事でした。
本堂は孔雀の間・仏間・文王の間・上段の間・上々段の間・鷹の間・松の間・菊の間・墨絵の間・羅漢の間から成る大規模な建物で、キンキラの襖絵や格天井の造りもそれぞれに異なっています。仙台藩の法要が営まれるときに、それぞれ役割が有ったようですね。
特に印象に残ったのが「文王の間」のテーマで、襖絵が狩野派と共に桃山絵画を担った長谷川等伯の高弟、長谷川等胤による「文王呂尚図」……理想の国家といわれる周王朝の基礎を築いた文王と名補臣「太公望呂尚」との出会い、国都洛陽の繁栄、狩猟場面が描かれていました。
太公望に付いては自分も作品で取り上げており、思い入れの強いキャラクターですが、異国情緒のある意匠で斬新なのがとても面白かったです。
伊達家一門の控えの間で、藩主との対面の場という重要な役割を持つ部屋とのことでした。
後で紹介する「五大堂」の傍らにある遊覧船の発着桟橋から瑞巌寺の長い参道が真っ直ぐ繋がっているのですが、参道のシンボルだった杉並木が平成23年3月11日の東日本大震災の津波に見舞われ、その後の塩害に因る立ち枯れが目立ったことから約300本が伐採されたそうです。
参道の脇道に洞窟遺跡群があり、非常に見応えがありますので松島に御出での際は是非寄ってみて下さい。松島は古来より「奥州の高野」と呼ばれていて洞窟の壁面には供養塔や五輪塔が無数に刻まれており、供養場として使用されていたことが窺えます。
一番端に「鰻塚」も有ります。
その昔、松島は天然鰻の一大産地で鰻塚は大正12年8月16日建立、9月13日には開眼法要が行われました。"鰻塚"の文字は瑞巌寺第126世松原盤龍老師の揮毫で、裏面に寄付をした蒲焼店、問屋の名前が刻まれています。
歩き疲れて小休止、ガイドで調べておいた「松華堂喫茶室」でお茶にします。
一階は観光地名物のお煎餅屋さん、二階がカステラと“黄粉サンド”ってネーミングのダクワーズを販売する「松華堂喫茶室」です。
この黄粉サンドとカステラも翌日には知り合いのお土産に購いますが、今日のところは家内が杏子と餡子が盛られた松華堂オリジナルパフェ、筆者はレモネードを頼みました。
このレモネードが自分で生のレモンを絞り、ガムシロとウィルキンソンの瓶の炭酸水で割ると言う代物で暑い日には持って来いの清涼感です。
この夏に家で真似っこしてみようと思いましたが、結局面倒臭がりの我が家では実現しませんでした。
一日目の工程をほぼ終え、自宅へのお土産を見繕うことにしました。普段使いの急須に有田焼の土瓶を使っているのですが、これの鍋敷きにカラー南部鉄の商品が有って丁度好いかなと思いました。
旅の思い出に生活雑器を買い足していくのは、結構好いアイディアかと思いました。今後も続けていく積もりです。
今回の宿は松島海岸の目の前、「松島センチュリーホテル」にしました。
色々調べていて、夕食が全部ビュッフェスタイルなのも味気ないかと思い、テーブル席に案内して貰ってチョイスしたお代わり自由なオーダーのあるスタイルが好いかなと思いました。
牛タンとポークステーキ、天婦羅なんかが何度でもお代わり自由なシステムでしたが、下戸の癖に見栄を張ってノンアルコール・ビールなんて頼んだらお腹一杯になっちゃいました。
別注文の岩牡蠣はさすがに美味かった。
しかしネットで予約するのに代理店サービスを利用したので、泊まれればいいやって思ってましたが結構部屋がショボくて家内と二人ガッカリしたものです。
折角海岸前の立地なのに、山側の部屋で海なんか全然見えません。
以降、予約は直接宿泊先にすることにします……その方が細かいことは直接宿泊先に訊けるし、全然利口だと気が付きました。
家内とは次回の旅行は経済性よりも、断然部屋のグレードを優先しようと意見が一致しました。
ホテル内の温泉は悪く有りませんでしたが、部屋でまったりする環境でもありませんでしたので、施設内のマッサージ・サービスを利用します。こう言った旅先じゃないと、マッサージなんて普段は考えもしない贅沢は受けられませんので、これも旅の醍醐味ですかね?
[2日目]――――――
翌朝、荷物の片付けをしてる中で山側の部屋が悔しいので窓を開けて街中を撮影してみました。
昨日のお昼を頂いた「松島さかな市場」や「伊達政宗歴史館」、仙台牛タンの名店「利久」の松島海岸店なんかが望めました。
さて朝風呂を頂いてから、ラウンジで海を眺めながらモーニング珈琲を頂いてみます。こうした寛ぎが、日頃の喧騒を忘れさせて呉れます。
チェックアウトの準備をして、朝食会場に降りてみました。
事前の調査では目の前で焼いて呉れるオムレツや採れたて卵の自家製フレンチトースト、ずんだ豆乳なんかが有った筈ですが、色々と目移りして仕舞い、結局ビュッフェスタイルの定番で条件反射的にシリアルなんかを選んでいたのはご愛嬌……
一方、家内は実のところ、折角松島に来てると言うのに名物の牛タンも牡蠣も苦手な部類なのですが、旅に出掛ける前に知り合いから喰わず嫌いは損だよと忠告されていたらしく、朝から牛タンカレーを選んでいました。
宮城県民のソウルフードだと言う紫蘇巻きは、味噌を紫蘇の葉で巻いただけのもので大して感心しませんでした(御免なさい)。
クラムチャウダーと小さなココットで供された牡蠣のグラタン、浅蜊の味噌汁は美味かったです。味噌汁はお代わりしました。
さて二日目はお土産を抱えて移動するのも嫌なので一旦駅のコインロッカーに預けたのですが、この朝に買った重い荷物を抱えて駅まで歩くのは結構大変でした。
旅慣れていない所為か、皆へのお土産は自分の手で持って帰らなくちゃいけないなんて先入観念があったから、帰りの移動はしんどかったですね……偶々だったのか地元高校、仙台育英かなんか知りませんが、日曜日だと言うのに練習試合が有ったのか在来線に乗って来た学生が多いことには辟易しました。
随分昔に経験した満員電車を思い出します。
次回からはお土産は宅急便にしようと、心に誓いました。
貧乏性なので朝のビュッフェを食べ過ぎて、予約していた海鮮料理の店では余り堪能出来ませんでした。
萩の月で有名な「菓匠三全」で飲んだ“ずんだシェイク”は美味かったです。
旅の疲れが残らないよう昼過ぎには松島海岸駅を経つ行程でしたが、時間が余ったので昨日の夕方に立ち寄った「五大堂」に再度お参りしました。
東北地方現存最古の桃山建築で、慶長9年に伊達政宗公の手に依り造営されました。内部には慈覚大師手彫りと伝えられる五大明王像が安置され、33年に一度開帳されるとのこと……松島観光の象徴的なランドマークです。
朱塗りの透かし橋って言うのを渡る小島に在ります。
さて、画像で綴る我が家の夫婦旅行の模様は如何でしたでしょう?
これから松島観光を為さる方の参考になれば嬉しいです。
2025年には夏に「上高地」、秋に「天橋立」と旅をしましたので、順次アップしていく積もりです。
余りお他所の家の旅の模様を見ても楽しいかどうか分かりませんが、ひとつでも共感して頂ける部分があったら幸いです。
[予告編]
日本の夏は年々暑くなります。
きっとオゾン層破壊と温室効果ガスの弊害が、いつかインド並みの気候を日本に齎すでしょう。
年寄りの体力では最早長生き出来ません……去年もそうでしたが、今年の夏こそポックリ逝って仕舞うと思っていました。
一泊二日でもいいから、お金持ちみたいに下界から逃げ出して避暑をしてみたいと切実に思いました。長野県「上高地」への旅を思い付きます。
高校生の頃、生物部で夜叉神峠から南アルプス縦走に連れて行かれたことがありました。あれ以来、本格的な登山の経験はありません。でも大丈夫、「上高地」は殆ど観光地、平らなところばかり……本気でそう思ってました。
[あとがき]
老後の年金生活に片足突っ込んだ身では、優雅においそれと旅のひとつにも出掛けられませんが、冥途の土産にと夫婦旅行を初めてみることにしました
生活に追われ、社畜に等しいサラリーマン生活は潤いが無く、仕事ばかりしてる内に人は老いて死んで仕舞う、何が悲しくて長い結婚生活の中に旅行のひとつもして来なかったのでしょうか?
子供が小さい頃は温泉巡りや秩父観音霊場巡り、果ては日光まで車で行った記憶があります(イロハ坂はキツかった)
筆者が子供の頃は小学校で校外学習だったか、遠足の延長で日光に行った記憶がありますが、最近の小学校ではそう言った行事は無いようで息子の見聞を広める積もりもあって頑張ったものです
息子が長じるとそんな記憶も遠ざかりました
遠出をすることもめっきり減って、住み暮らす県外へ出たのがいつのことだったのかもう思い出せません
若い頃はとんだ勘違い野郎で亭主関白と自らの我が儘を取り違えてました
自慢じゃないですが、熟年離婚なんかされたら筆者は洗濯も公共料金の支払いも何ひとつ出来ない濡れ落ち葉確定の自信があります
数年前から結婚生活で少しも好い思いをして来なかった女房への罪滅ぼしに、指輪やアクセサリー、バッグなんかを買って贈るようになりました
御機嫌取りの積もりでしたが、家内へプレゼントすると言った行為は意外と悪くありません
これから先の老後を迎えるにあたり、家内と共通の旅の思い出があると言うのも何か有難い気がします
「そうだ、家内と二人で旅をしてみよう」、そう思いました
身過ぎ世過ぎで時間を切り売りしてはいても、自分に取っては家族の方が大事
業務の責務を果たすとは言っても、そんな責任感だけで会社に義理立てするのも馬鹿々々しい
旅の面白さと新しい発見、ワクワクします
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感想や批判もお待ちしております
私、漢字が苦手なもので誤字脱字報告もありましたらお願いします
なかなか更新しませんが、本編でダーク・ファンタジーを連載してます
「ソランへの手紙」
……完全無欠の万能神は永遠とも思えるその生涯に、過去に犯した姦淫の“詫び状”を書き続ける罰を自らに科した/許して欲しいと殺して欲しいの気持ちが揺れる時、咎人は燃え尽きて灰になる
と言う長い副題がついてます、よろしかったらご一読ください
INDEXの直リンクはこちら
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