00.予感─いつもの朝食の中で─
00.予感─いつもの朝食の中で─
●
────遠い、遠い昔の記憶。
血生臭い戦場の地、あったのは僅かな休息。緊張感が張り詰めている、息苦しい、この時。
『……もし、この戦いが終わったら、何をしようか……』
終わりが見えない戦いの中、果てが見えないというのに、先を見ようとしてしまう。もしも、もしも、と戦いの終わりを望み、その先を生きたいのだと。
そんな自分の気持ちを口にし、話をした相手はどういう風に思うのだろうかと、不安な気持ちは少なからずあった。
……戦いの場だというのに……。
『ルミスは、何がしたい?』
相手から返ってきたのは、怒りの言葉でもなく、柔らかい口調での問い返しであった。
────何が、したい、か……。
問い返され、考えてみる。自分は、戦場を戦い抜いたその先に、何を望むのか……。平穏な日常を送っているのかも分からない。
考え込む自分に彼は、眼前に見える戦場を見つめながら、言葉を紡ぐ。
『……俺は、ルミスの作った菓子に勇気を貰ったことがある』
『──俺の?』
『……ああ、幼い頃からルミスの作ってくれた菓子で何回も勇気を貰った』
言われて少し、照れくさい気分だった。自分の作ったものが誰かに影響を与える。そう言われ、何だか嬉しさと恥ずかしさが混じったような感情を抱く。
…………勇気、か。
幼い頃から好きだったこと。それを追い求める勇気を、自分も諦めずに持てるように。
…………何となく、分かったような気がする。
『何となくだが、分かったような気がする』
『…………そうか』
血で染まった手、決して消えない罪。けれども、自分は求めたいと思った。
犯した罪は消えないけれど、その先を歩みたい。
こんな風に思っているなど、怒られてしまうかも知れない。死と隣り合わせの戦場で、何を考えているのかと弟子に呆れられてしまうだろう。
でも、もしも、と願うのは自由である。
『──ルミス、俺はまた、お前が作った菓子が食べたい』
『……そう、思ってくれるのか……』
『……そうだな。その為にも、終わらせなければいけない』
戦いは続いている。終わりは未だ見えず。そんな状況の中、彼は剣の柄を手にし、立ち上がる。
その姿を目に焼き付けるように、ずっと見ていた。
────終わりの見えない戦い。
それは今でも、続いている。
彼に全てを背負わせ、このままで良いのだろうか……。
●
──小鳥の囀りが朝を報せる。眠りの中から、目覚める感覚。
瞼を上げ、目を開く。見慣れた寝室の天井が映り、瞬きを数回繰り返す。身体を起こさなければ、と頭では考えるものの、もう少し、などと甘えも出てくる。だが、それでは朝の仕込みや、自分よりも早く起きているであろう弟子に合わせる顔がない。
……というか、怒られる!
真面目な弟子の不貞腐れた顔を早朝から見るのは師としてどうなのか。怒られる、と弟子の顔を想像し、身体を起こそうとするも、ベッドの中が心地良い。
「うう……ん、眠い……けど、仕込みをしなきゃ〜、はあ……新調した枕が気持ちいい〜」
自分の頭を乗せている枕に顔を擦り付ける。ふかふかしていて、柔らかく弾力のある魅惑的な感触の枕。
…………離れ難いですね、本当に。
思い切って特注、お高めの値段なだけあり、気持ちよさは抜群である。
ああ、いけない。枕からの誘惑が……、と堪能しているところに。
〈師匠、朝食のお時間ですよ。 あ、まだ、寝ているのですか⁉︎〉
「あ、マティ! 起きようとしましてよ! 今、起きます!」
通信画面が起動し、弟子の音声のみが聞こえてくる。慌てて、取り繕い、変な口調になってしまったが、上体を起こす。
長い銀色の髪がベッドシーツの上に広がっている。窓に取り付けてあるカーテンから、差し込む僅かな光に、銀色の髪が煌めいている。
髪を整え、着替えをし、朝食の場に行かなければ。
〈二度寝するようでしたら、起こしに伺いますね〉
「へあっ⁈ ええー! まだ、着替えてないのっ!」
〈でしたら、早く着替えて下さい。 朝食、もうテーブルに並べますからね〉
通信画面は閉じず、着替える準備をするためにベッドから降りる。
弟子のおかげで朝も起きれてご飯も食べることができる。ダメな師匠には勿体無い、出来た弟子だ。
…………しっかりした子に育ってくれたわ。
怒らせると怖い時があるけど…、と思う瞬間もある。だが、弟子のおかげで朝もこうやって起きることが出来るので、文句一つも口には出せない。
「ふぅ……」
息を吐き、寝室の出入口付近に設置された壁面クローゼットへと歩いていく。クローゼットの扉を開き、着る服を取り出す。
先ずは寝間着を脱ぐ、脱いだ寝間着を綺麗に畳む。クローゼットにしまうと、取り出した服を手にし、着る。
着た姿を、傍に置いてある大きな鏡に自分を映す。銀色の長い髪、金色の瞳。髪は足の膝下までの長さでる。自分の、銀色の髪の一部に手を当てた。その手から光が生まれ、光は髪に浸透していき、色を変えていく。
美しい銀色の髪が、華やかなピンク色の髪へと変わった。
「うん、問題なさそうね」
お店に立つ時に着ている服も問題なく着れた。エプロンのようなワンピース、華やかさを出すためにフリルを多めに使っており、スカートの裾は太もも辺りまでの短さだ。
脚には黒のタイツを着用し、全体的に肌の露出は控えめである。
そして、ここからが問題である。髪のまとめだ。
そのままでも良いと言われることもあるが、店に立つので髪はまとめた方が良いだろう。ツーサイドアップに髪をまとめる。
長い髪をまとめるのはかなりの労力がいる。毎日やっている事だが、不器用なせいか上手く髪型を作れない。
けれど、何とか髪をまとめる。大きな鏡に映っているのは見慣れた自分の姿である。
ツインテールにまとめた部分をリボンのような形にし、残った髪は背中へと流す。
フリル付きエプロンのようなワンピースもいつも通りに着ることができた。
「よし……!」
これなら、弟子に会っても文句は言われないだろう。
〈着替え終わりました? 師匠〉
起動したままの画面から弟子の声だけが聞こえる。
「うん、着替えと髪、終わったよ。待たせてごめんね、マティ」
〈……いえ。 朝食を頂き、仕込みをやってしまいましょう〉
「ええ、すぐにキッチンへ向かうわ」
●
──一階、キッチンにて。
弟子が用意してくれた朝食を採りながら、画面を起動し、調べものをしていた。目の前に表示されている四角い枠の中、数多の情報が表示されている。昔は食べながら画面を見ていると弟子から怒られていたが、近年は見逃されている。
「師匠、おかわりもありますから」
弟子のマティがキッチンで作業をしながら声をかけてくれた。
マティの言葉に当人が返事をする前に。
「マティー! おかわりやー!」
「…………わかった、わかった」
同じく朝食の席についていた人物が元気よく、マティに皿を向けた。マティもいつものことなので、呆れながらも承諾する。
朝食を盛り付けた皿は綺麗に空となっており、それを受け取ったマティは再び朝食を盛りに向かった。
ダイニングテーブルで朝食を摂っている最中、画面に視線をやっていると名前を呼ばれる。
「ルミス、何か情報あったんか?」
弟子におかわりを頼んだ男性が声をかけてきた。
ルミス、と名前で呼ばれ、返事の代わりに柔らかい微笑みを向けた。
「事件や事故の情報もあったわ。あと、北大陸で大きな祭りが近々あるらしく、出店を出す店舗の二次募集が開始されたみたい」
「ほ──……ん」
「久しぶりに出店して、帰りに旅行するのも良いかなー……って」
「ええやーん、それ」
「でしょぅ~?」
ルミスはにっこりと華やかさを表した笑顔を浮かべる。
自分でも良い計画だ、とルミスは胸を張った。
「二次募集だから配置されてる店舗は一次よりも集客は見込めないわ。でも、商品や材料を計算していけば、売り切りも出来ると思うの」
「…………ほな、その計算は?」
「勿論、マティにお願いするわ」
私、計算は得意じゃないもの、とルミスは再び、胸を張る。
有能な弟子というのも師匠に頼られ、困るものだ。彼は目を細め、呆れつつもマティのやりたいようにやらせて来た。最初は弟子におんぶされ、のしかかっているように見えていたルミスだが、実はそうでもないのだ。
目の前の彼女はマティがいなくても何とかできてしまう。そうすると、面倒見の良いマティが物足りず、寂しがるのだ。
聞けば、ルミスはマティの育ての親同然の師匠であり、幼いマティは彼女なしでは何も出来なかったという。
今も、根っこの部分はそうなのだろう。
「ネロ、どうしたの?」
ルミスは愛弟子が用意したサンドウィッチを一口食べる。売れ残ったパンを翌日の朝食や昼食に回すことは、この店でのルールだ。
なるべく、廃棄を出さないように、というルミスの方針である。
昨日の売れ残りのパンを上手く利用して作られたサンドウィッチは美味しい。
「……い──や、なんもない。せや、エウルは起きてこんの」
「今日は私と寝ていないの。フォルと寝る~って昨日、駄々こねちゃって……」
「相変わらず、気分屋やなぁ……」
「そこがエウルの可愛いとこよねぇ~」
「なーんや、ロナとフーレも起きてこうへんのぅ」
「あ……、ロナは夜にバーへ行ってたみたい。フーレとエーテはそろそろ来ると思うよ」
「深酒かいな~」
ネロの呆れた言葉にルミスも苦笑する。
ルミスとネロの会話を聞きながら、ネロのおかわりを用意していたマティは皿を配膳用のトレーに乗せ、トレーを運んできた。
ダイニングテーブルに皿を置く。皿にはサラダやサンドウィッチが乗っており、やはり美味しそうだ。
ネロは上機嫌の表情をし、皿に乗っているサンドウィッチを一つ掴み、食べる。
「マティのご飯はんまいの~」
「ありがとう。 ネロ、髪をまとめていないな。梳かしてもいないだろう?」
「おう!」
マティは皿をダイニングテーブルに乗せた後、近くに置いてある棚から櫛を持ってくる。
サンドウィッチを食べているネロの後ろに立ち、マティはネロの黒髪を櫛で梳かす。さらりとした滑らかな手触りのネロの黒髪、天井の照明に照らされ、艶が煌めく。
「……ね、マティ。お祭りの出店、応募していい?」
ネロの髪を整えているマティへ、ルミスが訊く。
マティは落ち着いた表情のまま、ルミスへ返事をした。
「俺は問題ないと思っています。その間、店はどうしますか?」
マティの問いにルミスは答えを出した。
「休業する予定よ。帰りは皆で旅行するの」
出店はついでであり、帰りの旅行が主目的だろう。ルミスの画面には観光旅行の情報が表示されている。
どんな観光区へ行こうか、とルミスは楽しげに旅行計画を練り始めた。店を長いこと空けられないので、小旅行だが皆の疲労を少しばかり癒してやれる旅行が良いだろう。
「ネロもマティとデートしたいのかな〜って、ルミスお姉さんは思ったの」
「お姉さんって歳でもないでしょう」
自称お姉さんにマティは冷静なツッコミを入れた。何せ、マティが何もできない子供の頃から姿が変わっていない人だ。
マティのツッコミの言葉を受けたルミスは頬を膨らませる。
「失礼しちゃいますわね! 今でも、ぴちぴちですよ!」
「そういう発言が年寄りなんちゃう?」
ネロにもツッコミを入れられ、ルミスは「も〜!」と文句を口にした。
そして、弟子のマティが作ったサンドウィッチを手にし、勢いよく食べる。
「こ〜んなにぴちぴちでナイスバディなのに! ひどいわ!」
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「……おはようございますぅ……」
情けない声を出しながら、ダイニングテーブルの椅子に座ったのはロナである。夜の深酒が身体に残っているらしく、怠そうな表情である。
薄めの黄色の長い髪、金色の瞳の持ち主であるロナ。彼は通常時であれば華やかさと気品溢れる人物なのだが、酒を呑み過ぎて身体が重いらしい。
そんなロナを見て、マティが呆れ顔を浮かべ厳しく言うのだ。
「ロナ、加減をしなさい。幾つですか……」
言い返す言葉も出ないロナだが、情けなく力弱く言い訳はした。
「だって、バーの店主が呑ませてくるんですもの……。 あれだけ呑まされて、ちゃんと独りで帰って来れたの、えらくない?」
「偉くない。上手な断りも大人の嗜みですよ」
「うう…………、すみませぇん……」
師匠を見習って欲しいものです、とマティはため息を吐く。
近所の馴染みであるバーの店主は何かと飲ませようとしてくる。酒は飲まないマティ、異常に酒に強いネロは出禁に近い対応を店主にされている。ルミスは酒はあまり飲まないので色々と理由を作って断ってくる。
ロナは今回見事に捕まり、朝に支障が出るほどに飲まされたようだ。
ぐったりとダイニングテーブルに顔を伏せるロナに、マティは薬と冷えた水を出してやった。
「……ありがとね、マティちゃん……はあ〜、美味しいわぁ」
出された水を、ロナは喉を鳴らして飲み干す。薬には手をつけずに飲んだロナを見てマティは呆れ顔になる。
「あら、飲み干しちゃったわ」
「あら……、じゃない」
「だって美味しかったんだもの〜」
口を尖らせ平然と言うロナに呆れつつもマティは空のグラスを手にし、冷えた大きめのボトルに入っている水をグラスへ注ぐ。
グラスの八割ほどに水を注いだマティはロナの前に出してやった。
「その薬、水でも溶けるように作られているそうですよ」
「ありがと、マティ」
マティに出してもらった錠剤を手にし、ロナは薬と水を飲む。
効果が出るのは少し時間をかけなければいけない。身体が重いのは承知の上で、マティはロナに訊く。
「朝食は如何します?」
いらないのであれば、昼食用に保存しようかとマティはロナに訊くと、ロナは力強く言い放った。
「頂くわ!」
「……あの、無理なさらずとも……昼食用に保存しますよ」
「お水頂いたら、楽になったもの。大丈夫よ」
ロナは言い、隣に座っているネロの皿からサンドウィッチを一つ手にし、口に運ぶ。
急に横から手が伸びて来て、サンドウィッチを持って行かれたネロは声を上げた。
「あっ────‼︎ 俺の!」
ネロの皿から奪ったサンドウィッチを、ロナは美味しそうに食べる。
ふわふわのパンに挟まれていたのはたまごサラダだった。たまごの黄身と塩味の調味料が混ざっていて、とても美味しいとロナは満足感を感じた。
さすがはマティだ。
「ネロ、用意しますから怒らないで」
「せやけど、俺のサンドウィッチちゃんが…………ぐすん」
悲しげに肩を落とすネロを慰めながらマティは朝食の用意を続ける。
ここは店舗兼住宅であり、店員は住宅の方に全員住んでいる。なので、ご飯の用意がかなり大変だ。
ルミスが経営しているのはカフェという飲食を扱う店であり、当然朝は仕込みがある。店を開ける前に、ある程度の準備を済まさなければいけないのだ。
「おはようございます」
ロナの次に、他の店員達も起きてきた。
起きて来た三人のうちの二人は大きいダイニングテーブルの席につくと、椅子に腰を下ろす。一人は、キッチンの方へと歩いて行き、マティに声をかけた。
「おはようございます、マティ。 私も手伝います」
マティに声をかけたのフォル、という男性だ。薄緑色の肩につくかつかない程の長さの髪と若葉色の瞳を持ち、柔和な男性である。優しさが雰囲気に表れており、話やすさがあ人物だ。
礼儀正しく、誠実な性格のフォルはマティの手伝いを自分から申し入れる。
「おはよう、フォル。 ……では、二人の飲み物を用意してもらおうかな」
「──はい、任せてください」
マティに言われ、フォルはにっこりと穏やかな微笑みを浮かべ、飲み物の準備を始める。
勝手知ったるキッチン、フォルにとってもこのキッチンは使い慣れた場所だ。どこに何があるのかはマティの説明がなくても知っている。
二人が朝食の用意を続けているところ、キッチンと大きなアーチで繋がっているダイニングルームには朝食を摂っているルミス達の姿があった。
「え、祭り?」
輝く金色の髪、金色の瞳を持つ女性がルミスの話を聞き、少し驚く。
彼女の名前はエステレラ。皆からはエーテという愛称で呼ばれている。幼さが残る顔立ちだが、可愛らしい容姿をしており、愛嬌がある。エーテは横に座っているルミスの顔に視線を向けた。
ルミスは相変わらず画面を起動し、情報を追っている。
「うん、お祭りに出店して、帰りに小旅行しようと思ってね〜」
「小旅行? 私、行きたいぞ!」
エーテは小旅行という話に喜ぶ。店を休み、心身を癒す旅行、想像するだけで喜びが心に湧くのだ。
乗り気のエーテにルミスも嬉しそうな微笑みを浮かべる。
ルミスは自分の近くに座っているもう一人の女性にも訊く。
「フーレはどう?」
フーレ、とルミスに名前を呼ばれた女性はルミスの方へと顔を向ける。フーレは赤みかかった茶色の長い髪と、金色の瞳を持つ女性だ。
穏やかな雰囲気を持つルミスとフォルとは違い、フーレとエーテはどことなく快活さを感じさせる。
今、ルミスの計画を話に聞いていたフーレはルミスに返事をした。
「うん、私もいいと思う」
「よかった〜! あとはフォルに承諾もらったら、応募してみるわ!」
多数に賛成を貰ったルミスは嬉しそうな声を出した。
そんなルミスにフーレが質問をする。
「どういうお祭りなの?」
フーレの質問にルミスは大きな画面を新たに起動した。起動した画面には情報が表示されており、それがダイニングテーブルの中央に展開された。
その画面には祭りの概要が書かれている。
「…………えーっと、他種族交流を目的とした祭りで……、祭りの開催場所は北大陸の、ヴァーレント国……ほーん」
画面にまじまじと視線を向け、祭りの概要を読み上げたのはエーテだ。
ヴァーレント国は北大陸でもあまり目立った活動をしていない小国である。
「祭りには最大のステージで不死鳥族の歌姫と王子が歌を披露します……わ〜、かなり大きな祭りね」
祭りの概要を読み、フーレは「不死鳥族の……」とルミスを見た。
不死鳥族というのは翼を生やした肉体と寿命で死ぬことはないと言われている種族だ。だが、不死鳥族は昔から他種族によって搾取され、数を減らしている。
警戒心が高く、不死鳥族が住んでいる場所も不明であり、他種族との外交も絶っているような種族だ。
ルミスがどのように考えているかは不明だが、この祭りは嫌な予感しかしない、とフーレは思った。
…………何か起きるのだろうなあ。
フーレの背中に悪寒が走ったのだ。
願わくば、予感が外れるようにと…………。