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第1話 楽しい学校生活とは

 



 国立近代魔法研究高校。

 世間一般の人はよく魔研と約す。

 全校生徒180名。1学年60名。1クラス20名の3クラス。


 俺のクラスは1年Cクラス。

 俺は久しぶりに教室の扉を開ける。


「おはよう総司」

 そう明るく話しかけてくれるのは俺の幼馴染の五代海斗ごだいかいと

 もう10年近い付き合いの俺たちはかけがえのない親友と呼べる存在だ。


「おはよう海斗。色葉」

 俺は海斗ともう一人の幼馴染、式時色葉しきときいろはにあいさつを返す。

「夏休み終わっちゃったね」

「そうだね。でも、結構楽しかったよね。祭りも行ったし、海も行ったし」

 俺はそんな楽しそうな二人の会話を聞いていると始業のチャイムがなる。




「おはようみんな。夏休みは楽しんだか?」

「ケイッチ先生おはよ~~」

 生徒たちが口々に担任である甘城啓之助あまぎけいのすけ先生にあいさつを返す。

 啓之助先生は生徒からの人気が高く、親しみを込めてケイッチと呼ばれているのだ。


 いつも通りの楽しい学校生活。

 そう思いたい。

 だが、俺の心はすでに諦めているのかもしれない。

 普通の高校生にはなれないと。



「お昼一緒に食べよ」

 午前の授業が終わり、生徒たちの待ち望む昼休みが始まると色葉が提案してくる。

「いいぞ。海斗もどうだ?」

 俺は後ろの席に座る海斗も誘ってみる。


「うーん……僕は生徒会の仕事があるから2人で行ってよ」

 海斗は意味ありげに色葉にウィンクして教室を出て行く。

 夏休み前から2人はこんな調子だ。

 付き合っているなら親友として何か報告の1つでも入れて欲しいものだが……


「今日は高いの奢って貰おうかな〜〜」

 食堂に着くと色葉がメニューを見ながらそんな事を言ってくる。

 なぜ、俺が奢る前提で話が進んでいるのか分からないまま俺はスペシャルランチの食券のボタンを2回押す。


 席に着いて2500円もするスペシャルランチに箸をつけた所で俺は色葉に質問してみる。

「なあ、色葉はもし世界が滅亡したらどうする?」

 高いランチを奢ったのだこれくらいの質問には答えてもらおう。


「え? 何、急に」

「もしもだよ、もしも」

 本気で捉え始めたため、仮定の話だと付け加える。

「そうだな……いっぱいご飯食べるとか、友達と楽しく遊ぶとか、でもやっぱり……好きな人に思いを伝えるとか……かな?」


「えっ? まだ、付き合ってないのか」

 てっきり付き合っていると思っていた俺は驚いて肉団子を落としてしまう。


「なんだったら俺が海斗と2人っきりになるように……」

「はぁ……」

 色葉は小さくため息をつく。


「鈍ちんはお一人でどうぞ」

 色葉はあっとゆう間に食事を終え、席を立って食堂をでてしまう。


「俺、何か悪い事したか……?」


「はぁ……相変わらず進展ないねアンタたち」

「軽。進展ってなんの話だ?」

 眼鏡をかけた少女が俺の肩を可哀想に叩いてくる。

 同じクラスの中町軽なかまちけいだ。


「叶恵の親友としてアドバイスしてあげれば総司、アンタは頭良すぎるんだわ」

「そりゃどうも」

 誉め言葉として素直に受け取らせてもらう。

「やっぱり悪いかも……。私の言いたい事はね、アンタは人の会話を先読みしすぎなの。おまけに女性経験が皆無」

 軽はもう一度俺の肩を可哀想に叩く。

「恋愛か……悪いがあんま興味ないな」

 思い返せばあまり女性と仲良くなりたいと考えたことはないかもしれない。


「やっぱそっち系?」

「じゃあな軽」

 軽はボーイズラブを期待しているのだろうが、俺はそっちに興味はない。

 このままでは、面倒臭い展開に成りかねないので、逃げるように食堂を出た。



◆◆◆◆◆◆◆◆




「お帰り」

「何食べてんだ?」

 俺が家に帰ると悪魔は熱心に口にお菓子を詰め込んでいた。

「これなんて言う食べ物なの?」

「アーモンドチョコの事か?」

 別に珍しいお菓子でもない。そこらのスーパーでも買える。


「この甘苦いチョコの中にアーモンドの食感がたまらなくてさ~~」

 そんなに美味しそうに食べているので俺も1つ食べてみる。

「美味いな」

 久しぶりの糖分は思いのほか口に溶ける。


「そうでしょ~~ 地球が滅亡する前に食べておきたいじゃん」

「一気に不味くなった……」

 チョコのないアーモンドの触感がより俺のマイナスの気持ちを掻き立ててくる。



「さて、計画の方はどうなのかな?」

 悪魔は鋭い視線で俺の目を覗き込んできた。








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