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25.ストレスとボール 



何か気分転換したい。



そんな風に昇華にリクエストしたら、

彼女は私をバッティングセンターに連れて来た。



「昇華、野球とかするの?」


「え?しないよ」


「ふーん」



「スカッとするなら、ここでしょ!ドラマで見るやつ」



「うーん」


「不満?」


「全然、やったことないから、打てるかな?」




初心者の私たちは

一番低速のボールが飛ぶ所で

交代でバッティングする事になった。



バットを構える。



昇華がお金をチャリンと入れて

ボタンを押すと、昔の画質のゲーム画面みたいなとこにいる投手が

ヌルッとした滑らかな動きでボールを投げた。




ぼん、その音と共にボールが飛んでくる。




あまりにも怖くて、私はそれを避けた。




「ちょっ!」

昇華は笑っている。


「無理!怖い!」

こんなボール、ぶつかってきたら、怖い!



「次!来るよ!」



またしても、ボールを見逃す私。

どすん、という音を立てて、壁にぶつかって落ちる。



「頑張れマク!」



「無理だよ!昇華」



「叫びながら!バット振ってみよー!」




「ええっ!?」



画面の中の投手が、ヌルッとした動きで

ボールを投げる。



スポン、とボールがこっちに飛んでくる。



人間、数回見たものは慣れるのかもしれない。




「きゃぁぁぁああああっ!!!!」

私はよく分からない叫びを発しながら、バットを振る。





見事な空振り。



「いいね!次来るよ!」

昇華は笑っている。




「ぬぁーーーっ!!!」





空振り。




「だぁっ!!!」


少し掠った!



「ラスト一球!」



「はぁっ!」


ボールの芯をとらえた。

ただ、私の力が弱くて、バットに打たれたボールは

弱く弾き返された。


私の両手はその衝撃でじーんとしていた。



「どうだった?」



「た、楽しいかも・・・」


「次、私ね」




場所を交代する。

バッターボックスに立つ昇華の姿は

やはり綺麗だった。


カキン・・・


一発目から、彼女はボールを捕らえていた。



出来る女って、なんでも出来るんだ・・・

私は思った。




「マク!見ててよ。ドラマの真似。こういう時は、こう叫ぶんだよ」



ぬるっとした画面の投手が投球する。

飛んでくるボール。


ぐっとバットを構えた昇華は

思いっきりスイングした。




「バカヤロウ!!!!!」



などと叫びながら。



その球は、直角に跳ね、天井付近にぶつかって

跳ね返って、ヘルメットをしていない昇華の頭にぶつかった。



心配よりも私は・・・



笑っていた。




昇華は怒りながら、そのボールをデジタルの投手に向けて投げていた。

届いてないけど。



「マク。やってみて」




私も、叫んでみた。




「バカヤロウ!!!!」




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