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24.大きな声の出し方 《4/4》



その格好で原付に乗っていいのか

私にはわからない。

彼はそんなレベルのラフな格好をしていた。


楠田くん。

バイト先の銀髪マッシュヘア。



「幕間さんっぽいな、って思ったら、幕間さんだった!」



私は涙を見せたくないし、きっと化粧が崩れてるから

少し俯いている。



「こ、こんにちは」

「いや、こんばんわでしょ!」



なんて健気に突っ込む楠田くん。



「え?ごめん?どした?俺に会えたのがそんなに嬉しかった?」


などと、場の雰囲気を和ませようとしてくる。



「いや・・・」




この人は、なんだかんだでいい人だ。



でも、内容が内容だし

どうして泣いてるかなんて話せるわけがない。




「うん、あれだな。幕間さん、変な意味じゃなくて、家まで送るよ」

「えっ?」

「いやマジで家とか入らないから」


「いや。いいですよ」

こういうところで拒否してしまうのが私。

何より楠田くんには、泣いてるとこ見られたくない。


「いやー、泣いてるレディーをほっとけないっしょ」



タイミングもそうだ。

この人が、もしかして・・・



私の白馬の王子様!?



泣いてる所に現れる。

私を放っておけない。

私の第一印象は最悪だったのに。



こ、これは

少女漫画で言う、ヒロインと彼氏の関係!!!!




さっきは鷹飛車先輩の性交渉を拒否してよかった!




なんだかんだ言って、送り狼的なアレで・・・



私の部屋に来て・・・




「じゃ、ここで」




来なかった。




楠田くんはヘルメットを被る。



「ありがとうございました」

「いいのよいいのよ」


「あの・・・楠田さんはここら辺に住んでるんですか?」


「え?違うよ。今から彼女んトコ行くだけ」



これがギャグ漫画なら私は間違いなく

ずっこけている。



彼女持ちかよ!




いや・・・そうだよな。




私は家に帰り、シャワーを浴びて

メイクを落としながら思う。




本当に当たり前のことだけれど。

良い男ほど、手は届かない。


届かないと言うか、誰かの手に届いている。




恋愛の市場において、モテ女が金持ちだとすれば

価値のある男なんてすぐ、買っていくよな。




私は金のない貧乏処女。




手の届かない高価な男は既に売約済み。



私にタダで譲ってくれる男は

性格の悪い鷹飛車みたいなクソ男。




悲しすぎる。




自分を卑下するしかない。



処女を馬鹿にされて。




その時、昇華から電話があった。

1コールで出た。



「もしもし?マク?楠田から聞いたけど、泣いてたの?なんかあった!?」




根回しも出来る男。

楠田くん。



相談に乗ってくれる女。

昇華。




このいい人たちは

付き合っている人がいる。



そりゃ、そうだよな。







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