13.チーム転がる石! 《前編》
昇華に選んでもらった一張羅を見に纏い、
昇華に教えてもらったコスメとやり方で
化粧をし、こまめにトイレでそれをキープ。
鏡の前にはいつもと違う私がいた。
今日は水曜日。サークル活動の日。
自分を変えると言うのは
やはり恥ずかしい。
可愛くなったはずなのに、恥ずかしさが勝ってしまう。
サークル棟に、ドキドキしながら向かう。
「おはよ、マクちゃん。アプデした?」
「アプデ・・・」
「グゥーッと」
櫻子が親指を立てる。
褒めてくれているのだろうか。
今日もチーム毎に活動を行う。
鏡張りのトレーニングルームにいた。
私たちはチーム転がる石。
略して転石。
メンバーは9人。
先輩が仕切り始めて、説明をする。
「みんな。劇団ファンクションでは、定期的にチームで対抗戦を行います」
そう言ったところから
先輩が淡々と説明をする。
5月の連休明けから、1ヶ月の練習をし
6月末にチーム対抗の発表会を行う、ということ。
「9月には新人公演。10月は文化祭公演があります」
9月の新人公演は私たちの実質の初舞台。
今回のチーム対抗戦はその練習みたいなものだ。
10月は4年生の先輩方の最後の活動になるという。
意外とイベント目白押しだな・・・
私はそう思った。
「まずはチーム対抗戦。チーム転石の新人3人とも演者希望だよね?」
「はい」
3人の声が揃う。
私たちは皆、演じたかった。
「新人公演は演者の数が限られます。チーム対抗戦での皆さんの演技で、新人公演のキャストが決まります。頑張ってね」
今年の新人は9名。
このチーム対抗戦の活躍でキャストが決まる。
そう言うことだった。
競わせる、と言うことなのか。
「よし、頑張ろうぜ!」
茂木くんはやる気満々だ。
「先ずは役割を決めないとね」
櫻子がそう言う。
櫻子の言う役割とは
私たちが演じる役の役割ではなかった。
メガホンを持ち、演技指導を行う監督。
演劇のシナリオを担当する脚本。
舞台を彩る大道具と小道具。
タイミングよく明転暗転の照明。
気持ちよく鳴らせ音響。
その人達に支えられて舞台に立つ、演者。
「と言うわけだ」
先輩が説明する。
私はこの先輩が偉そうで嫌いだ。
偉そうにしてるのは、単純に一番上だからなのかもしれない。
鷹飛車先輩。
4年生の男。眼鏡でパーマで全然格好良くない。
結局、この人が監督をやることになった。
3年の先輩二人が音響照明。
他3人で小道具、大道具。
これで計6名。
そして私たち演者でチーム全員の9名。
チーム転がる石の役割が決まる。
「脚本は皆で探すか、書きたいやつが書く」
そう言う流れになった。




