11.日曜喪女改造計画 《前編》
落ち着きを取り戻し、私と昇華は会話をする。
「昇華は緊張しないの?」
「するよ」
「私、人前が苦手なの」
「うん」
「どうしたら、緊張しなくなるかな」
「うーん・・・自分に自信を持つとか?」
「持てないよ」
「マクちゃんが自信を持てないのは、あれかも。誰かに認められてないとか」
「うーん」
「マクちゃんって彼氏いるの?」
「いない」
「彼氏出来ると、結構変わるかも」
それは難問。
私は本当に面倒くさい思考をしている。
乙女の純情を捧げる相手は
正直誰でもいい。
ただ、理想の彼氏にそれを捧げる事も
望んでいる。
だから、ただ相手が現れるのを待つだけじゃなく
自分を変えようと頑張っている。
でも、彼氏を作るために
自分を変えようとしているのに。
自分を変えるために
彼氏を作るなんて、
二律背反というやつだ。
難問すぎる。
「私、モテないよ」
「マクちゃん、ほんのもう少しだけ、オシャレしたら、変わるかも」
「え?」
それはオシャレじゃないと言われているようで
私はショックだった。
昇華に言われれば、尚更。
「ねーねー、明日暇?」
「う、うん」
「じゃあさ、買い物付き合ってよ」
「えっ、分かった」
「じゃ、明日ね。詳しくはラインする」
そう言って通話が途切れた。
感情が疲れた。
昇華が心配してくれたことに
私は本当に嬉しかった。
ただ、その昇華にダサいと言われている気がして
いや、たぶんそう言うことだから、凹む。
昇華の言葉を理解するのは難しい。
彼氏が出来れば、自信がつく?
そんな簡単な事、あるのだろうか。
その日は、私服を悩みに悩んだ。
朝はすごく早く起きて準備した。
主要駅で昇華と待ち合わせ。
閑散とした人達の中で身長が高く
オシャレな雰囲気を纏った人がいる。
昇華だ。
どうして、私に・・・
こんな私を友達だと思ってくれるんだろう。
私はそこに裏がある気がしてならない。
「おはよ。マクちゃん」
「おはよう、昇華・・・綺麗」
「ありがと」
バスに乗って、少し離れたアウトレットモールに到着する。
ここは家族連れやカップルで駅よりも人混みが出来ている。
「お洋服買うの、付き合ってよ」
「うん」
たぶん、昇華と出会わなければ
私は地元の衣服店かネットショッピングで服を買っていたと思う。
私でも分かるレベルのブランド店やCMでよく見る店。
そういった足を踏み入れたことのない店に
私は足を踏み入れた。
昇華がいるから、恥ずかしくない。
でも、昇華といるから・・・
不釣り合いな私の存在が
浮き彫りになってしまう。
立ち鏡を見ると、悲しくなる。
昇華よりも身長が低くて、
昇華よりも髪の艶が悪くて、
昇華よりも太っていて、
昇華よりもファッションセンスがなくて、
昇華よりもブスな私。
「ねぇ、これマクちゃんに会うかもよ」
昇華はそんな感じで色んな店で
色んな服を私に着せてきた。
まるでお人形遊びのように。
昇華は私の事を褒めてくれた。
「マクちゃんは可愛いよ」
「マクちゃんは甘めのファッション似合うかも」
「この可愛い服、似合うと思ったんだ」
「このパターンのマクもいい!」
なんだろう。
カメラを向けられて、何枚も笑顔で写真を撮られる時の
モデルさんってこんな気分なのかな。
すごく褒めてもらって・・・
嬉しい。
サイズ感、とか、差し色、だとか、抜け感、だとか。
コスパ、とか、ボタニカル柄、だとか。
春夏兼用、とか、普段着使い、とか。
聴いた事ない言葉の羅列には
ついていけなかったけど。
少し、ファッションに興味が出てきた、




