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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第一部終章 ティトたちの冒険は続く
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第95話 どエルフさんと別れと旅立ち

「じゃぁ、俺たちはこれから南の方に向かうので」

「あの、本当にお世話になりました。また、何か機会があれば」


 そうね、また会うことがあれば、一緒にお茶でもしましょうか、と、少女エルフに対してお姉さんぶる女エルフ。

 ひと晩あけて、体力が回復した少年勇者と少女エルフは、世話になった男戦士パーティに挨拶にくると、そのままキャラバンに引っ付いて南の国へと向かった。


「ふっ、ではな。また、いずれどこかで会うこともあるだろう」


 とは暗黒騎士が残していった置き手紙である。

 行先も告げずに、男戦士たちよりも早く街を後にした暗黒騎士とそのパートナーの魔法使い。

 結局彼らが何者だったのか、結局分からずじまいである。

 どこか後味の悪さを感じる女エルフだったが、とうの手紙を残された男戦士は、からっとしたものだった。


「なに、俺たちのような冒険家業では珍しいはなしではないさ」

「まぁアンタとアイツは、魂の絆で結ばれてるんだものね」

「あれ? もしかして妬いてるんですか、モーラさん」

「男に嫉妬するなんて、変なんだぞ、モーラ」

「ちーがーいーまーすぅー!! そんなじゃないから!!」


 ふん、と、顔を振ってそっぽを向く女エルフ。

 そんな彼女をはははと、男戦士のパーティが笑った。


 主人に預けていた鎧は返って来た。

 曲がった剣についてはどうしようもなかったが、少年勇者と暗黒騎士が気を利かせて、男戦士を準優勝という形にしてくれた。その賞金で、なんとか間に合わせのショートソードは手に入れられた。


 準備万端、エルフ好きの店主が見守る中、男戦士が空を見上げた。


「さて、冒険に出発するにはよい天気だな」

「ティト。今度は古いダンジョンのあるクエストに行きたいんだぞ。僕がしっかり案内してあげるぞ」

「私はいろんな国を見て回りたいので、遠くに行けるクエストがいいですね」

「私は、そうねぇ――アンタが行くところについていくわよ、ティト」


 男戦士を見るパーティメンバーたち。

 頼りになる仲間を見つめて、ふふっ、と、男戦士が笑った。


 と、思いきや、そこからの、いつものショック顔である。


「モーラさん、それは、いったいどういうことでしょうか」

「えっ? いや、別に、あんたに付き合うって、それだけのつもりだけど」

「いくら相棒とはいっても、トイレやお風呂、ふとんの中まで入ってこられるのはちょっと、男と女の関係としてどうかと――」

「そんなこと言ってないじゃないの!! なに勝手に変な妄想広げてんのよ、この――バカティト!!」


 べしり、と、女エルフの杖が男戦士を叩いた。


 あははは、と、女修道士とワンコ教授の笑い声が、青空へと広がっていく。


「もはや俺にはプライベートもないというのか。ヤンデレ、これがヤンデレエルフという奴なのか。まさかそんな属性までカバーするなんて、流石だなどエルフさん、さすがだ」

「カバーしてない!! もう、いい加減にしてよね!!」

第一部はここまでです。おつきあいくださりありがとうございました。m(__)m

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