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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第一部第六章 エルフさらいの悪漢ドワーフ
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第94話 どエルフさんと大会の行方

 さて、ドエルフスキーとの戦いを終えた男戦士たち一行。

 洞窟から街へと戻ったころにはちょうど夜が明けていた。


「ここから、武闘大会に参加するのはちょっと無理ね」

「だぞ、もう、眠くて、限界なんだぞ」

「なかなかの強行軍でしたからねぇ。ねぇ、ティトさん?」


 女修道士シスターが同意を求めて男戦士の方を見る。

 なんということだろう、器用なことに、男戦士は目を開けたまま、鼻から風船を膨らまして歩いているではないか。


 寝ながら移動していたのか、と、その奇行につっこむ気力もない面々。

 かくして彼らは、武闘大会への参加を早々に諦めたのだった。


「それで、貴方たちはどうするの?」


 と、女エルフが問うたのは、パーティーの後ろを歩いていた、暗黒騎士と少年勇者のパーティだ。

 少しも考える素振りも見せずに、少年勇者は決まっているだろうと答えた。


「当然棄権する。これ以上、ララに無茶はさせられない」


 そう言った彼の背中には、小柄な少女エルフが寝息を立てている。

 なんとも過保護な少年勇者に女エルフは微笑んだ。


 で、貴方は、と、少年勇者と違っていくらか辛辣な視線を向けたのは、暗黒騎士の方だ。

 男戦士や少年勇者と同じように戦った彼であったが、そのパートナーともども、まるでなんともないという感じの顔をしていた。


「ふっ、まぁ、戦い甲斐のある相手が棄権するのであっては、あの大会に参加する意味も少ない。俺も棄権するとしよう」

「随分と余裕じゃない。ちょっと腹が立つわね」

「そもそも私の目的は大会での優勝ではないからな」


 そう言って、彼は少年勇者を見る。

 共闘しながらもまだどこかで心を許していないのか、そんな視線に少年勇者が噛みつくような視線を返した。


 ふっと、それを笑ってかわす暗黒騎士。


 どうせろくでもない目的なんでしょうねと、半ばあきれた感じで女エルフが言った。


「しかしそうなると、優勝者は一人残ったマッチョチームか」

「勝ち目がない試合でもないのに残念ですね」

「まぁ、いいことしたんだから、仕方ないんだぞ」


 あるいは寝てても、この男戦士なら戦えるのではないか、そう思ってじっと男戦士を見る女エルフ。

 ふと、そんな視線を感じたように、男戦士が首を女エルフの方に向けた。


「やめるんだモーラさん!! 胸をいけにえに破壊神を召喚するだなんて!! いけにえにするような胸なんてどこにもないじゃないか!?」

「はい、まぁ、いらんこと口走って変なことなっちゃいかんし。素直に棄権しましょうかね」

「バカな、無より破壊神を生み出す、これがどエルフの力だというのか。流石だなどエルフさん、さすがだ――」

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