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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第八部第一章 深海の都 オ○ンポス
812/814

第812話 どエルフさんとホラーハウス

「で、なんでそんな格好してたのよ? 趣味じゃないわよね? 趣味ならアンタエルフにもなるし?」


「失礼な。エルフィンガーティト子になるのは、俺もやむを得ない事情があるからで趣味ではないぞ。まったく、妙な誤解はよしてくれモーラさん」


「……まぁ、ティトがこの様子だから私から話そう。私たちは、君たちが黄道十二宮について話している隙に、この階層の英雄により拉致られたんだ」


「この階層の英雄?」


「あぁ、そして、泣く泣くこの恥ずかしい格好をさせられて。騎士としての尊厳と、男としての矜持を傷つけられた俺たちには、茫然自失になるしか」


「ちょっとエルフィンガーティト子は黙ってろ」


 だから違うと言っているだろうと必死に弁明する男騎士。

 その必死さが逆効果だということを、アホの彼には理解ができないようだった。


 男騎士を無視して、女エルフと壁の魔法騎士は話を続ける。


「つまり、この階の英雄に会ったのねゼクスタント」


「あぁ、といっても、一瞬見ただけだけれども。間違いない。あれは道化男――」


「道化男!?」


 その二つ名を、女エルフは知っていた。


 かつて中央大陸を荒らしまわった狂気の連続殺人鬼。

 道化師の格好をして人に近づくそいつは、百人近くの罪なき人々を、ただ己の快楽と顕示欲のために殺りくした化け物である。


 もっとも、その最後は悲惨なもの。

 彼に身内を殺された者たちの手により、むごたらしく殺されたのだという。


 英雄とは真反対。

 反英雄ともいうべき存在。


 その男の名は――。


「殺人ピエロ、ペニ〇・サイズ!!」


「やめて!! その名前を口にしないで!! 汚らわしい!!」


 例によって直接的な感じの名前をしている奴であった。

 そして、女エルフ、いまさらカマトトぶるのであった。


 仕方がない。


 ペニ〇・サイズである。

 サイズはともかく、前の言葉はもう完全に伏せなければいけない奴である。


 しかし壁の魔法騎士、流石は男騎士の義兄。


「確かに汚らわしい名前だろう。俺もペニ〇・サイズ、その名前を口にするだけで怖気を催す。けれどもペニ〇・サイズだったのだ。あの狂気がにじんだ顔は間違いない、ペニ〇・サイズ。道化師の化粧を剝れたペニ〇・サイズの肖像画と、アレはそっくりだった。剥かれたペニ〇・サイズとそっくりだった。縛られたペニ〇・サイズ、君も見たことくらいはあるだろう、モーラさん」


「ペニ〇、ペニ〇うるさい!! やめろ、セクハラよ!!」


「なぜだペニ〇・サイズと言っているだけじゃないか!!」


 言っているだけなのに問題なのだ。

 もうこういう展開何度もあったのに学習しないのがこいつらなのだ。


 いや、そういう展開がいくらでもあったが、壁の魔法騎士は把握していないからついつい連呼してしまったのだ。


 女エルフが、この手のセクハラに頭を悩ませていることを知らないから連呼してしまったのだ。


 けれどもペニ〇・サイズである。

 普通気づいて止めるようなものであろう。

 流石は男騎士の義兄弟。知力は高いようだが、やっぱり肝心なところで、恥力が足りていないようだった。


「分かった、分かった、分かったから、名前を言うのはやめてちょうだい!!」


「なぜだ!! ペニ〇・サイズの何がいけないんだ!! ペニ〇・サイズ!! ペニ〇・サイズは確かに犯罪者だが、それでもただのペニ〇・サイズだろう!!」


「まぁ、待てゼクスタント。冷静になるんだ。ペニ〇・サイズの話に、こうも敏感に反応するとは。もしかするとモーラさんは、ペニ〇・サイズに何か恨みがあるのかもしれない。個人的にペニ〇・サイズに恨みを抱いているのかもしれない」


「抱いていないし、何にもないわよ!! そして、ティト、しれッとお前も参戦するな!!」


「いったい何に参戦したというのだペニ〇・サイズ!!」


「そうだ、何に参戦したというのだペニ〇・サイズ!!」


「私がペニ〇・サイズみたいな切り返しはやめろ!! 馬鹿!! とにかく今すぐその名前を連呼するのをやめなさい!!」


「どうしてペニ〇・サイズ!!」


「ホワイ・ペニ〇・サイズ!!」


「いいかげんにしろー!! うがぁーっ!!」


 女エルフの火炎魔法が炸裂する。

 男騎士、壁の魔法騎士、二人を巻き込んで炸裂したそれは、二人の歴戦の勇士をこんがり焼けた筋肉ダルマに変えたのだった。


 うぅむ。


「こりゃ、ティトとこいつが悪いな。モーラちゃん、災難だったな」


「もぉやだぁ!! このセクハラパーティー!!」


 魔剣も思わず慰める惨状。


 女エルフ。

 三百歳ということも忘れて、彼女は顔を真っ赤にして恥じらい泣きした。


 流石にいい歳した女でも、ペニ〇連呼はちょっと堪えた。

 普通に恥ずかしかった。

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