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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第七部第八章 七悪顕現!! 破れ絶対障壁!! 掴め人類の未来!!
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第785話 ど店主さんとミッテル九傑奥義

【禁忌封印魔法 生わかめ亀甲縛り: 文字通り、生わかめによりその身体を緊縛して封印する神聖魔術。海母神が治める海中でしか使用できないため、使用条件は厳しいがその効果は折り紙付き。禁忌指定されているのは、割とガチで人命にかかわるから。そう、海藻に脚を取られての海難事故は割とシャレにならないくらい多い。もうすぐサマーシーズンですが、みなさんもくれぐれもわかめには気をつけてください。泳ぐならちゃんとした海水浴場で!! 遊びもご安全に!!】


「「なっ!! 忌々しい七柱が海母神マーチ!! ここで肩入れするか!!」」


「この封印魔法から逃れることは不可能!! このまま、水底は光も届かぬ場所まで連れていかれるがいい!!」


「「……しゃら、臭いわ!!」」


 次々に深淵より襲い来る生わかめ。

 それに向かって、暗黒の粒子をぶつけて引きちぎる黒髪の模造神。


 はたして、彼女を触手が捕まえきるのが早いか。

 それとも、それを全て破壊しつくすのが早いか。


 海母神が支配する海の中。

 いったいどこから流れてくるのだろうか。

 無尽蔵にやってくるわかめの群れ。


 さしもの黒髪の模造神も、これには敵わぬかと思われた。


 思われたがしかし。


「お忘れではないですか!! この私がいることを!!」


 敵は彼女だけではない。

 月面の道化師――道化の模造神が、それまでこどに潜んでいたか、突然その姿を現した。彼女は、すぐさま体から琥珀の棒を取り出せばそれを海中へと打ち込む。

 男騎士たちの気が逸れた隙を突き、詠唱するのは神代の魔法。


「我が主神に願い奉る。我が宿業は道化あざむくもの。人の定めし時の宿命を欺いて破りたまえ」


 潮流が起こる。

 大海の只中、何もないそこで突然起こった大きな渦潮。

 それは、彼女が水面に投げ込んだ、琥珀の棒が起こした奇跡に他ならなかった。


 道化あざむくものが欺いたのは人の時の理。


 すなわち、海の潮の流れを支配する月の満ち欠けである。

 それを意図的に乱して道化の模造神。

 彼女は大渦を巻き起こして、今、仲間に襲い掛かろうとしているわかめの群れを一網打尽に駆逐してみせたのだ。


 鮮やかな手際。


 完全にこれは不意を突かれたと男騎士たち。

 すぐさま、道化の模造神に向かって切りかかるも、時すでに遅し。


「ふははは!! 油断したな、人間ども!! さぁ、我らに反撃の余地を与えたのが運の尽きぞ!! 滅ぶがよい――!!」


「まずい!!」


「ティト!! 俺をとりあえず道化の方に投げつけろ!! 神殺し免状(ゴッドスレイヤー)で、絶対障壁を外さないと――!!」


「「いや、その必要はない!!」」


 虚空に響くは勇ましい益荒男の声。

 どこから響いたかその声は、重なって大海原に響く。


 あれは誰だ、なんだ、どういうことだ。

 海面を走る二つの影は間違いない。


 足だけを動かして、華麗に水面を行くそれは間違いなく――。


「上級使徒――道化あざむくもの強奪うばうもの!! しかしながら、絶対障壁を破られた今ならば、我ら使徒の攻撃も通るというもの!!」


「今こそ、使徒の力を使う時ぜよ!! 良馬――いやロー・シュンギー!!」


「おうさ、九傑衆の力、見せる時!! かますぞ、以蔵――コウガァ!!」


 ミッテル九傑という名の、二人の変態であった。


 店主と暗殺者。


 水の上を華麗に駆ける二人が迫るは黒髪の模造神。

 絶対障壁をはがされて、今、わかめの戒めを解いたばかりの彼女に向かって、変態二人は回転したまま、雄たけびと共に突っ込んだのだった。


 混ざり合う、男たちの身体。

 高速回転するそれは、大きな旋風となって水上を走る。

 大渦よりも激しい、暴風のつむじ風が波を割って大海を突き進む。


 狙うは――模造神の心臓。


「「我らミッテル九傑衆!! 戦神の加護あらん!! 見よ、これが究極奥義!! 九傑衆電光旋風!!」」


 つむじ風が二つに割れる。

 別れた二人の模造神。

 その胸に向かって飛んだ店主と暗殺者は、女エルフとからくり娘も息を呑むほどの、抜群のコンビネーションにより、同時にその心臓を貫いた。


 神の口から、赤い滾りが飛び出る。


 神の命に、人の攻撃が届いた。

 確かに届いた、その証であった。


「……ま、まだだ!! まだ!!」


「いや、終わりだ、強奪うばうもの!!」


 男騎士、腰だめに剣を構えて船の上。

 狙い竦めるは胸を穿たれた模造の神、その息の根を断たんと気合一閃、彼は僅かばかりの魔力を籠めて、魔剣を横薙ぎに振るった。


 それは奥義。

 究めた奥義。

 横薙ぎとはいえ、横跳びになって放ったそれは、彼が最も得意とする技の応用。


 すなわち。


「横バイスラッシュ!! チェストォオオオ!!」


 頭上から振り下ろす剣の一撃を、身体をくねらせて横に放つ。

 もはや、轟雷の如き魔性の太刀と化した必殺の一刀は、魔力の刃となって、目前の神を断たんと放たれたのだった。


 瞬き一つ、する間も与えぬ。


「「ぐっ、ぐぁああああああっ!!」」


 神殺しの刃が、ここに波濤を越えて届いた。

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