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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第七部第七章 異世界ウワキツ格付けチェック
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第764話 どエルフさんと普通ウワキツヒロイン

「結果発表ォ――!!」


 結果発表である。


 さまざまな描写をすっ飛ばしての結果発表である。

 元赤バニからくり娘の、おったまげウワキツテイスティングを見せつけられるのかと思いきやさにあらず。テイスティング勝負はいきなりの結末へと至った。


 何故か。

 筆者の筆力が足りないから――ではない。


「えぇ、気になるアシガラさんのウワキツワインテイスティングですが、厳正な審査の結果、青少年の健全な育成に影響があると判断されたためカットされました」


「純粋にエロすぎるんじゃぁ」


「葡萄酒飲んで出していい音じゃありませんよ。なんですかあのバキューム音は」


 すごいバキューム音だったらしい。

 それはもう、お前は本当に葡萄酒を飲んでいるのか。ところてんでも吸っているんじゃないのかという、けたたましく艶めかしいバキューム音だったらしい。


 そして、そんなおそろしい音のする食べ方を精緻描写することはできない。


 おまけに。


「バキュームの顔がいかんのじゃぁ!!」


「完全にひょっとこなんじゃぁ!! 顔芸でも女が一番したらいかん奴!!」


「……イェイ!!」


「「イェイじゃない!!」」


 絵面も最悪と来たもんだ。


 お見せできないよ。


 なくなく彼女の雄姿ならぬ雌姿はお蔵入りとなってしまったのだった。


 そして、圧勝であった。

 文句のつけようも、つけ入る余地も、いいところもなんもなく元赤バニからくり娘の圧勝であった。有効、実に十六個。怒涛の大量得点でもって、彼女は女エルフを突き放して勝利したのだった。


 かくして、一番目の勝負。

 葡萄酒テイスティングは元赤バニからくり娘に軍配が上がった。

 ボディコンスーツから再びウェディングドレスに着替えた彼女は、勝ち誇ったように胸を張る。その姿、顔つきまでがうわきつい。


 玉座にふんぞり返って、彼女は足を組むと満足そうに嘆息する。


 一方、負けた女エルフ。


「えー、負けたモーラさんはランクダウンということで、普通ウワキツヒロインとなっていただきます」


「普通ウワキツヒロインの装備はこちら」


「……なんなのよこの趣味の悪い服は」


 趣味の悪い服を着ていた。

 そう、なんかふりふりふわふわゆったりとした、それでいて肌の露出が多い感じの服を着ていた。


 ぶっちゃけ、普通のヒロインが着ていたらそこそこ似合うのだけれど、ちょっと年齢がいってしまっているとヒロインが着ると、「大丈夫か!?」と主人公に心配されてしまいそうな、そんな服装を彼女は着ていた。


 大丈夫か。

 そんな視線が女エルフに飛ぶ。

 いや、お前らが着せたんやろがいという白けた顔つきに、よかったどうやら正気は失っていないようだと、ほっと男騎士たちは胸をなでおろしたのだった。


「えー、普通ウワキツヒロインのモーラさんには、十代ヒロイン系キャラクターの服を装備してもらっております」


「凄いもんやなぁ。十代のヒロインやったら、これ着て表紙飾るだけでバカ売れしそうな露出かつかわいい服やのに、モーラちゃんが着るととんでもないヤバみが」


「ヤバくて悪かったわね!!」


「体型は十代とそう変わらないんですけどね。いったい何がいけないのか」


「うぉい!! やめろや!!」


 表紙飾れない系ヒロインのアラスリ女エルフは、顔を真っ赤にして狼狽えた。

 その狼狽えぶりを、ちゃんとテイスティングの所で炸裂させてくれれば、こんなことにはならなかったのになと、男騎士たちを嘆息させるくらいに狼狽えた。


 BBA狼狽えかわいい。

 そんな感じに狼狽えた。


 そう、行き遅れ女ヒロインの、恥ずかしい格好――無理な若作り――には需要があるのだ。ウェディングドレスからランクは下がるが、それはそれで、ウワキツを感じさせる格好であった。


 とはいえ、やはり、ウェディングドレスよりは一段劣る。


「ほーっほっほ、ザマないわねモーラ!! そんな若い子が着るような、男に媚びた服なんかきちゃってまぁ!! みっともないったらありゃしないわ!!」


「……くっ!! 三百歳エルフにこの格好は確かにきつい!! 魔法少女服とか、スク水とか、サンタコスとか、そういうのよりよっぽどきついものがあるわ!!」


「その調子で、どんどん恥ずかしい格好になり果てていきなさいな!! そして!! 私はこのウェディングドレスのまま、ダーリンとゴールイン!!」


 突如向けられた元赤バニからくり娘の熱視線。

 すくみあがった男騎士。得体のしれない冷や汗が彼の眉間を走った。


 まずいわねと女エルフ。

 このままでは男騎士を元赤バニからくり娘にとられると思ったのだろう。

 彼女は深いため息とともに一度うつむくと、それから真剣マジな顔をして、視線を上げた。どうやら、本気を出す時がきたようねと、そんな感じに。


「さて、ウワキツヒロイン格付けチェック。二番目の勝負は食べ物」


「昭和のヒロインが咥えているアイテムナンバーワン」


「「食パンテイスティングでまいりたいと思います!!」」


 それはそう、古のヒロインたちが口に装備するミラクルアイテム。

 装備するだけで異性とのエンカウント率が異常なまでに跳ね上がり、ドラマを呼ぶ必須アイテム。

 食パンであった。


「一つはお店で一斤六カット売り。しかもおつとめ品の札が貼られた安物食パン」


「一つは、高級店で焼き立てほかほか。丁寧にカットしたプレミアム食パン」


「「さぁ、本日のご注文は、どっち!!」」


 また、番組が変わっている。


 ネタとしてこんなガバガバなことで本当にいいのだろうか。

 マジな顔した女エルフであったが、男騎士と風の精霊王のガバガバな設定に、すぐさまその顔は緩むのだった。

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