表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第一部第四章 狂気のエルフ専門店
58/814

第58話 どエルフさんとどエルフ専用装備

「という訳でだ、俺がモーラちゃんのために、集めたエルフ装備コレクションを見てくれ。きっと彼女がうなるような最適のエルフ装備があるはずだ」

「よかったなモーラさん!! 店のおやじが変な道に目覚めたおかげで、装備が充実したぞ!!」

「ちっともよくないわよ――」


 グロッキーな顔をして椅子に座るエルフ娘。

 大して妙にハイテンションな男戦士と店主の二人。

 あらあらまぁまぁと、いつもの調子な女修道士シスターが、何事かと首をかしげるワンコ教授を連れてエルフ娘の後ろへ回る。


 咳払いをして、男店主は最初の商品を取り出した。


「まずはこれだ。峻険なる雪山の頂に棲むという綿毛鳥、その純白の綿毛を魔法により糸にして織ったという【翼のローブ】だ!!」

「あら、意外とまともなのが出てきたじゃない」


 じゃんと出されたそのローブ。

 絹のようなつややかさと、透き通るような白さをもったそれは、ふわりと店主の腕の中で軽やかに踊る。


 紅色の糸であしらわれた意匠がなんとも鮮やかなその一品。

 おもわず、エルフ娘以外の女子も、おぉと黄色い声をあげた。


「これをなんとエルフ向けに改造してご提供。フードを被っても、耳が当たらないよう、奥に向かって広めになるよう仕立てました!!」

「あらいい気配りじゃない。市販のローブって人間用だから、確かに耳が当たって痛い時があるのよね」

「また、露出度の多い服を好むエルフのために、肌が接触する内側の生地には、よりきめ細やかな綿毛鳥の冬羽を使用しています!! これにより、腕が出てようが腹が出てようが、尻が出てようが、足が出てようが常に快適な着心地を得られます!!」


 すごいじゃない、と、女エルフ。

 これまでの店主の暴走ぶりから、きっとおそらくまともじゃない商品――それこそ、ビキニアーマーとか、葉っぱとか、そういうのが出てくると思っていたのだ。


 これなら普通に買ってもいいわね、と、口に手を当てたその時。


「品質は、私が実際に身に着けてチェック済み!! 着心地も保証いたします!!」

「――ん、ちょっと待って。()()()()()()()()()()?」


 どういうことだ、と、エルフ娘の顔が曇る。

 それはいつもとは逆、男戦士が女エルフが何かをやらかした時にする顔に、とてもとてもよく似ていた。


「もちろんです!! エルフの皆さんに中途半端な商品をお渡しすることはできないと、全品、この私が責任を持って、その着心地はチェックしています!!」

「具体的に、その、どうやって」

「それはもちろん――」


 そう言って、店主はポッと頬を赤らめた。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「うぉい、ただの変態じゃないのよ!!」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ますます変態じゃないの!! というか、チェックする必要あるの!?」


「私はね、いつだ(自分が着た)って最高(この服を何も)の商品を(知らないエルフ)提供(の娘が)したい(着ると思うと)んだよ(興奮するんだ)!!」

「本音が出てる!! やっぱりただの変態店主じゃない!!」


 誰が買うかそんなもの、と、激昂する女エルフ。

 そんな、こんなに着心地がいいのに、と、どさくさに紛れてローブを着せようとする店主を、彼女は魔法で吹き飛ばしたのだった。


「くっ、流石だな店主よ。自分の体を使って、商品の品質を確かめる、その職人としてのプライド、そしてあくなき探求心には恐れ入る。流石だな店主、さすがだ」

「羞恥心の間違いじゃないの――」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ