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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第五部第七章 魔法少女ウワキツモーラ ツライ!!
465/814

第465話 殺人メイドと大剣使い+α

 メイド殺法。

 そう、メイド殺法である。


 古来、メイドとは高貴な身分に仕える身の女性のことである。しかしながら勘違いしてはいけない。彼女たちは奴隷女の系譜を連綿と受け継ぐ者でもなければ、決して雇い主との性的な関係の暗喩メタファーではない。


 そう、メイドとはご職業なのである。

 社会に出て働く女性が選ぶ選択肢の一つであり、決して色物稼業ではない。まして風営法に取り締まられるようなものでも絶対にない。


 そもそも彼らは高給取りで、本物の金持ちにそこそこの御給金を貰い、部屋の掃除から洗濯・料理に育児などなどを執り行う、家事全般のスペシャリストなのだ。

 そして時にはメイド内で仕事を分担し、効率的に家事を行う。

 職業的家事集団なのである。


 そう、主婦が家事のプロと思われがちだがそれは誤解。

 本当の家事のプロとは――古来メイドなのである。

 更には、メイドの中には高貴なる身分の者が行儀見習いで、縁戚にあたる家にメイドとして厄介になるというものもある。


 その辺り、メイドを作中で出す際には、よくよく吟味しなければならない。

 それはもう、世に溢れかえっているメイドモノを超えるためには、絶対に避けて通ることもできなければ、押さえておかなければならない大切なツボであった。


 アキバでにゃんにゃん言っているのが、メイドではないのだ。

 あれはアンミ〇――女給の文化なのだ。


「きゃるーん!! メイド殺法、オムレツ爆散の術!! ぴぴるぽぴるぷ、チキンライスになっちゃえー!!」


「ぐっ、ぐわぁーっ!!」


 しかし、この作中ででてくるキサラはこの通りである。

 アンミ〇――秋葉系のメイドである。

 森〇風ではない、アキバ系のメイドである。


 更に言わせて貰おう。

 きゃるーんとか言っている時点で、お察しであるが――。


 キャン〇ィソフトである。


 カスタムメイ〇、きゃんきゃん〇ニー、Piaキャ〇ットへようこそである。

 なんと恐ろしいことである。このご時世にPC88、まさかのPC98ネタである。駿河屋で投げ売りされている奴である。ギリギリWindowsに移植されているが、楽しめるか微妙な感じのネタの奴である。


 そんな時代という名の暴力を振りかざし、戦場を駆け巡る殺人メイド。

 暗い瞳をこちらに向けて迫ってくる彼女に、中央連邦大陸共和国の騎士たちは戦慄した。なぜこんなメイドがいるのか、なぜメイドがこんなに強いのか、なぜメイド一人を止めることができないのか。


 なぜか。

 答えは自明の理。


「ふふっ!! 全ての不条理に鉄槌を!! キサラがこの狂いに狂った世界観に、メイド仕置きをかましてやるゾ!!」


 そう、近年のメイド文化のぶっ壊れ感である。

 メイド=強キャラという、メイド文化のぶっ壊れ感が、彼女に謎のぱうわぁーを与えていたのである。


 はたしてそんなメイド文化のぶっ壊れが、誰の手によって引き起こされかは定かではない。やはりブラ〇ラ、もしかして月〇、まさかの花〇京、もしくはタマモ〇ャット。なんにしても、もはや、メイドはメイドにしてメイドにあらず。


 メイドが出て来たら強敵と思え。

 そんな感じで、世間のイメージが固まってしまったのが悪かった。


 故にこの殺人メイドのキサラは強キャラであった。

 まごうことなき、本作中でも屈指の実力を持つぶっ壊れチートキャラであった。


 だいたいはたきで叩いて、相手の内臓が飛び散る辺りから、その辺りはお察しの実力であった。そして、そんなメイド殺法の相手を雑兵ができる訳がなかった。


 一点突破。

 陣中を一人駆け抜けていく殺人メイド。

 たった一人のふざけた脳みそお花畑女を、止めることさえできない情けない中央大陸連邦共和国騎士団。

 悔しさに歯を噛み締める彼らの頭上に。


「にょほほほ!! メイド!! 殺人メイドとはこれまた古めかしい!! まだそのような物がこの世に残っていたとは、四半世紀の名残よのう!!」


「うぬぅっ!! 何奴!!」


 殺人メイドキサラの顔が一瞬濃い劇画調になる。

 まるでそれが彼女の本性とばかりにである。


 そんな小ネタは置いといて。

 とにかく、その声は突然に戦場の空から現れた。


 そう、彼女のトレードマークである、高笑いと共に。


 くるり宙を舞う小さな体。振り乱したるは金髪の髪。幼い顔に幼い胸。いかにものじゃロリここに見参。そう、彼女こそはハンスの相棒にして、類まれなる詐術と人望を持ち合わせた稀代の毒婦。


「にょほほほっ!! 大法力のヤミ!! ここに見参じゃ!! 殺人メイド、これ以上お主の好きにはさせぬぞ!!」


「はわわ、見るからに児ポ法にひっかかりそうな絵柄のお嬢ちゃん!! 迷惑だから、業界の安心安全健全化のために、キサラが排除させていただきます!!」


「ふっ、やれるものならばやってみるのじゃ!! わらわの大法力舐めるでない――」


 と、そんな意気込む金髪少女を、脇に退けて前に出る影。

 巨大な剣を背中に背負い、じろりと殺人メイドを睨みつけたのは、緑のマントをはためかせた巨躯の男。


 そいつは、そう。

 驚くほどに緑だった。


 大剣使い、ここに見参。


 真打登場である。


「どいていろヤミ。こいつはお前のペテンでどうにかできる相手じゃない」


「のじゃ!! ペテンではないのじゃ!! 失礼な奴じゃのう、ハンス!!」


「いいから。お前に何かあったら寝覚めが悪い」


 そう言って身をかがめて背中の大剣を抜き放つ。煌めく白刃と共に、気迫の吐息を吐き出して大剣使いは、ちぐはぐな関係のパートナーの前に盾のように立った。


 少し、嬉しそうに顔を歪める金髪少女。

 そんな姿を鼻で笑う大剣使い。


「あらあら、そんな大きなお友達をかどわかして。いけないんですよ、このゲームに出てくるキャラクターは18歳以上ですって、いくら書いても、許されないものがこの世の中にはあるんですから。ノーロリータ、ドントロリータ、アイキャントロリータ、イエスメイド」


「……黙れ!! 俺は、ショタ、だぁっ!!」


 気合一閃。

 大剣使いの太刀が殺人メイドに躍りかかった。

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