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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第五部第五章 大検使いとリザードマンの王国
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第416話 どエルフさんと精霊王の使い方

「という訳で、穴を掘るならアタイにまかせな!! というか、せっかく精霊王と契約してるっていうのに、ぜんぜん使ってくれないってどういうことだい!!」


「あんたらが揃いも揃って、使いづらいキャラクターしてるからでしょ!!」


「相変わらず仲良いですね、モーラさんとサッチーさんは」


「だぞ、喧嘩するほどなんとやらなんだぞ」


「なんとやらじゃねー!! これで仲が良いなら、世界に戦争なんてないわ!!」


 肩を怒らせる女エルフ。

 そんな彼女の肩にそっと土の精霊王サッチーが乗る。


 まるで魔法少女のマスコットのように、エルフの肩に乗った卑猥な埴輪。

 肩を怒らせたついでに、エルフがそのまま頭と肩で挟み込み、埴輪を粉砕しようとしたところに――。


「落ち着きな!! 短気は損気!! 気の短い女ってのはいけないよ!! たとえ旦那がなにしようが、女ってのはどーんと構えてりゃいいもんさ!!」


 なんかいいことを言うのだった。

 ほんとお前、叩き割るぞと女エルフが般若の顔をしたその時。


「そーれ!! 大地の癒し(ジオニック・セラピー)!!」


「あひぃいいい!!」


 女エルフの肩で埴輪が揺れた。

 ぶるんぶるんと卑猥に揺れた。


 そして女エルフは良い声を出した。実にいい声を出した。

 流石だなどエルフさん、さすがだとツッコむのも憚られるいい声だった。


「にゃぁああああああっ!! ちょっ、やめっ!! サッチー、ちょっと、これらめぇえええっ!!」


「何がらめぇえええっ、だい!! そーんなみさくら〇んこつみたいな声出してんじゃないよ!! アンタ!! こんなに肩をカッチカッチにして!! 疲れてんだろ!!」


「そそそ、そうにゃけどぉおおおお!!」


「しばらくアタシの大地の癒し(ジオニック・セラピー)に身を任せな!! 人間、休む時は休む!! メリハリってのが大切なんだよ!!」


 バイ――もとい土の精霊王にはこんな使い方もあったのか。

 いやむしろこれは電マなのではないかと思う男戦士の前で、女エルフは蕩けた顔で前のめりに倒れたのだった。


 なんというか、快楽に負けちゃったような感じで。


「いやぁああん!! 気持ちいいのぉ!! 絶妙に癒されるのぉおおお!!」


 んほぉとか言い出すのはもはや時間の問題であった。


◇ ◇ ◇ ◇


「んほん!! 取り乱したけれど、とにかく土の精霊王が力を貸してくれるのはありがたいわ!!」


 眼の下から隈が取れた、すっきりした顔で女エルフが言った。

 さんざん人様にお見せできない乱れっぷり(顔の)を見せた後だからだろうか、それとも、単純に息が上がっているのか――その顔は真っ赤であった。


 そんな彼女の音頭でもって、竜の王国探検隊がいよいよ動き出す。


「スコップで掘っていたらキリがない。という訳で、サッチー!!」


「あいよ!! アタシに任せなお嬢ちゃん!! チェーンジ・〇ッター・3!!」


 土偶が変形したかと思うと、女エルフの手にまとわりつく。

 卑猥な形をしたそれは――みるみるうちにうねりうねりと捏ねあがるように変形すると、女エルフの右手にとぐろを巻いた。


 そう、それはどこからどう見ても――。


「エグイ……」


暴れん棒(バイ〇)……」


「ちがーう!! 〇ッター・3って言ったでしょ!! ドリルよドリル!!」


「そうこれこそアタイの変形形態その三!! 熱い岩盤だろうが、おねーちゃんの〇だろうが貫くアタイのドリル!! 天元突破カトウ・タカンよ!!」


【変形形態 天元突破カトウ・タカン: 超高速回転でいろんなものを貫く、土の精霊王のとても素晴らしいドリル形態。その威力たるやすさまじく、まるで潮が吹きあがるように土をかき分けて進むことができるという……。けど、兄貴カドカワさん、こんな危険なパロディして大丈夫かな? バッキャロウ、お前を信じろkattern!! 兄貴カドカワさん!! お前を信じる、俺を信じろ!!(なお、katternさんと兄貴カドカワさんはまったく面識ない模様)】


「見てなさい!! こいつでガンガン掘り進んで、一気に竜の王国まで辿り着いてやるわよ!!」


「気合い入れなよお嬢ちゃん!! 女は度胸!!」


「おうよ!! こちとら胸はなくても度胸はあるんじゃーい!!」


 やけっぱちである。

 先ほど、人目も憚らずに乱れたせいもあるのだろうか。

 どこかやけっぱちな感じのする女エルフ。


 行くわよという掛け声と共に地面に向かってドリルを突き立てると、けたたましい音、そして、まさしく潮を吹くように土が辺りに舞い上がるのだった。


「ほーっほほほほ!! 私に貫けない土はないのよぉ!!」


「その意気だよ!! 嬢ちゃん!!」


「私を誰だと思ってやがる!!」


 ノリノリであった。


「……むぅ、猿もおだてりゃなんとやら。流石だなどエルフさん、さすがだ」


「まぁ、モーラさんがその気になっているうちに、後ろに続きましょう」


「だぞ。我に返って止まる前に行けるところまで行くんだぞ」


「……そうですね」


 女エルフの妙なノリをよそに、仲間たちは割と冷静だった。

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