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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第一部第三章 獣人娘と砂漠の遺跡
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第30話 どエルフさんと召喚獣

【前回のあらすじ】


 砂漠を抜けたところにあった峡谷で、謎の声に足を止められた男戦士と女エルフの一行。


「朝は三本足、昼は二本足、夜は四本足の動物とはなんだ」


 という問いに、パーティーで一番アダルトな女修道士シスターが返した答えは愛に飢えた豚野郎――もとい人間であった。

 はたして女修道士の導き出した答えはあっているのか。

 静寂を切り裂いて、今、姿なき者の声が谷に響く。


◇ ◇ ◇ ◇


「人間ではないわ!! 馬鹿もの!!」

「ほら違うじゃない、コーネリア」

「なんだ違うのか。そうだとばっかり思ったんだが」


 おかしいですね、と、首を傾げるコーネリア。


 そんな彼女に忍び寄る陰。

 それは峡谷にできた割れ目から、すっと蜃気楼のように伸びてきた――赤い色をした二本足に立つ獣。


 その眼、その腕、その足は、レザーのマスクによって戒められている。

 口には銀色をした玉が咥えられていた。


オアァウ(正解は)オォウ(この私)オオオウ(火の精霊王)モオオオウ(イフゥ)ウァウゥア(リート)アア!!!」


「なんか出てきたぁっ!?」

「火の精霊王だって!? なるほど、そう名乗るだけあって、なんていうまがまがしい姿なんだ!!」


 まがまがしいというか、なんというか。

 言葉と目のやり場に困るエルフ娘。


 そんな彼女と男戦士をよそに、イフゥ・リートは、女修道士へと近づいた。


アアォウ(女よ)オォウァウ(間違えはしたが)ウモボウオ(見事な推理だ)

「いえそんな、たまたまですよ」

ウウモォ(気に入った)オアウ(そなたに)モアアア(我が加護を)アアウ(授けよう)!!」


 あら、いいんですか、と、女修道士。


 精霊王の加護を受けることなど、そうそうできるものではない。

 受けない手はない――のだが。


「やめておいた方がいいんじゃない、そんなの」

「なにを言っているんだモーラさん。相手は精霊王様なんだぞ」

「火って言うか、被(虐)の精霊王っていうか」


 なによりビジュアルが、と、言葉を濁したエルフ娘。

 そんな彼女をよそに、女修道士はすんなりと、火の精霊王の加護を受け入れたのだった。


【コーネリアは、召喚獣『イフゥ・リート』と契約した】

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