第3話 どエルフさんと回復薬
「ふぅ。手強い敵だったわ」
「モーラさん。回復薬飲むかい。安いやつだけれど」
「いただくわ」
瓶詰めの回復薬をひょいと投げる男戦士。
それを受け取った女エルフは、手慣れた感じで瓶から栓を抜くと口をつけた。
「んくっ。ふぅ。やっぱり安い奴だと、飲んでも効いた気がしないわね」
「まぁ、俺たちくらいのレベルになるとな」
「もっとがっつりよく効くポーションとかってないのかしらね」
「よく効くポーション?」
「そうそう、赤ポーションとか――」
ひっ、と、ひきつる戦士の顔。
あ、これ、また、例のやつだと、エルフが寒い顔をした。
「強壮赤マムシポーション!? 何を言っているんだ、モーラさん!!」
「言ってないけど!?」
「そんなポーション飲んで、いったい何を回復するつもりなんだ!!」
「体力《HP》ですけど!?」
「え、え、え、HPですって!! そんな!! どうしてそんなものが冒険に必要なんだ!! 夜の冒険じゃないんだぞ!!」
「なによ夜の冒険って!!」
まったく、けしからん、けしからんぞ、と、つぶやく戦士。
そういうアイテム知ってる貴方もどうなのよ、と、エルフがあきれた顔をする。
「どろり濃い液で、体力だけでなく精力まで回復するなんて。流石だなどエルフさん、さすがだ」
「こいつの状態異常を治すアイテムとか何かないのかしら――」