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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第一部第三章 獣人娘と砂漠の遺跡
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第23話 どエルフさんと釣り

「カエル魚百匹生け捕りにするとか、どんな依頼を受けてくるのよ」

「すまない、モーラさん。まさかこんなに重労働とは」

「カエル魚、意外と重たいですからね。うんしょ」


 ひょいと女修道士シスターが竿を引けば、その先には黒々とした丸い魚がぶらさがっている。

 広葉樹の葉のような広い尾をもったその魚は、カエル魚と呼ばれる水棲のモンスターだ。


 皆がよく知るところのカエルのオタマジャクシと同じ。

 フロッグウォーリアというモンスターの子供であるこのモンスターは、高級食材としても知られており、市場で高値で取引される。


 それの捕獲をギルドで請け負った男戦士。

 しかし数が法外であった。

 生け捕りで百匹である。いくら旬とは言っても、この量を生け捕りにするのはなかなかに骨の折れる作業だ。


「三日間で百匹だからよかったけれど、これ、三人がかりじゃなかったら、まず無理だったわよ」

「まったく皆には迷惑をかける。持つべきものは頼れるパーティーメンバーだな」

「本当よ、感謝してよね」


 まぁ、それに見合っただけの報酬はあるからいいけれど、と、少し機嫌がよさそうに言うエルフ娘。

 そんな彼女が持つ竿が、ぴくりぴくりとかすかに揺れた。


「あっ、引いた」

「結構しなってますね。大物かもしれませんよ」

「大きくってもしかたないのよ、数を稼がなくっちゃ――。って、ちょっちょ、本当に強い引き、やだ」


 ちょっと手伝って、と、男戦士の名前を呼ぶ女エルフ。


 よしきた任せろと男戦士。

 そんな彼に、女エルフはもたれかかるようにして身を預けた。


 ぽてり、と、彼の胸板に女エルフの頭が振れれば、ほんのりと新緑に満ちた森の爽やかなにおいが、男戦士の鼻孔をくすぐった。


「このままじゃ竿ごと持ってかれるわ。私の体をしっかりと抱きとめておいて」

「抱き!? いや――わ、分かった、やってみよう!!」


 思いがけず急接近したエルフ娘との距離に戸惑う男戦士。

 任せろ、と、言った手前、彼はどうしていいか、どこを抱きしめていいか分からず、手をこまねいた。

 

「ちょっとなにしてるのよティト!!」

「いや、けど、どこを抱きしめたらいいのか」

「そんなのどこだって――ぐぬぬぬっ!! あぁ、もう、ティト、はやく、お願い!!」


 女性の体に触れるというのに抵抗を感じる男戦士。

 これだけパーティに女性が居て異性に慣れていない訳ではないが、ただやはり密着するという行為を堂々と行えるほど軟派な性格もしていない。


 どこを触れば、彼女に嫌悪感を与えないだろうか。

 なるべく性的ではなく、女らしくなく、抱きとめやすい場所。


 はっ、と、気が付いて、男戦士はエルフ娘に手を伸ばす。


「ここなら、どうだ!!」


 そう言って、男戦士がその手を滑り入れたのは、彼女の胸。

 彼はエルフ娘の胸に手をまわしてその体を固定したのだ。


「ふぅ、よかった、モーラさんの胸が女らしくないおかげで、迷わずにすん――」


 竿が飛ぶ。

 拳が飛ぶ。

 顎先をとらえた見事なアッパーに、男戦士の体が飛ぶ。


 顔を赤鬼のように真っ赤にして、女エルフは慌てて振り返ると、男戦士に必殺の一撃をお見舞いした。


「ど、ど、ど、どこ触ってんのよ、このスケベ!!」


 どさり地面に崩れ落ちる男戦士。


「あの限られたスペースで完璧な体重移動、そして、この威力。世界が、世界が見えたよ。流石だなどエルフさん、さすが、だ――」


 KO。男戦士が気を失った。


 そんな彼らの横で、よいしょ、と、投げ出された竿を拾った女修道士が、なんなくカエル魚を引き上げたのだった。

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