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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第一部第三章 獣人娘と砂漠の遺跡
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第22話 どエルフさんと輪

「エルフ族の乳輪は歳を重ねるごとに大きくなっていって、その皺の数でだいたいの年齢が分かるというのは本当なのか?」


 お昼時。

 いったい何を見てそう思ったのか、男戦士が唐突にそんなことを言い出した。


 いつもならば、男戦士、あるいは女修道士シスターが、顔を凍らせる場面。

 しかしこればかりはエルフの表情のが、先に固まることになった。


 何を言っているんだ、お前は、と、ばかりに。


「何を言っているんだ、お前は?」

「いや、人づてに聞いたのだが」

「食事中なんだけれど」

「気になり始めたら仕方がなくって」


 怒髪天を突くとばかりに怒りを肩から発して、相棒を睨むエルフ娘。

 そんな彼女の表情をきょとんと見返す男戦士。


「あ、その話なら、私も聞いたことがあります」


 ちゅるりちゅるりとパスタをすすりながら、しいたけお眼目をぱちくりさせて、話に割り込んできたのは女修道士。

 いや、聞いたことあったら困るんだけれど、と、エルフ娘は聞いたことのない自身の体の特徴に困惑した。


「森の精霊とも呼ばれるエルフ族は、その生態も森の木々にそっくりで、体の節々に樹齢のように皺が現れるとかなんとか。乳首に現れるというのは初耳ですけど」

「現れません!! 迷惑な迷信ね、いったいどこ発信なのよ!!」


 噂の出所が分かり次第、魔法でぶっとばしてやる、と、意気込むエルフ娘。


 しかしなぁ、と、そんな彼女に向かって男戦士が問いかける。


「やはり実際に見てみないことには、なかなか信じられないな」

「なんでそうなるのよ!!」


 まぁ、別に俺が見るとは言ってない、と、男戦士。

 ほれここに女修道士が居るではないかと指をさせば、なるほど、と、女修道士が手を叩いた。


 自分の代わりにエルフの乳輪を確認してくれ、と、いうことだろう。

 女同士ならば、恥ずかしくない――というものでもないが。


「――わかったわよ。まったく、ほんと、馬鹿なんだから」


 言っても分からないのがこの男戦士である。

 観念した様子で、娘エルフは木の陰へと隠れると、ちょいなちょいなと手を振って、そこに女修道士を手招きした。


 しばらくして。

 ほくほくとした顔して、女修道士が木陰から帰ってきた。


 続いて、少し頬を赤らめて、女エルフが彼女の背中に続く。


「どうだった?」


「えぇ、まぁ、慎ましやかなモーラさんの胸にお似合いな、《《桜色のぽっち》》が――」

「ちょっと、乳輪の話はどうしたのよ!?」


 桜色の、ぽっち、と、呟いて、衝撃を受ける男戦士。

 つまり、と、尋ねた彼に、女修道士は親指を立てた。


「三百路処女間違いなしです!!」

「ちがうわよ!!」


「三百年も処女を守り続けるなんて!! なんていうか、《《エッチじゃないはずなんだけれども、すごくエッチな感じだ》》!! 流石だなどエルフさん、さすがだ!!」

「だから、違うって言ってんでしょ!! いや、違わないけど――って、うがぁーッ!!」

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