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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第二部第五章 ギルドマスター
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第144話 どエルフさんと使い魔

「私もそろそろ使い魔を買おうかしら」


「えっ、もう、ティトさんという大きなモンスターを飼っているのに?」


 次の冒険に備えて市場を歩いていた男戦士たち一行。

 その一角にある愛玩動物の売り場を通った際に、何気なく呟いたエルフの言葉を、いつも通り、女修道士シスターがしっかりとフォローした。


 彼女のそういう危ない言葉を、どんな時でも聞き逃さない、聞き洩らさない。

 その執念はいったいどこから来るのかと、ほとほと呆れるしかない女エルフ。その前で、女修道士はわくわくと顔をほころばせていた。


「飼ってないわよ、飼える気しないし、あんなの」


「またまたご冗談を。よく躾けてあるじゃないですか。お手、おすわり、おちん○ん」


「ワン、ワンワン、キューン、キュオーン、キュンキューン」


「やらんでいいわい!! あと、なんでズボンを下ろそうとしてんのよ!!」


 自分のズボンに手をかけて、え、ここでやるの、本当に、と、羞恥に顔を染め身悶えている男戦士。そんな彼の頭を容赦なく、女エルフは杖で叩いたのだった。


 それはもちろん、お○んちんだからだろう。

 女修道士の命令に合わせて、ポーズをとっただけなのに、酷い。


 とまぁ、そんな男戦士の物言わぬ視線を無視して、女エルフは市場にずらりと並んでいる、ペットたちを眺めてため息をついた。


 猫、犬、うさぎにこうもり、亀、そして梟。

 大陸の津々浦々から集められた動物たちを前にしては、物珍しさについ足が止まってしまうのも無理はない。


 その中、一番手前に置かれている、檻の中にいる黒猫に歩み寄った女エルフは、楽しそうに鼻唄をかなでながら、上下左右とそれを観察しはじめた。

 つられてワンコ教授もその猫を眺めはじめる。


「やれやれ、本当にモーラさんは、そういう動物の類に弱いな」


「だって、可愛いじゃないの。おーよしよし」


「だぞぉ。モーラでなくても、気になるのは仕方ないんだぞ」


 動物を眺めてほほえましい顔をする女エルフとワンコ教授。

 その二人の笑顔にほだされて、つい、男戦士の顔も一緒に緩んでいた。


 と、そんな彼らを前にで、一人浮かない顔をしたのは女修道士だ。どうして、ペットたちとの触れ合いに、そんな愁いを帯びた顔をするのか。


「どうかしたのかコーネリアさん」


 いつもはっちゃけている女修道士のしおらしい顔に、思わず、男戦士は彼女にその表情の理由を尋ねた。


 いえ、その、と、らしくない歯切れの悪さを見せる彼女に、つい、女エルフたちも気になって視線を向ける。


「どうしたのよ、気になるじゃない」


「隠し事とはらしくないんだぞ、コーネリア」


「言いたくないのなら構わないが、俺達は仲間だ、何かあれば頼ってくれて構わないんだぞ、コーネリアさん」


 仲間たちの頼もしい言葉に、少しだけだがその顔から憂いが消える。

 彼女は少しはにかんで、それからもっそりとその唇を動かした。


「いえ、なんだか黒猫というのは、モーラさんには似合わないなと、そう思ったので」


 似合わない、と、これまた女修道士の口にも似合わない言葉に、思わず女エルフが首を傾げた。隣に立っていたワンコ教授も一緒だ。


「え、あら、そう?」


「だぞ、黒猫と言ったら、魔女ってイメージなんだぞ」


 限りなく、魔法使いの相棒としてはもってこい。

 そのはずなのだが、どうして、イメージと違うと感じるのか。


 女修道士に問いかけるような視線を投げた女エルフ。その返答という感じに、つっと修道士はその視線を、黒猫の隣の檻にいる犬へと向けた。


「――せめて、犬くらいの大きさじゃないと、満足できないんじゃないかな、と」


「なんの話よ」


「それに、猫のそれは先が針状になっているといいますし」


「だからなんの話よ」


「場合によっては馬なんていうのもいいかもしれませんね。大丈夫、きっとモーラさんなら、乗りこなせるし乗られこなせますよ!!」


「だからなんの話よ」


「えっ、だから、オナ○ーに使う魔の話じゃないですか」


「使わんわ!! そんな用途に使い魔使わんわ!! 魔法使いをなんだと思ってるのよあんたは!!」

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