第13話 どエルフさんとお名前
「なるほど、つまりお二人は、その日暮らしのお金を稼ぐために、大陸を渡り歩いている冒険者。つまり、デリバリーソルジャーと、デリバリーエルフなんですね？」
「なんかいかがわしい感じがするからやめて」
「略してデリソルとデリエルか――惜しいな」
「惜しくないから！！」
わざとか、それとも天然か。
デリバリーをつけてエルフの顰蹙を買う女修道士と、それにのっかった男戦士。
そういうことには頼もしいくらいに気がつくのに、どうしてなのかしらね、と、おぼこいエルフをじとりとした眼で二人は眺めた。
なによう、と、エルフ。
「なんにせよ、これで依頼達成ね」
「仲間の皆さんが心配しておられる。はやく教会に戻りましょう」
「私、教会には戻りません」
「なに？」
「どうして？ みんな、貴方の帰りを待っているのよ？」
「今回の一件で私は知りました。いかにモンスターが神の愛に飢えているかを。見てください、この恍惚の表情で倒れるオークの群れを」
なんと、なんと哀れな。
そう呟いて、女修道士は涙を流す。
別の意味で哀れなんだがと、男戦士とエルフ娘が呆れる中、私、決めましたの、と、女修道士は力強くそのしいたけおめめを見開いた。
「私は神の下僕として、モンスターをも救わなければならない、その使命に気がついたのです。そのためには教会に閉じこもっていてはいけない」
私、このまま冒険者になろうとおもいますの。
真剣な顔で言う彼女に、歴戦の冒険者の二人は面食らった。
「という訳で、おモーラさん、おティントさん。私を貴方たちのパーティに加えていただけないでしょうか？」
「うぇっ！？ いきなりねぇ――どうするティト？」
「回復魔法を使える聖職者は貴重だからな。うん、いいんじゃないか？」
「まぁ、ティトがそう言うなら」
「ありがとうございます、おモーラさん、おティントさん！！」
「『お』をつけるな、『お』を！！ あと、ティントじゃない、ティトよ！！」
「私のことはどうぞ親しみをこめて、女修道士コーネリア、略して――シコりんと呼んでください」
「誰が呼ぶか！！」
「よろしくシコりん！！」
「呼ぶな！！ 馬鹿！！ もう、やだ、なんなのこの卑猥な名前のパーティ！！」
イッているほうより、ツッこんでいるほうのが顔が赤いのはこれいかに。
なんにせよ、旅の仲間に新たなメンバーが加わったのであった。
【女修道士コーネリアが仲間に加わった！！】
