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体育祭が終わってから、初めてのバイト
今日は、後藤さんと一緒のシフトが入っている。
体育祭の事があったか、すごく気まずい。
まさか、後藤さんが俺の事を尊敬してくれているなんて、葵先輩ならまだしも、どうして俺なんだ。
「お疲れ様です。葵先輩」
「おぉ!おはよう!」
今日は葵先輩を始めとする、人たちがいるのか……
そんな中……
「おはよう。後藤さん」
「おはようござます。先輩」
まさか、後藤さんと一緒のポジションで働くとは、一体、どういう神のいたずらなのだろうか……
そんな事を思う俺とは違い、後藤さんはいつも通りにせっせと働く。
俺といて、気まずいとか思ってないだろうか?
「先輩、これ、四番テーブルに持っていってください」
「わかった」
後藤さんに言われた通り、四番テーブルに商品を持っていった。
今日は平日という事で、いつもよりお客さんも少ない。
そのため、お客さんがいないときは、店の掃除をしたり、今日、シフトが一緒の人と、たわいもない話をした。その時も後藤さんはいつも通りだった。
後藤さんの姿を見ていると、なんか、俺だけ、気にしすぎていて馬鹿みたいだ。
そう思った俺は、気持ちを切り替え、仕事に取り組むのであった。
――仕事終わり――
仕事が終わり、俺は帰り際、一旦、休憩室による。
エナジードリンクを買い、少し休憩。
すると、誰かが入ってきた。
もしかして、やっぱり……
「お疲れ様です」
「お疲れ様。今日は何かと奇遇だね」
どうして、今日に限って後藤さんと会うんだ!
シーンとした空気、早く出たいけど、いい機会だ!
「あの、後藤さん。ちょっと聞きたいだけど、いいかな?」
「何でしょうか?」
「あの、後藤さんは俺といて気まずくないですか?」
飲料を取ろうとした後藤さんの手が止まった。
そして、俺の方を見て、こう言った。
「別に気まずいなんて、思ってませんよ。私は本心から先輩を尊敬しています。それと同時に、先輩のこと大好きです!」
「そうなんだ。ありがとう……」
そんなにじっと見てこないでくれ!
このあと、どうすればいいんだよ!
「先輩、しっかりこっち見てください」
目を瞑る後藤さん。
ま、まさか!
すると、休憩室の扉が開いた。
そして、天野店長が入ってきた。
「おっと、ふたりともお取込み中だったか」
「こ、これは違いますよ!」
「分かってる。ただ、あまり羽目を外すなよ」
と言い残し、天野店長は行ってしまった。
天野店長のお陰で助かった……
しかし、なんか気まずい……
流石の後藤さんも、恥ずかしそうにしている。
「そ、そのごめんなさい……私つい……」
「ううん、気にしなくても大丈夫だよ」
なんて言ったが、あれは気になってしまうよ!
今夜は、絶対に眠れないやつだよ!
「じぁ、じゃあ、私、これで失礼しますね!」
後藤さんは俺から逃げるかのように、休憩室から出ていき、帰ってしまった。
そ、さて、俺も、家に帰ろう!
俺は、夏木が待つ家へと帰るのであった。
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