表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/86

体育祭後半


お昼休みも終わり、また体育祭が再開した。


さて、午後一の競技は、俺が出る玉入れだ。


「白金、頑張って!」

「任せておけ!」


 なんて、意気込みいざ玉入れに

結果、俺達のチームは総合一位を取ることができた。


「おめでとう!一位」

「まぁ、みんなのおかげだよ」


 俺なんて、役に立てたいないだろう。

闇雲にボールを投げて、一体、いくつボールが入ったのか、不透明だし


さて、次は全学年対象借り物競争。


確か、小林さんと原田さんが出てくる種目だったような……


――借り物競走――


 選手達が入場してくる。

その中には、小林さんと原田さん、後一年生から後藤さんらしき人もいる。


 ピストルの音と共に始まった。

机に置かれた紙をとり、皆お題にあった物を探しに行く。


小林さん、原田さんを含む生徒はお題の物を探しにいく中、後藤さんだけは、おどおどして、何かを探している。

もしかして、そんなに難しいお題なのか……

なら、なおさら積極的にお題のものを探しにいくべきではないだろうか。


後藤さんがこっちに来る。


「うちの学校にあんな可愛い子いたっけ?」

「なに!お前知らないのか!一年の後藤 小春ちゃんだよ」


 と後藤さんの話題で盛り上がる男子。


そんな男子にお構いなく、きょろきょろと誰かを探している。

そして、俺と目が合うと後藤さんはギャラリーをかき分け俺の方へ来る。


そして、俺の手を掴むとこう言った。


「先輩!私と来てください!」


「えっ?俺!」


「早くきて下さい!」


 まさか、こんな形で出場する羽目になるとは……

一体、後藤さんの紙にはどんな内容が書かれているのだろうか

こうして、俺と後藤さんは見事に三位に入着。

最初はおどおどしていて、これはビリなるんじゃないかと心配したが、好成績を納められて良かった。


「ありがとうございます。先輩のお陰で三位に入賞することが出来ました!」


「それで、どんな内容だったの?」


「えっ?知りたいですか……」


「それはまぁ……」


 こんな目立つ羽目になったんだから、教えてもらわないと困りますけどね。


「なら、教えてあげます。その代わり、耳貸して下さい……」


「自分が尊敬出来る人がお題でした」


 と後藤さんは俺から逃げるように去ってしまった。

俺の事を尊敬してくれているとは……

なんか嬉しいような、恥ずかしいような。だけど、自分に自信が持てたような気がした。



「白金!つぎ私達だよ」


 と島崎さんに引っ張られ、次に参加する学年対抗 二人三脚リレー

クラス強制参加の競技で、俺の中では二番目にやりたくない競技だ。

こんなところで、ミスなんかしてみろ。後々、クラスの冷たい視線などが来るだろう。


リレーが始まった。


現在、俺のクラスは五組中三位。

なんとも嫌なポジションにいるもんだ。

これが、最下位とかだったら、気も楽なんだけどな……


そうこうしているうちに俺達の番が近づいてくる。

この声援とかが、余計なプレッシャーになって嫌になる。

あぁ、逃げたい……


「白金、練習の成果見せようね!」


「そうだね」


 と背中を叩いた島崎さん。

島崎さんは緊張してないのだろうか?


「あの、島崎さん」


「うん?なに」


「島崎さんは、緊張してないんですか?」


「うーん少し緊張している。だけど、私達はたくさん練習してきたから大丈夫だと信じている」


 そうだ。俺達は、クラスメイト中でも沢山練習に励んだと思っている。


だから、自信を持つべきだ!


こうして、俺達の番が回り、俺がバトンを受け取る。


現在変わらず、三位。そして、目の前に二位の組。だが、少し離れたところに四位のクラスがいる。


呼吸を合わせて、練習通りに俺と島崎さんは、互いに「一、二 一二」と声を出し、走る。


後ろの状況は分からないが、あと少しで二位の生徒たちを抜かせる。


「白金、そろそろ抜かすぞ」


 俺達はアウトコースから抜かしにかかる。

これで、俺達は二位に

緩いコーナーに差し掛かり、俺達はアウトコースから抜かし前へ


そして、二位の前に出ようとした時だった。


俺達と三位になった生徒たちと転倒してしまった。


俺は思いっきり、倒れこんでしまった。


やらかしてしまった……

みんなごめん。


折角みんなが守ってくれた順位を無駄にしてしまって結果、俺達クラスは、最終的に最下位に転落してしてしまった。


競技を終え


島崎さんは下を俯き何もしゃべらない。

怪我してないか、聞きたいけど聞ける状況ではない。


「おい!白金!」


クラスメイト達だ。

絶対、怒っている。

どう、顔向けすればいいんだよ。


「お前怪我無いか?」


怒らないのか?こんな醜態をさらして……


「ちょっと、擦りむいた。それよりも俺達のこと責めないのか」


「はぁ?」


俺に話しかけてきてくれた二人の男子は互いに見合う。

そして、「ぷっ」と笑うとこう続けた。


「責めるわけないだろ!」


「それよりもお前たちはよく頑張った!」


「久しぶりに手汗を握る勝負を見せてくれてありがとな!」


 と男子生徒に背中を肩を叩かれた。

そして、二人の生徒は、俺を医務テントまで連れて行ってくれた。


「二人とも、ありがとう」


「気にするな!」


「リレーまでには戻って来いよ!」


と言い二人は元の場所に戻っていった。


医務テント


「ごめん。白金。私がバランスを崩したせいで」


「気にしないで。それよりも足大丈夫」


「ちょっと捻った……これじゃあ、対抗リレーにも出れないね……」


 島崎さんは涙を流す。


こういう時なんて、声を掛けた方がいいのだろうか分からない。


今から言う言葉が励ましの言葉になるのかもわからないけど……


「泣いている暇があるなら、俺達のこと応援してください。きっとクラスメイト達も島崎さんの分も頑張ってくれますから」


「分かった。応援する。だから私の分まで頑張ってきてね!」


 俺は、島崎さんに見送られ、学年対抗リレーの入場口に向かった。

さて、今の大玉転がしが終われば、次は俺達の番だ。


「白金、優奈のためにも頑張れよ!」


「もちろん」


「おー珍しく本気じゃん。さては優奈になんか言われたなー」


「ま、まぁ……」


 島崎さんが涙を拭い満面な笑みで見送られたら、それはもう、頑張るしかないだろう。


ーー学年対抗リレーーー


 いよいよ始まった。

序盤、俺達クラスは、四位からスタート。

なかなか、厳しいスタートだが、他のクラスと大差を付けられていない。

いつでも逆転は出来る。


島崎さんにバトンが渡り、島崎さんは何と、一クラスを抜かす。


これで、俺達は三位にあがった。


そして、順位の変動は特になく、中盤へ

三位に上がれたのは、良かったが、二位との差がある。

おまけに三位、四位が迫ってきている状態だ。

そんな中、末永さんがバトンを受け取る。

末永さんは、後続チームを引き離し、二位との距離を縮めてきた。

そして、バトンは、俺を助けてくれた男子へ。

男子も、二位との距離を詰めていく。


そして、ついに二位を抜かした!


「よっしゃー!あと一位を取るだけだぞ!」


 みんなの士気が高まる。

しかし、まだ油断も出来ない。

後ろとの距離もない。それにもうじき俺の番だ。

また、ミスするんじゃないかと思うと、足が震える。


「白金!頑張れよ!」

「そうそう、私達応援しているから!」

「みんなありがとう」


 俺の番が回ってきた。

俺はバトンを受け取り走り出す。

ちょっと離れたところに三位。

そして、少しまえには一位がいる。


俺は必死に走る。

しかし、無情にも一位との差が出来てしまう。

やっぱり一位の壁は厚い。

俺は、二位でゴールした。


「ごめん。みんなの役に立てなくて……」


「そんなことはないよ。白金が順位をキープしてくれたおかげで、まだ一位を狙えるチャンスがあるんだから」


「美玖が言う通り!まだまだチャンスはあるから、気にするな!」


そして、俺が走り終えてから、数分ついに決着がついた。


結果、俺たちチームは一着でゴール。


まだ、全ての結果が出てないのに、みんな大喜びだ。


良かった!良かった!


俺も周りの生徒と喜びあった。


こうして、俺達の競技は終わり、あとは他学年の声援のみ。


俺達は必死で赤チームを応援した。


そして、数時間後ついに結果発表


果たして俺たちチームはどうだったのだろうか?


みんな、得点表を見ながら、祈る。

俺も優勝していると祈る。

そして、結果が読み上げられた。

一の位からよみ挙げられ、次に十のくらいそして、運命を握る三のくらいが……


結果、俺達赤チームは優勝するのであった!


いつもは関わりがなさそうな生徒同士でも、喜びを分かち合っている、なんともいい光景だった。


――体育祭が終わり――


「さてさて白金君!早速、体育館の裏へと行きましょうか〜」


 と小林さんに連れて行かれる。


「ごめんね。待たせてしまった?」

「そんな事ないよ。それよりもなんのようかな?」


島崎さんは大きく深呼吸する。

そして……


「やっぱり、なんでもない!」


と満面な笑みを浮かべた島崎さん。


「ちょっと!優奈!白金君に告白するんじゃなかったの!」

「えっ!楓!どうしてここに」

「あっ、えーとたまたま二人を見かけて」

「ふーん……」


 と怪しむ島崎さん。

小林さんは目が泳いでいる。

これじゃあ、島崎さんにばれてしまう。

けれど、島崎さんはこう言った。


「まぁいいや!それよりも、この後の打ち上げ楽しもうね!」


 と言い残し、島崎さんは去ってしまった。

一体、島崎さんは何を言いたかったのだろうか?


「絶対、告白するかと思ったのに!ねぇ!今から告白してよ!」


「む、無理言わないでくださいよ」


 もしかしたら、小林さんが言うように告白だったかも知れない。

だけど、ここで告白して、断られたら、笑い者じゃないか!


こうして、一大イベント体育祭が終わったのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ