70
――9月上旬――
「では、体育祭の参加する種目を決めて貰います!」
ついにこの時がやってきた。
俺が一番嫌いなイベント!その名も体育祭!
普段から、運動をしていない俺にとっては地獄でしかない。
それに加え、毎日30℃を超える暑さの中、毎日のように練習があることが余計、俺へと地獄へと貶める。
「それでは、挙手制で自分がでたい種目を決めて下さい!一応、言っておきますが、一人一種目は参加して下さいね」
と学級員は言うが、学級委員が言っている事は少し違う。
実際、一人あたり出る種目は三種目だ。
一 クラス対抗リレー(強制参加)
二 クラス対抗二人三脚(強制参加&ペアー相手は異性)
三 自分が希望する種目
最低でも一人あたり三種目も出なければならないのだ。
て言う事は、学級委員が言っている事は嘘だ。
この嘘つき共め!
なんて、思っている場合ではない。早く決めなければ……
とにかく楽な競技に……
騎馬戦や、綱引きと言った、きつい種目もある中、楽な種目と言ったら、玉入れ。
一見みれば幼稚で楽な競技だが、そんな事はない。
どれだけ、効率にかつ、正確に入れるかが勝負になる。
体力はあまり使わない競技だが、頭は使う、戦略系競技だ。
「では、玉入れに参加したい生徒は挙手を」
すぐに手を挙げた俺は、玉入れに参加することができた。
残すは……
「では、二人三脚の相手を決めて貰おうかと思います。そこで、厳正なくじで決めて貰います」
学級委員曰く、女子の学級委員の方は女子の生徒が引き、男子の学級委員の方は男子が引くらしい。
そして、引いた紙に書かれている数字が同じ者同士、ペアーになるという仕組みらしい。
なんとも余計な仕組みを考えてくれた学級委員共め。
これで、同じ数字を引いた女子が微妙な顔をされたり「えーむり~」みたいなことを言われたらどうしてくれるんだ。
もう、俺なんか学校に行きたくなくなるもんだ……
こう言うのは、自分から希望する相手と組むべきだ!
と、心の中で学級員達に抗議する。
「では、一人ずつ引きに来てください」
どうか、俺と関わりのある、島崎さん、末永さん、原田さん、小林さんが当たりますように!と思いながら、俺は四番という数字を手に入れた。
なんとも不吉な番号を引いてしまった。
これは、不吉が襲い掛かってくるフラグなのだろうか?
例えば、同じ数字の女子の子が、俺のことが嫌すぎてその場で泣いてしまったり……?
いいや!そんな事はない!(多分!)
どうか、普段から関わりのある人が当たりますように
と言っても、限られてしまうが
くじをひいた者たちが、自分のペアーを探し始めている。
「もしかして、白金君?十二番だったりする」
「いや、違います」
「そっか!」
女子はなんだか嬉しそうに俺の前を去っていた。
どうせ「白金じゃなくって良かった~」と思っているだろう。
その後、色んな女子に声を掛けられては、「白金じゃなくって良かった~」と言わんばかりに嬉しそうに俺の前からいなくなる。
唯一、末永さん、小林さんは残念そうにいなくなってしてくれたが、それでも嬉しそうにいなくなる女子が多くて傷つく。
少しは、気を使って他のところで喜ぶとかしろよ!
「ねぇ、もしかして、四番?」
その声はもしや!
「もしかして、島崎さんも四番ですか?」
「うん……」
と頷いた島崎さんに俺はほっとした。
「これからよろしくお願いしますね!」
「こちらこそ、よろしく。て言うか、手離してくれる?ちょっと痛い……」
つい、喜びのあまり、島崎さんの手を握りしめてしまった。
だけど、本当に嬉しいんだ!
という事で、俺のペアーは島崎さん。
なんとか、不吉フラグの回収はなかった。
良かった!良かった!
こうして、二人三脚は島崎さんとペアーに……
普段から関わりのある人だけあって、それなりに呼吸は合うと思うが、果たして俺達の相性は……
読んでくれてありがとうございます!
次回もよろしくお願いします!




