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新人アルバイト。後藤さんの名前を琴音から、小春に変更させてもらいました。
こっちの方が、後藤のおとなしい性格とマッチしているような気がしたからです。
急な変更で申し訳ございません。
――バイト終了後・スタッフルーム――
「はぁ……疲れました……」
後藤さんが机に突っ伏した。
「今日は本当に忙しかったからね」
休日ということもあり、店内は一日中大忙しだった。
新人の後藤さんなら尚更だろう。
そんな時だった。
「みんな、ご苦労だった」
スタッフルームに入ってきたのは天野店長。
その手には紙袋があった。
「これは?」
「新商品の試作品だ」
店長が取り出したのはハンバーガーセットだった。
「試作品ですか?」
「ああ。まだ一般販売前の商品だ」
後藤さんが目を丸くする。
「わ、私たちが食べてもいいんですか?」
「そのために持ってきたんだ」
店長は微笑んだ。
「ただし条件がある」
「条件?」
「感想を聞かせてくれ。遠慮はいらない」
天野店長は商品の改善に関して本気だ。
だからアルバイトの意見も積極的に聞いてくれる。
この店の新商品が毎回好評なのは、その姿勢のおかげなのかもしれない。
「分かりました!」
後藤さんが元気よく返事をした。
「じゃあ頼んだぞ」
そう言って店長はスタッフルームを後にした。
◇
「本当にすごい店長ですよね」
後藤さんが感心したように呟く。
「まあね」
「すごく優しいですし……」
「たまに距離感おかしいけどね」
「ふふっ」
後藤さんが小さく笑った。
でも、仕事に関しては誰より真剣だ。
だからみんな、あの人を慕っている。
◇
閉店後。
着替えも終わり、帰ろうとしていた時だった。
「白金」
店長に呼び止められる。
「今日も絶好調だったな」
「何がですか?」
「接客だ」
嫌な予感がした。
すると店長はニヤリと笑う。
「今日も女性客を何人か落としていたな」
「だから落としてませんって」
「またまた」
そこへ神崎先輩が肩を組んできた。
「いやいや、白金は自覚ないだけだろ」
「ないですよ」
「あるんだよなぁ」
周囲の女性陣も頷いている。
納得できない。
確かにバイト中は眼鏡を外してコンタクトにしている。
最初は仕事の邪魔になるから変えただけだ。
だけど、それ以来。
『白金くんって学校と雰囲気違うよね』
なんて言われることが増えた。
自分ではよく分からない。
鏡を見ても俺は俺だ。
ただ、店長や先輩たちは面白がっている気がする。
「白金君は普通にかっこいいですよ?」
朝比奈先輩が言った。
「朝比奈先輩まで……」
「小春ちゃんもそう思うよね?」
「は、はい……」
後藤さんまで頷いている。
居心地が悪い。
本当にやめてほしい。
俺は褒められるのに慣れていないんだ。
◇
――帰宅後――
「ただいま」
「おかえり! お兄!」
玄関を開けると、夏木が飛びついてきた。
相変わらず元気だ。
「ほら」
「なにこれ?」
「お土産」
帰り道で買ったお菓子を渡す。
すると夏木の顔が一気に明るくなった。
「ありがとう!」
その笑顔を見ると、不思議と疲れが軽くなる。
両親が家を空けることが多いから、夏木は一人で留守番することも少なくない。
だからこれくらいは兄として当然だ。
「お兄も一緒に食べよう!」
「はいはい」
夏木に引っ張られながらリビングへ向かう。
こんな時間が、意外と嫌いじゃない。
学校では静かな日常。
バイト先では少し賑やかな時間。
そして家では、妹との何気ないひととき。
そんな変わらない毎日が、俺は嫌いじゃなかった。
読んでくれてありがとうございました!
次回もよろしくお願いします!




