表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/85

7 店長、あなたは一体何者ですか!

新人アルバイト。後藤さんの名前を琴音から、小春に変更させてもらいました。

こっちの方が、後藤のおとなしい性格とマッチしているような気がしたからです。

急な変更で申し訳ございません。



バイト終了後。

スタッフルームにて


「先輩、私疲れました……」

「そうだね……」


今日は本当に忙しい一日だった。


だから、後藤さんが机に突っ伏したくなる気持ちもわかる。


すると天野店長がやってきた。


「皆、ご苦労様だった。これ、ちょっとしたまかないだ。よかったら受け取れ」


そう言って天野店長に渡されたのは、ハンバーガーセット。


普通、バイト先でこんな太っ腹なまかないはそうそうない。


しかも、天野店長が渡したハンバーガーセットは、ただのハンバーガーセットではない。


「店長、これってもしかして……」

「そうだ。これは、最近できた新作。勿論、まだ一般には公開されていない商品だ。門外不出で頼むぞ」


「て、店長……私たちがこんなの貰っても大丈夫でしょか……?!」


「あぁ、大丈夫だ」


新人である後藤さんの手は、まるで「貰ってはいけないものを貰ってしまった……」と言わんばかりに震えている。


まぁ、店長のまかないを初めて貰う人なら当然の反応かもしれない。


けれど、店長がこう言うまかないを出すのは初めてではない。


だから、そのうち慣れるだろう。


「一つ言っておくが、今回も、この商品の感想も教えてくれ。今後の改善などに役立てる」


そう言い、店長は休憩を後にした。


「先輩、本当にいいのでしょうか?」

「別に大丈夫だよ。ただ、この商品の感想だけは、()()()()天野店長に伝えてね」


これがあるお陰なのだろうか?このハンバーグショップは、新商品を出すたびに、好評の声を聞く。


これも天野店長が俺達の意見をしっかり聞き入れて、本部の方に伝えてくれているからだろう。


それよりも、俺や他の皆は店長の素性を知りたい。


俺が働くバイト先は、全国にも姉妹店が存在するほど、大きいところ。


それなのに、一部の人にしか入手出来なそうな新商品を、毎回、手に入れてくることから、天野店長はただ者ではないことは明白だ。


けれど、それを探ることは出来ない。


それに それだけは、()()()()()()()()()() () だ。


ここからは、俺が新人の時に、先輩に聞いた話である。


以前、天野店長の素性を知ろうとしていた先輩がいたらしい。


その先輩は、毎日のように「店長、あなたは何者なんですか?」と尋ね続けた。


けれど店長は「お前に教える必要はない」と言い素性を明かすことはなかった。


まぁ、個人情報だから当然と言えば当然だが・・・・・・


そこで、その先輩は天野店長の素性を知るため、天野店長が仕事を終えたところから、尾行を始めたらしい。


そして、その先輩は、天野店長の素性を知ろうとしたが、天野店長に尾行しているところがバレてしまった。


――その後――


天野店長にバレた先輩は、顔を真っ青にしてバイト先に顔を出したらしい。


そしてこうみんなに伝えたらしい。


「絶対、あの人の素性を知ろうとしないほうがいい……」と


それ以降、誰も天野店長の素性を知ろうとする者はいなくなったらしい……


と言うことで、天野店長の素性は謎のままだ。


バイト終わりにてーー



「皆、今日もご苦労だった。そして、白金。今日も絶好調だったな」


天野店長が微笑んでいる。


なんだか、嫌な予感が……


「な、何の事でしょうか?……」


「自分でもわかっているだろ。今日も女性客をメロメロにしていたことに」


「えっ、いや……」


()()、天野店長に言われた……


俺は真面目に接客をしているいて、女性客をメロメロにはさせていない。

だから店長の根拠のない発言は困る。


それに店長の発言がこうなるから……


「おい!結城いい加減にしろよ!いいか、バイトと言うのはナンパところじゃあない!仕事ををしてお金を稼ぐところだからな!」


バイトの先輩である、神崎先輩に胸ぐらを掴まれ、厳しく注意を受けた。


全く、天野店長のせいで、いつもこうだ。


毎回、店長に、そう言われては()()()の先輩に注意を受ける。


だから、天野店長の発言には困る。


「店長。あまり変なことは言わないでくれます?俺、とても困ります……」

「そうか、それはすまない」


と言うが、店長がやめることはない。


「白金君。天野店長は変なことはいってないよ!。ねぇ、小春ちゃん!」


「は、はい!」


ここには店長の発言を援護する女性陣がいる。

そして、後藤さんもついに、女性陣の仲間入りをしてしまった……


「さすが、朝比奈だ。良く後輩の事も見れている」

「勿論ですよ~!」


店長の発言を援護したのは、朝比奈 葵 (あさひな あおい)先輩。


朝比奈さんは、俺がアルバイトを初めた時に、指導してもらった先輩だ。


だから、朝比奈先輩には口答えは出来ない。


多分、この人がいる限り、店長の変な発言は止まらないだろう。


こうして俺のアルバイトが終わった。



そして、妹、夏木が待つ、マイホームに帰る。


――マイホーム――


「ただいま……」

「お帰り!おにー!」


妹の夏木が飛びついてきた。


全く、もう夜だと言うのに元気な奴だ。


「おにぃそれは……?」

「これは、お前がいい子に留守番していたご褒美だぞ」


俺は、帰り道で買ったちょっとしたものを妹にあげた。


「おにぃありがとう!」


俺達の両親は、貿易関係の仕事をしている。


そのため、家にいないことがほとんど……


だから、夏木には一人で留守番をしてもらっている。


なので、これは夏木の兄として当然の行いだ。


「ほらおにぃも一緒に食べよう!」


夏木が俺の腕を引っ張る。

妹は不思議だ。

妹といると、疲れていた体が少しだけ吹き飛ぶような気がする。


きっと、妹の底知れない元気の良さと……


「おにぃおいしいね!」


この可愛すぎる笑顔が疲れた体を癒してくれる。


まさに癒しの時間だ。


どうせなら、一生この時間が続いてほしいと俺は願う。


けれど、この時間は流れ明日は来てしまう。


そして、地獄の一週間が始まる。







読んでくれてありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ