表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/86

68

夏休も明け、9月。


またいつも通りの生活が戻ってきた。


「遅刻するよ!おにぃ!」


リビングから叫ぶ夏木の声。


いつもの風物詩が戻ってきた。


さて、早く起きなければ、遅刻は確定だろう。


だけど、夏のだらけた生活を送っていたせいだろう。


起きたくても起きれない。


俺は、また夢の中に……


その瞬間、頭に痛みが走った。


頭痛とかの痛みでは無い。


何かに叩かれたような……


「おはようおにぃ……」


目を覚ますと竹刀を持った夏木がいた。


セーラー服姿に、竹刀を持った夏木。まるで、昔のスケバン女子の風貌だ。


「おにぃ、いい加減起きて……私も、暇じゃないの」

「ごめんなさい」


これで、「「えっー!まだ寝たいー」」なんて言って寝たら、もう一生、起きてこれないような可能があるので、ここは率直に夏木の言う通りにしよう。


俺はごはんを食べ、身支度を始めた。


夏休みも終わり、またいつもの生活。


なんだか、長かった夏休みが恋しいもんだ。


「じゃあ、行ってくる」


「気を付けてね!」


玄関を開けた。


今日は雲一つない晴天。


俺達みたいな学生が登校している風景。


スタスタと歩く、スーツを着た大人たちに、朝から優雅に犬とお散歩をするお爺さん、おばあさん。


いつもと変わらない光景が帰ってきたと実感する。


そんな日常を見ながら、歩いていると横から


「おはよう!」


と満面な笑みを浮かべてこちらに近寄ってくるのは恵理。


これもいつもの光景だ。


人の家の近くで待ち構えて……


毎日、俺の横を歩く


そして、手を伸ばし


「今日も、一緒に行こう!」


「結構です!」


恵理は学校に一緒に行きたがる。


ちなみに、俺と恵理は別々の学校だ。


しかし、途中までの道のりが一緒のため、そのためだけに恵理がやってくる。


全く、毎日、迷惑の話だ!


「ちょっと!私を置いていかないでよ!」


「別に置いて行ってはない!」


この毎日のような光景にもうんざりだ。


俺は、早歩きで、恵理を突き放す。


「待って!」


恵理は俺の腕を掴んだ。


「結城を独り占め出来るのも、この時間だけだから、せめてねぇ?」


はぁ……仕方がない……一緒に行ってあげる。


なんてことはなく俺は、無情にも恵理を置いてゆく


「放っておいてくれ」



毎日、毎日、恵理と学校に行ってあげているのだ。


新学期の最初くらいは、一人で行かせてもらわなくては


「おぼえてなさいよ!このままただで済むと思わないでね!」


はいはい。分かりましたよ。


どうせ時間が経てば忘れているはずだ。


まさか。このやり取りが、のちに面倒な事件の引き金となる事を俺は知らなかった。


ーー学校ーー


教室に入ると見慣れた顔がいた。


早速、俺の方に一人やってきて、俺の右腕に掴む。


「会いたかったよ白金君!」


そんな事を言ってくれて嬉しいが、ちょっとスキンシップが大胆……


なんか、恥ずかしいし、目の前の二人が不機嫌そうだし


すると、小林さんがやってきて、空いている左腕に絡みつく。


「私だって、結君に会いたかったんですけど」


なんなんだこの状況!


夏休み明け早々、モテモテなんですけど!


「おはよう!白金君!」


誰かが背後から抱きついてきた。


さっきの声、このジャスミンの香り。


これは、末永さんではないか!?


「会いたかったよ白金君……」


ぼそっと耳元に囁いてきた末永さんは、最後、「ふぅ~」と俺の耳元に息を吹き込んだ。


なんか、力が抜けて、自然と笑みがこぼれそうになりそうだ。


「どう?嬉しかった?」


「べ、別に嬉しくはないです」



と言い、俺をからかう末永さんを否定する。


しかし、悔しいが、末永さんの言っている事は図星だ。


正直、末永さんにされて、すごく嬉しかった!


もし、末永と二人っきりだったら、もう一度お願いしていたかも知れないほどにだ


けれど、小林さんと原田さん、そして島崎さんが居る前では、お願いなんて出来ない。


うん?なんか、小林さんと原田さんが俺を疑っている?


「嘘、明らかに嬉しそうだった」


「なんか、末永さんに負けた気がする!」


二人は俺に何かをしようとしてくる。


誰か助けてくれ!


「ちょっと二人とも辞めなよ!白金が困っているだろ」


そんな声を掛け、俺の方へやってきた救世主。


その名も、島崎 優奈さん。


島崎さんは、俺の方へ来る。


「ごめんな、私の友達が」


というと、島崎さんは俺を優しく抱きしめ、頭を撫でる。


何という温かいぬくもり……


なんだか、とても落ち着く……ではない!


まさか島崎さんはこれを狙っていたのか!



「もしかして、優奈。それを狙っていたの?」


「何?なんか、問題でもあるの?」


「島崎さんも~奥手ですな~」


と末永さんは島崎さんを褒めた。


ていうか、そろそろ助けてくれ……


こうして、新しい新学期を迎えた俺達。


これから、体育祭や文化祭が待っている。 


一体、どんな事が起きるのか……これからが楽しみだ。







読んでくれてありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ