67
長い夏休みも、もう、一週間をきろうとしていた。
今年の夏休みも、たくさんの思い出を残せた。
島崎さん達と一緒に行ったプール。
夏木と柊さんの誕生日パーティ
葵さん達と行った夏祭り。
どれも楽しかった。
もう思い残すこともない。
そんな中、俺は勉学に励んでいた。
言うまでもないが、今年はバイトに、遊びを沢山した結果、全く、夏休みの課題に手をつけていなかったのだ。
「おにぃ、勉強頑張ってね!はい!これ今日のおやつ。これ食べて、元気を出そう!あっ、一応言っておくけど、毎年のような結果だけは残さないでね……」
と言う夏木の威圧と共にお菓子が置かれた。
夏木が持ってきたお菓子を震えながら食べ、勉強を食べる。
毎年、ギリギリまで課題を残し、最終的には幼馴染の恵理、そして、夏木に手伝ってもらう始末。結果、何とか課題を終わらせる事に成功しているが……夏木は毎年ご立腹。
毎年、夏木にこっぴどく叱られているのだ。
それなのに、こりずにまた、同じことを繰り返そうとしている俺。
だが、ご安心よ。
今回こそは課題を終わらせる!
今回の夏木の様子からして、今年はただでは済まないからだ!
「良し!頑張るぞ!」
とか意気こんだものの、数時間後には、漫画を読んでいた。
少し休憩をとるつもりで、漫画を読みだして最終的には漫画漬け。
一度、漫画を読みだすと、なぜかとまらない!
この後の展開とかも分かっているのに、つい見てしまう!
「おにぃ、何やっているのかな?」
漫画をどけると、そこには満面な笑みを浮かべた夏木様が……
な、なんとも素敵な笑顔だこと……
「様子を見に来てみたら、このざま……これは、教育が必要かな?お・に・い・ちゃ・ん」
夏木は俺の方へ迫り……
全ての漫画を取られてしまい、おまけにスマホまで持って行かれてしまった。
スマホは悪くないのに!
「じゃあ、おにぃ頑張ってね……今度サボっていたら、もう、ないからね……」
「はい、頑張ります……」
今度こそ頑張らなければ、夏木に始末されるだろう。
俺は、必死に課題を終わらせる。
そして、時間は圧倒間に過ぎ、気づくと、夜になってしまった。
「少しは課題は終わらせたかな?」
「終わってないです……」
夏木に言われ、心を入れ替えて課題に取り組んだ。
だが、課題が難しく、思っていた以上に、捗らなかった。
「ごめん、夏木」
「まぁ、おにぃも頑張ったことだし、また、明日から頑張ってください!」
と言われ、夏木に没収されていた物達が、戻ってきた。
――次の日――
心を入れ替え俺は朝から課題に取り組んだ。
朝食、昼食を取らず、ひたすら課題処理。
クーラーを効かせた部屋で、課題に取り組んでいるが、頭がおかしくなりそうだ。
そして、気が付けば夕方。
「おにぃ、一旦、休憩しようよ。無理は良くないよ」
「駄目だ!まだ終わってない!悪いが、入り口の方に、ご飯を置いておいてくれ!」
「分かった……」
課題を終わらせなければ……
すると、物凄い物音が聞こえた。
「おにぃ、休憩もしっかり取ろうね」
「う、うん」
ていうか、夏木さん……貴方、俺の部屋の扉を壊していますが……
「おにぃ!私と一緒に、ご飯を食べよう!」
「は、はい」
いやいや、それよりも俺の部屋の扉が!
夏木は、まるで、何事もなかったように扉を足で踏んで行く
もしかして、「扉は自分で、直そうね!」と言う事で、夏木は直さないつもりなのだろうか?
夏木が壊したのだから、夏木が直してほしいところだが、これ以上言ったら俺が扉みたいになるのだろう。
「さぁ!今日の夕飯は、かつ丼です!これを食べて、課題を乗り越えてください!」
俺は夏木が作ってくれたかつ丼を頬張った。
今朝から何も食べていなかった分、ぺろりと食べ尽くしてしまった。
「さて、頑張るぞ!」
「うん!頑張れ!応援しているよ!」
かつ丼をばねに、俺はひたすら課題に取り組んだ。
そして、早朝……
「終わった……」
全ての課題を終わらせることができた。
これで、今年の夏は、夏木に迷惑を掛けなくて済む。
良かった……
その後、夏木に課題を終えたことを言い、俺はベットの上に寝転んだ。
夏休み終わりまで、1週間をきっていたが、こうして終われて良かった。
あとの短い時間は、すがすがしく過ごせる……
徹夜で、課題に取り組んでいたからだろう。
俺は寝落ちをしてしまうのであった。
「お疲れ様。おにぃ……」
布団をかけてくれた夏木も上機嫌であった。
読んでくれてありがとうございます!
次回もよろしくお願いします!




