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ある日の事俺は夏木に頼まれ夕飯の買い出しへスーパーに行くことになった。


今日は夕飯にカレーを作るとの事で、カレーの具材などを調達するため、少し遠めのスーパーに向かうことになった。


(少しでも節約するため、夏木にお願いされたから)


冷房が効いた涼しいスーパに入った俺は、まずは青果コーナーから見て行くことに

まぁ、スーパーの配列順の関係上、青果コーナーが最初になるが……


とりあえず、夏木がメモしてくれた食材を買おう。


俺は、品質のいい野菜を選ぶ。


うーんどれも素晴らしい!

ちゃんとした野菜だ!


とか思いながら、適当に買う。

なぜなら、あまり料理しない俺からすれば、ほとんど一緒にしか見えない。なので、とりあえず感で買う。


こんな買い方していたら夏木に叱られるだろう。

ごめんな!こんなどうしようもない兄で


「あれ?白金君?」

「末永さん!」


ひょこり顔を現したのは末永さん。


まさか、こんなところで会うとは


「奇遇ですね!末永さんもお買い物?」

「そうだよ」


あぁー休みの日に末永さんに会えるなんてなんて最高な日だ!


少し遠めのスーパーに来た甲斐があった!


「白金君もお買い物だよね!」


「そうです」


「そっか、じゃあ私と一緒にお買い物する?」


と末永さんのありがたきお誘い。


勿論、この誘いに俺は有り難く誘いにのるのであった。


「喜んでお供させてもらいます!」


――


「白金君の家は何を作るの?」


「今日は、カレーを作るんですよ」


「へぇーカレーかー。私もカレーでも作ろうかな?」


「えっ!もしかして、末永さんが作るの?」


「うん!今日は、私しか家にいないからね!」


末永さんのカレー……一体どんな味がするのだろうか?


絶対に絶品だろう。あぁー食べてみたい!


そんな俺の心を読み取ったかのように末永さんはこう言った。


「良かったら、今度おっそわけしてあげようか?」


「えっ、いいんですか?」


「うん、私一人じゃあ食べられないもん。それに……」


それに?……


「なんでもないよ!」


そう言われるとすごーく気になる!


それに何なんだ!


何を言うつもりでいたのですか!


「さぁ!買い物を続けよう!」


「えっ!ちょっと待ってください!」


末永さんに流されらがままに俺と末永さんは買い物を続ける。


「白金君!白金君はどっちのお肉が良いと思う?」


「うん、こっちかな」


「じゃあ、こっちにするね!」


なんか、こんな事が前にもあったような……


だけど、前の時よりも幸福感が違う。


なんか、末永さんと夫婦みたいな関係を味わえているような気がするからだろうか?


それとも夏木の見えない圧力がないからなのか……


そんな審議はともあれ


あぁー幸せ……


この楽しい時間が過ぎて欲しくないとか思いながらも末永さんと買い物をする。


すると、どこかで見覚えのある人物に遭遇した。


その人物は俺に気づくと俺達の方へ


「奇遇だな白金」


「天野店長!」


まさかの天野店長!


こんな庶民的なスーパーで出会うとは!


「えっ?白金君。この美人さんと知り合い?」


「うん、バイト先の店長」


「初めまして、天野 柚木です」


「末永 優希菜です!」


「そうですか。末永さん。とてもお綺麗な方で。もしかして末永さんが、白金の()()()な……」


「ち、違います!わ、わたしは、白金君の()()()()()です!」


「そうなのか白金」


「そうですよ!末永さんはただの友達ですよ!もぉ!変な事言わないでくださいよ!」


俺なんかが、末永さんの彼氏になんて、恐れ多い。


きっと末永さんも嫌な思いをするに決まって


「白金君の馬鹿……」


末永さんに足を踏まれた。


そして、そっぽをむいて急に不機嫌になってしまった末永さん。


どうして、不機嫌になってしまったのだろう?


末永さんが嫌な思いをさせないために否定したが、かえって逆効果だったのか……


女性の考えていることは全くわからない。


そんな俺とは裏腹に天野店長は笑っていた。


「白金も罪な男だな」


「別に悪い事なんてしてませんけど」


「そういう意味じゃないぞ」


天野店長が言っている意味は良く分からないが、まぁそのうち分かる日が来るだろう。


それよりも末永さんの機嫌を直さなければ……


俺は末永さんの機嫌を取り戻すため、謝り続けた。


一体、何が悪かったのは分からないが、とりあえず「ごめん!」と謝った。


その結果、なんとか末永さんの機嫌を取り戻せた。


「白金も大変だな」


「まぁ、大変ですよ……」


「それ、私に対して言っているの?」


「別にそんなことはないよ」


とまぁ、末永さんのご機嫌を伺いながら、天野店長と末永さんとの買い物は続いた。


そして、買い物を続けるなか、俺はふと思った。


「天野店長は、自炊とかするんですね」


「それくらい当然だろ」


天野店長は、執事やメイドがいるほどの金持ち。


天野店長は、お嬢様だ。てっきり、料理なんてしないものだと思っていたが、意外だ


「柚木さんは、今日の夕飯は何を作るのですか?」


「今日はカレーにするつもりだ」


なんと言う奇遇だ。


こうも3人揃ってカレーとは……もしかして、二人は事前に打ち合わせとかでも……本当は初めましてとかではないとか……


「奇遇ですね!私と白金君もカレーを食べるつもりなどですよ!」


「そうなのか、それは本当に奇遇だな。なら、良かったら、私の家でカレーを食べないか?その方が食費も浮くだろうし」


「そ、そんな!大丈夫ですよ!」


「そうですよ。自分達は自分で作りますから!それに妹も待っていますので……」


「なら、妹も連れてこい」


「いや、かえってお邪魔になってしまいます!」


「沢山、人がいた方がいいだろう。それにカレーも一晩で終わって助かる。だから頼む」


と天野店長から言われ、俺達は天野店長の家にお邪魔することなった。


天野店長は車で来ていため、天野店長の車で行くことに……


途中、夏木に事情を説明し、夏木を途中で拾い、天野店長の家レッツゴー!



「それにしても柚木さんの車カッコいいですね!」


「そうか」


「そうですよ!女性でこんなにカッコいい車に乗るなんて素敵ですよ!」


「ありがとう二人とも……」


二人に褒められ、少し照れているような天野店長。


こんな店長はなかなかレアな姿だ。


「いいな〜私も将来こういうスポーツカーに乗りたいなー」


「じぁ、一生懸命働いて車に愛情を注ぐことだな」


「はい!頑張ります!」


俺達は天野店長の家に向かう。


あの豪邸に行くのは二回目だが、なんかあの豪邸苦手なんだよな……


「柚木さんの運転姿かっこいいです!あの、一枚写真撮って良いですか?!」


「えっ、まぁ、良いけど……」


キラキラした瞳で天野店長の運転姿に惚れ惚れしている末永さん。将来末永さんも、天野店長みたいな車に乗るのだろうか……


「お待たせ。白金君。さぁ、私の相棒とドライブでもしようか」


なんか、想像するだけで将来が楽しみだ。


天野店長の車に乗ること、数十分後。


俺達は目的地に到着した。


しかし、俺が知る大きなお屋敷でなく、至って普通のマンションについた。


「あの、天野さん。ここは……」


「私の家だが?」


「いや、天野さんの家はもっとデカくて」


「あぁ、あれは実家だ。私もいい大人。一人暮らしくらいはしないとな」


「流石です!柚木さん!」


「私も見習いたいです!」


俺達は天野店長の家に入った。


流石天野店長、家の中はとても綺麗だ。


しかも、意外と普通なマンションだ。


天野店長はお金持ちだから、ちょっとしたところにお高い物があるかとヒヤヒヤしたが、なんか一安心した。



「さぁ、今からカレーを作るからお前たちは、その辺のゲームとかでも」


「そう言うわけには!いきません()()()手伝います!」


「そうです!こんなに大人数で押しかけて何もしないのはおかしいです!」


うん?ちょっと待って……私達もと言う事は俺も手伝うと言う事だよな……


「勿論!白金君も手伝うよね!」


「まさか、ゲームでもしようとしないよね?おにぃ……」


こんなこと言われたら断れない……


だが、本当はゲームをやりたい!


なぜなら、天野店長の家にあるゲームについ最近出たばかりのシリーズ系のゲームがあるからだ!


「もしかして、嫌だったかな?」


「ううん!そんな事はないよ!」


「そうだよね!おにぃだけサボってゲームなんてやらないよね!」


本当はやりたかったが末永さんと自分の命を守るためだ。


仕方がないカレー作りでもするか……


俺は天野店長と末永さんとカレー作りをした。


まずは、具材を切っていくところだ。


「流石、店長。手際がいいですね」


「そう言う白金は私よりも手際が良いぞ。それと、末永さんと白金の妹さんもかなりうまいな」


「いえいえ~私なんか、柚木さんにも及びませんよ~」


「私も、普段から料理しているのでこれくらいは簡単にできますよ」


よっぽど、天野店長に褒められたのが嬉しかったのだろう。

末永さんは嬉しそうにニヤニヤしている。



そして、具材を切り終えたところでいよいよ本格的な調理へ。


みんな手際が良く、何事もなく圧倒間にカレーは完成へ


これ、俺が居なくても大丈夫だったレベルだろう。


「うん~美味しい~ねぇ!白金君!」


「そうですね」


皆で作ったカレーだからだろう。


いつもより美味しい……


「そういえば、白金の妹さんのお名前を聞いていなかったな?たしか、一度会ったことがあるのにごめんな。それで、お名前は?」


「はい!白金 夏木と申します!」


「あぁーそうだったな。夏木ちゃんか」


「あの、店長。つかぬことをお聞きしますが、夏木と一度お会いしたことがあるとおっしゃっていましたが……」


「あぁ、あれはな……」


「それは言わないでください!」


「どうしてだ?とても兄思いのいいエピソードだと思うが」


「は、恥ずかしいです……」


「だっそうだ」


「残念だね白金君!」


「別にいいですよ」


うそ!本当は聞きたかった!


夏木が俺のために何をしてくれたのだ!俺だけでもいいから教えて欲しいものだ!


カレーを食べ俺、俺達は片付けを。


俺と夏木は皿洗いをすることにここでチャンスだ!


「夏木ちょっといいかな?」


「なにかな?おにぃ」


「さっき、天野店長が話したことなんだけど。頼む!俺だけに教えてくれ!」


「じゃあ、怒らないて約束出来る?」


そんな事言われるまでもない。


ていうか、夏木に怒ったことなんてないから怒るわけがない!


夏木は皿を洗いながら考える。


「ごめんやっぱ無理かな」


「そこをなんとか!」


「ごめんね。て言うか、おにぃ近いよ……」


「あれあれ?二人とも私達がいない所でイチャイチャしているの?」


「兄弟仲が良くていいな」


「別に仲良くありません。ただ、おにぃが近づいてきただけで!」


「し、白金君!私達がいないところで夏木ちゃんとふしだらなことを……」


「違います!ただ俺は、夏木に聞きたいことがあって」


「もしかして、それは私と夏木ちゃんとのことだろうか?」


「まぁ、そうですが……」


「えっ!白金君最低!」


いきなりの発言に俺は、グサっと何かが刺さったような気がしたが、俺なんか悪い事でもしたのか……


「白金君、デリカシーなさすぎ!普通女の子が言いたくない事を聞くかな?」


「ご、ごめん……」


確かに末永さんが言う通り。


俺は夏木に最低な事をした。


妹の秘密を聞こうなんて兄として最低な行動だ。


「まぁまぁ、そんなに責めないであげてくれ。白金も反省しているんだから」


天野店長は優しく俺を抱きしめ頭を撫でる。


なんだろう?天野店長の温もりが、親の温もりに近くて、なんか、親が恋しくなってしまって……


「おいおい、白金。泣くなよ……」


分かっています。俺もなくつもりなんて一切ないですが、涙が止まらないです。


「ごめんね!白金君!泣かないで!」


「私もなんか、ごめんね!」


末永さんと夏木が謝るが別に二人とも悪くない。


数分後、俺はやっと泣き止んだ。


いい年になって、涙を流すなんて恥ずかしい。


「もう、大丈夫か?」


「はい、大丈夫です」


「そっかよかった。また泣きたい時があったら、私に抱きついても良いからな」


「もちろん!私達でも良いからね!」


「大丈夫です!もう泣きませんから!」


なんて言う事もあったが、この時間はとても楽しい時間だった。そして、この時間もあっという間に過ぎてしまい、また残り少ない夏休みが来るのであった。

読んでくれてありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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