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ある日の夏休み。


毎日が暑い……

そして、今日も暑い……


そんな、俺は、バイトに明け暮れる。


夏休みと言う事もあり、学生から親子ずれまでのお客さんが沢山やってくる。


勿論、昼時になると昼休み休憩にきたサラリーマンたちも来ている。


暑い中ご苦労様だ。


そうこうしているうちに、色んな人がにぎわい、店は忙しくなってきた。


俺は暑い中、フライドポテトをあげている。


そんな中、天野店長からヘルプがかかった。


「白金、急で悪いが接客を頼む。ちょっと原田が体調が悪くなってな悪いが変わってくれか?」


「わかりました!」


「よし、ポテトの揚げ係は私がやる」


この暑さに加え、店の動きが麻痺するくらいの混雑具合。


体調が悪くなってしまうのも頷ける。


決して他人事ではない。、俺も気をつけなければ


俺は原田さんに代わり接客を務める。

人が途切れることがなく、本当に大変な昼時だった。


そして、なんとか忙しい時間を乗り切る事ができた俺は、休憩時間になった。


「ご苦労白金。お前は休憩に入れ」


「わかりました」


「あと、一応言っておくが、隣の医療室で原田が寝ている。起こさないように静かに過ごせよ」


と言われ、俺は静かに休憩室に戻った。


そして、静かにお弁当を食べることに

朝早くから、夏木が作ってくれたお弁当を味わって食べる。


夏木が丹精込めた卵焼き。少し甘い俺好みの味付けになっている。


夏木も色々と大変なのに美味しいお弁当を作ってくれて、ありがたい……


そんな気持ちで、一つ一つのおかずを味わいながらたべる。


すると、背後からある人物が声をかけてきた。


「いいよな。お前にそう言う人がいて……」



「いつからいたんですか!神崎先輩!」


「お前がお弁当を食べ始めた時からだよ!」


神崎先輩は、カップラーメンを作り始める。


なんともむなしい光景だ。


「あー俺にもお前みたいな愛妻弁当を作ってくれる彼女が欲しーな」


「先輩、これ妹が作った弁当です」


すると先輩は「はぁ?!」とキレはじめ俺の胸倉を掴む。


「いいよな。お前には可愛い彼女もいて、こんな美味しい美味しい料理を作れる妹がいてよ!」


「そ、そんな事はないですよ!妹がいて良い事なんて何にもないですよ!」


俺は今、神崎先輩に嘘をついた。


夏木が居て、良い事なんて言うのは嘘だ。


実際は良いとこ尽くしだ。


美少女だし、頭も良し、まだ中学生だというのに家事もこなせる。こんな良いスペックのある妹なんていないだろう。俺は幸せ者だ。


まぁ、ネックとしては怒らせると超がつくほど怖いと言う事があるが……


「あっそ!もういいよ!俺は一人虚しくラーメンを食べますよ!」


と神崎先輩はラーメンを食べる。


なんだか、食べずらいな……


「先輩、それ本当なんですか?」


その声はもしや……


原田さん!


振り返ると、原田さんが俺の後ろに立っていた。


「神崎先輩の話を聞いてしまったのですが、それ、妹さんが作ったのですか?」


「まぁ、そうだけど、それよりも体調大丈夫なの?」


「はい、大丈夫です。そんな事よりも。私にそのおかず一つ貰えませんでしょうか?」


「まぁ、いいけど……」


原田さんは夏木のおかずを食べる。


そして、一瞬驚きを見せると、こう言った。


「ま、まぁ美味しいですね……」


「そうでしょ!」


「ですが、私の方が美味しい料理を作れますね……」


「そ、そうなの……」


原田さん、夏木に対抗意識でも……


こう言うとき、なんて言えば良いのだろうか?


正直、夏木に勝てるお弁当なんて俺の中では無いと思うが、そんな事は言えないから、反応に困る……


そんな俺に対して、原田さんが俺の手を握る。


「先輩、今度私のお弁当食べて貰えませんか?」


「えっ、まぁ別に構わないけど……」


「じぁ、覚悟しておいて下さい!あまりの美味しさに度肝抜かれないように!」


「う、うん……」


「じゃあ、私は戻りますので!」と言い残し、原田さんは持ち場へと戻っていった。


なんか、流れに流されて原田さんのお弁当を食べることになってしまったが、一体どんなものだろうか?


本当に夏木を越えられるお弁当を作れるのだろうか?


「お前は……本当にいいよな……俺なんて!一度も手作り弁当なんて作ってもらった事もないのによ!」


悔しそうに神崎先輩は麺を勢いよく啜った。


こういう時はそっとしておこう。


まぁ、そのうち手作り弁当を貰える日が来るだろう。


お弁当を食べ終えた俺はもう一息、仕事をした。


今日は金曜日と言う事もあり、仕事を終えた達や部活終わりの生徒たちがぞろぞろやってきた。


一番ピーク時は5時から7時半くらまでだった。


休むこともなくひっきりなしに、厨房もどたばたで、挙句には店長が手伝いにくる始末。


この時間は、とにかく地獄のような時間だった。


けれど、多忙のあまり時間が早く過ぎてしまった。


そして、気づけば閉店40分前になっていた。


俺達は、閉店や準備をすることに


「いやーしかし今日は疲れたなー」


「そうですね」


「二人とも喋っていないで掃除してください!」


ときびきびと動く原田さん。


原田さんも疲れていると思うのによくまぁーきびきび動くもんだ。


「先輩!まだ汚れが残っていますよ!」


「ごめんなさい。それよりも原田さん、疲れていないの?」


「もちろん!」


と言う原田さん。


だけど、無理は禁物だ。


「無理は駄目だからね」


「無理なんてしていません!それに今日の午前は皆さんに迷惑をかけてしまったので頑張らないと!」


「じゃあ、無理をしない程度に頑張ってね」


「はい!頑張ります!ですが……」


原田さんの顔がドアップに映る。


「先輩もサボらずしっかり閉店の片付けをして下さいね……」


「は、はい……」


可愛い後輩ちゃんがこうも頑張っているのだ!


俺も頑張らなくては!


俺は心を入れ替え掃除をする。


「神崎先輩も頑張ってください!」


「お前に言われなくてもやっているよ!」


神崎先輩も後輩に負けたくないだろう。


神崎先輩も頑張って清掃をしている。


お客さんが来たら、接客をしお客さんが来なければ、掃除をして閉店20分前になった。


いやーそれにしても今日はたくさんの事があった。あー疲れた……やっと後少しで閉……


「きみー、あとでバイト終わったら一緒に俺達と遊ぼうよー」


「ごめんなさい。そう言うの無理です。あと仕事中なので邪魔しないでくれます?」


「まぁまぁ、仕事なんてあいつらに任せて俺達とあそぼーよ」


と一人の金髪の男性が、原田さんの腕を掴む。


「やめてください!」


「まぁーいいじゃん」


「あの、辞めて貰います?」


「あ?なんだお前」


俺は一人の金髪の男性の腕を掴んでいた。


こんな人に殴られたら、即怪我をするだろう。


ならば、こんな輩に絡むのはやめておくべきだっただろう。


だけど、可愛い後輩が嫌がっているのにそれを見過ごせるはずがない!


「俺の彼女です。離して下さい」


「はぁ?お前がか!?」


と言うと連れの男性と顔を見合わせて、大爆笑する。


「冗談は顔だけにしろよ!」


た、確かにそうだ!


俺は、何を言っているのだ!


いくらこの人達から原田さんを解放したいからと言って今の発言は!


「じょ、冗談じゃあありません!彼は、わ、私の彼氏です!」


えっー原田さん!


「なら、キスの一つくらいでもしてみろよー」


「わかりました……」


えっ?……


原田さんは俺の方を見て、目を瞑った。


このパターンは……じょ、冗談ですよね原田さん。


「ほら、早くやってみろよ!」


一人の男性がイライラを募らせている……


早いところ、行動に移さなければ……だが……これは駄目だろう!


「さっさとして貰います先輩。ほらいつものように」


気のせいだろうか?


原田さんはこの状況を利用して、俺とキスを求めているような……いや、原田さんに限って……俺の考えすぎだろう。


俺は覚悟を決めた。


原田さんがキスをして良いと言った


だから、原田さんに近づく。


これはこの場を収めるための行動だ。


だんだんと原田さんの唇が近づく。


そして、俺の心臓もバクバクと言っている。


「原田さん……」


「先輩……」


「お前ら、何しているんだ?」


声の方を見ると神崎先輩が怒っている。


これはやばい……


そんな先輩にも臆することなく原田さんはしれっとこう言った。


「邪魔しないでください!神崎先輩!今、白金先輩とキスをするとこなので!」


「おい!白金!これはどういうことだ!」


「あの人たちが!強要してきたのですよ!」


「お客さん?あんま舐めたことをしていると、痛い目に遭いますよ?」


「それはお前だぞ、神崎」


「て、ててててて店長!」


「お客様。当店の従業員が多大なご無礼をかけてしまい申し訳ございませんでした」


「い、いいえ、俺たちこそ、なんかごめんなさい」


男性二人は「あっ!この後用事があるっけな!」とか言って、この店から出て行ってしまった。


まるで、般若のような怖い顔をした店長から逃げるように……


「神崎、白金、原田」


「はい!なんでしょうか!」


お前達3人は後で反省文が待っているからな……」


「はい……」


天野店長は俺達の前から去ろうとする。

しかし、すぐに足が止まった。


「あと、白金」


「はい!なんでしょうか!」


俺に用なのか!


今度はなんだ!


「原田を助けに行った所、かっこよかったぞ」


と天野店長は振り返り微笑んだ。


天野店長に褒められるとなんだか嬉しいな……


こうして、バイトが終わった後、新人の頃以来の反省文を書くことになったとさ


こうして、忙しかった1日が終わったのであった。


ちなみに原田さんはバイトが終わった後、天野店長のスポーツカーで、ご帰宅するのであった。


うらやましい!



読んでくれてありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!


少しで良いと思いましたら、登録よろしくお願いします!


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