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夏休みのある日。


俺は今、ある()()と待ち合わせをしていた。


その人物は島崎さん、小林さん、原田さんの3人。


俺が嫌いだったギャル3人組。


「お待たせ!白金!」


小林さんが背中を叩いた。


後ろを振り返ると、3人がいた。


4月くらいの時は、嫌な3人組だなと思っていたが、今は友達に近い存在。


まさか、この3人と色んなことがあって、その果てに、こうして、お友達のような存在になるなんて、昔の俺は思ってないだろう。


「結城君、今日は一緒に楽しみましょうね!」


「あっ!ずるい美玖!わたも!」


原田さんが、俺の腕に絡むと小林さんも負けじと俺の腕に絡みつく。


なんなんだこの状況は……


一方、島崎さんは、特にアクションを起こすこともなくこう言った。


「ほら、行くぞ……」


俺達は、電車で移動する。

小林さんと原田さんに挟まられるように座る俺。


一方。島崎さんは、電車のつり革を掴み外の景色を見ている。


今日の島崎さんは、何も喋らない。

いつもは、賑やかく場を盛り上げる、まさにこのグループの中心的人物なのに……


もしかして、機嫌でも悪いのだろうか?


それとも調子が悪いとか……



「プール楽しみだね~」


急に俺を覗き込むように、視界に入ってきた小林さん。


小林さんの顔が近い!


おまけにいい匂いがする!


なんだか、緊張するのだが!


「そ、そうですね!」


すると、小林さんは耳元に囁いてきた


「白金、私、白金のために水着新調してきたから楽しみにしていてね……」


ふぅ〜と耳元に息を吹き込んだ小林さん。


小林さんの吐息が耳元にきて、なんだか、とろけちゃうほど、気が抜けて……


すると、小林さんは笑った。


「白金、顔!ウケる!そんなに良かったの?」


と俺の反応を見て、笑う小林さん。


まさか、ここでからかってくるとは!

ひどいです!小林さん!



「楓!ひどい!白金君が可哀そう!」


と「気にしなくてもいいからね」とよしよしと頭を撫でる原田さん。


なんなんだこの状況!


て言うか!恥ずかしい!


小さい子が俺を見て笑っている!


「お前たち、もう少し静かにしろ」


島崎さんの言う通りだ。


他のお客さんに迷惑だ。


「もぉ~分かったよ~」


二人は黙り混んだ。


これで、ほかのお客さんにも迷惑にはならない。


数分後


今度は俺に迷惑である。


何もする事ないと言う二人は、俺の肩に頭を預け、すぅすぅと寝始めた。


なんだか、気持ちよさそうに寝ている……


二人を起こすのも申し訳ないと思い、極力動かないようにする。


しかしすぐに限界がきてしまった。


「あの、二人とも起きてください……」

「……」


だめだ。起きない……


その後電車に揺られる事、15分ほどで、俺達は目的の駅に着くのであった。


そして、歩いて数分。目的の場所に着いた。


「うわー……やっぱり、混んでいるね」


小林さんが言うように、プールー施設は人だらけ。


まだ、プール場にもたどり着いてないのに、この結果だと、プール場はそれ以上かもしれない。


「じぁ、私たち更衣室に行くから、また後で合流しようね」


「うん、また後で」


「私の新調した水着楽しみにね!白金君」


「ほら、楓。じぁ、後で……」


と島崎さんは小林さんを連れて行き、更衣室へ向かった。


俺も更衣室に向かい、空いているロッカーを探し着替えを済ます。


――プール場――


俺が思っていた通り、プール場は人混みだ。


プールなんて、人ばかりで、まるでジャガイモが浮いているようだ。


さて、待ち合わせ場所に行こうとしよう。


人混みをかき分け、待ち合わせ場所に向かった。

しかし、まだ誰もいない。

まぁ、こんな状況なら仕方がないだろう。


待ち続けて数分後ーー


「お待たせ……」


やっと誰かがきた。


声が振り返る方を見る。


「あれ?島崎さん?」


そこには島崎さんしかいない。


「原田さんと小林さんは?」


「着替え中」


「そ、そうなんだ」 


「……」


会話がない!


気まずい!


早く二人とも来てくれ!


「なぁ、白金。私、似合っているかな?」


と俺を見てくる島崎さん。


じっと見られるとなんだか恥ずかしいのだが……


それに……思っていた以上に迫力があって、刺激が強すぎる。


「なぁ、白金?」


「に、似合っていますよ!」


「ほんとか!?」


「う、うん」


「良かった」と安堵する島崎さん。


島崎さんはこう言った。


「実はな、美玖と同じで、私もお前のためにこの水着新調してきたんだ……だから似合っているて言われて嬉しい」


「ちょ!ちょっと島崎さん!」


島崎さんは、俺の腕に絡みつく。


さっきまで、おとなしかった島崎さんがいきなり、大胆な行動をしてきたのだが!


落ち着け俺!平常心!平常心だ!


「今だけは、私のものでいて欲しい……だから、少しだけこうさせて欲しい……」


「えっと……」


平常心!平常心!だ!


腕に当たっているのは決して!


「お待たせ!」


やっと二人が来た!


小林さんの声が聞こえた瞬間に、島崎さんは俺から離れた。


「まさか優奈、私達がいない間に抜け駆けなんかしてないよね……」


「してないし……別に白金の事、好きじゃないし」


なんて言って、新調した水着を褒めたら喜んでいたし、二人がいない時には、ぐいぐいと距離を詰めてきたじゃありませんか……


「何?私になんか言いたいの?」


「別に、なんでもないです」


そうだ何も無かった。


決して、島崎さんに睨まれ、ビビったからではない。



「それよりも、早く行きませんか?」


「そうだね!行きますか!」


そして、向かった先は、流れるプール。


ここも人ばかりで、決してすいてないが、ウォータースライダーよりはましだ。


「じゃじゃん!今日は浮き輪を持ってきました!」


「じゃあ、じゃんけんで勝った人がこの特等席の権利を貰えるという事で……行きますよ~」


その結果


「で、白金君が最初の特定席……」


「私達を差し置いて、特定席をとるなんて、空気が読めないにもほどがあるよ」


「白金……」


小林さんと原田さんには批判され、島崎さんはじっと俺の背中を見てくるが……


なんだか、勝利して嬉しい気持ちになれない。


それにこの状況だと、俺が彼女らを僕にしているような気分で罪悪感が生まれる。


美女3人が、浮き輪を押している光景もあり、なんだが、周囲にも変な目で、見られているようで仕方がない。俺にとって、この時間が地獄のような時間に感じだ。




お次は、ウォータースライダーに行った。


今、昼時と言う事もあり、意外に空いているという事もあり、すぐに乗れそうだ。


「ねぇ、みんな、なんか、3種類のウォータースライダーがあるけど、どれからやる?」


原田さんが指す看板を見ると、確かに3種類のウォータースライダーがある。


一つ目は、一人乗りのスライダー。


ストレートのスライダーで、60㎞の速度が出るらしい。


二つ目は、二人乗りのスライダーで、くねくねしたコースを滑り降りるスライダーになっている。


そして、三目は、4人乗りのウォータースライダーだ。


二つ目のスライダーとほとんど変わらないが、みんなで楽しめるスライダーとなっている。


「どれから乗るの?」


話し合った結果、最初にストレートスライダーを乗ることに。


それぞれみんな楽しそうに、滑り降りる。


俺も、挑戦してみたが、あまりの速さに意識が飛びそうだ。



そして、次は二人乗りのスライダー。


じゃんけんでペアーを決めて、滑ることに。


その結果、俺と小林さん。


原田さんと島崎さんとの組み合わせとなった。


「じゃあ、私、白金君の後ろに乗るので、白金君は前で!」

「えっ……」


「もしかして、怖いの?」


「べ、別に怖くなんて!」


「じぁ、白金君、前に」


「さぁさぁ」と勧められ、俺は、前の方へ。


急な下り坂になっていて思っていたよりも怖い……


「どうしたの?怖いの?」


「そんな事はないですよ!」


「なら、行きましょうか!」


と小林さんに背中を押され、俺は目の前に座った。


「よし、私も……あれあれ?白金さん震えていたいますが~」


小林さんはくすくすと笑い、つんつんと俺の背中を触り、煽る。


別にこんなの怖くはない。


大丈夫だ。


「それでは行きます」と言う従業員の声で、浮き輪が動き出した。


浮き輪は物凄いスピードで下る。


この段階で、もう死ぬ!


一方、小林さんは、キャアーと叫んでいるが、なんだか楽しんでいる。


「楽しかったな!」


「う、うん」


と小林さんはとても満足そうだが、俺はもう乗りたくない。


短時間だったが、あんな怖い思いはしたくない。


「よし!また後でもう一回いこう!」


「えっ……またですか?」


もう勘弁してくれ!


「もしかして、怖かったのかな?」


「べ、別に怖くなんて!」


あぁー!なんで正直に怖いと言えなんんだ!


自分の馬鹿!


「なら、また後で滑ろうね!」


なんて約束をしてしまい俺は、乗る事になるのであった。


「さて、最後は皆んなで滑りますか!」


最後に、4人乗りのスライダーをやる事になった。


「さっさ、白金君は特等席に」


小林さんに案内され、俺は真ん中へ


「じぁ、私は、白金」 


「じぁ……」


「じぁ、私は白金君の左隣!」


原田さんと小林さんに場所を取られ、島崎さんは俺の前に


島崎さんは何かを言いたかったようだったが、黙って席に座った。


だが、島崎さんは俺を睨んでくるのだが……


まぁ、気のせい、気のせいだろう……


それよりもだ……それよりもこの状況は!


なんなんだ!この光景!もし、恵理や後藤さんに見られたらブチギレ案件ではないかと思われる光景!


美女3人が俺を囲む絵面!


まるで、俺はキャバクラに行った客じゃないか!?


「いや〜それにしても白金は、幸せものですな!こんな可愛い子達に囲まれて」


小林さんが言うように俺は幸せ者だ。


こんな美女に囲まれて、ここは天国ですか!


とか思っているうちに動き始める。


一気に下り始める。


この段階で、俺はもうギブだ。


もう、駄目!


と思っていると誰かが、俺の右手を握ってきた。


そして、すかさず、左手も誰かが握った。


スライダーが怖すぎて、誰が手を握っているのかは、分からないが、だいたい目星はつく!


「楽しかったね!白金君!」


「そうだね……」


「本当に楽しかったの〜?」


「楽しかったよ……」


嘘!楽しかったより、怖かった方が勝っていた!


最初のスライダーより、大丈夫だと思っていたが、こっちも怖かった!


そんな俺の心を読み取ったかのように、島崎が笑い、こう言った。


「でも、白金の顔、死んでいたよ」


あっ、今初めて島崎さんが笑ってくれた。


最初の頃は、強張ったような表情で、笑ってもいなかったが、ようやく笑顔を見せてくれた。


その表情に俺は安堵した。


「あれあれどうしたの?優奈~最初は、なんか無愛想だったのに急に笑ったりして!」


「もしかして、最初の頃は、白金君にドキドキしていたとか?」


と小林さんと原田さんはニヤニヤとしながら、島崎さんをからかう。


「べ!別にそんなじゃないし!それに私は!白金のこと本当に好きじゃないからな!」


なんか、好きじゃないとはっきり言われると、傷つく……


けれど、そうだよな。島崎さんに限って俺のことが……


いや、ちょっと待て、じぁ、島崎さんと二人っきりになった時のあれはどう説明するつもりだ!


謎が残る中、一日の半分を終えてしまった俺。


そして、昼食を済ませ、午後の時間が始まるのであった。



読んでくれてありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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