48 難題
恵理の連絡を受けた俺は、これから無事パーティーを開けるのか、心配になってきた。
恵理から受け取った内容がこうだ。
「夏木ちゃん本人に聞いたところ、夏木ちゃんが今、欲しいものはないとのこと。そして、夏木ちゃんの交流関係を探ったところ2人ほど、夏木ちゃんと関係が深い子が分かったよ。だけど、なんか、一人は怖そうな女の子がいたよ。私、なんか、睨まれたし」
欲しいものはない。交流は怖い子がいる。
何たる大問題!
だけど、諦めるわけにはいかない。
日頃お世話になっている夏木のため、なんとしてでもパーティーはやる。
こうなったら、何としてでも、この問題を解決してやる!
と思いを胸に過ごすが、何も発展することなく2日が経ってしまった。
ーーそんなある日の夜ーー
「はい、おにぃ。今日の夕飯はロールキャベツだよ」
と机に置かれたロールキャベツ。
そして、他にも色んな料理が置かれて、美味しそうだ。
「丹精込めて作ったから、沢山食べてね」
と料理を一段と美味しくさせる素敵な笑顔をくれた夏木。
その笑顔に可愛いな~と思いながら、見とれていた俺は、気づいた。
「なぁ、夏木。そのエプロンいつから使っているの?」
俺の記憶が正しければ、夏木のエプロンは、小学生くらいから使っていたような気がするが……
「これは、小学校の頃にお母さんに買ってもらってから使っているよ」
夏木はエプロンを俺に見せる。
エプロンは、何か所かも補修された箇所がある。
大事にしていた証拠だ。
「でも、もう、これは小さいし、ぼろぼろだから、これもそろそろ変えないとね」
と言う夏木。その言葉におれは、夏木のプレゼントを決めるのであった。
「と言う事で、一緒に夏木のエプロンを探してほしいです!」
「分かりました!その白金君のお願い、私も協力させて貰います!」
と俺が頼んだ相手は、末永さん。
本当は、自分でエプロンを探すべきなのかもしれないが、俺には、女性の好みなんて分からない。そのため、女子力が高い末永さんに頼んでみる事にした。
そして、快く受けてくれた末永さんと俺は、学校の放課後にデパートに行く事になった。
俺はじっくりエプロンを見て、夏木が着ている所を想像する。
そして、これが良いと思った物は末永さんに判断して貰う。
「末永さん、これどうかな?」
「なんか、お店の人みたいなエプロンだね」
とすぐに却下され、末永さんが新しいエプロンを持ってきた。
「このエプロン、どうかな?」
と持ってきたエプロンだが……
「これじゃあ、メイド喫茶の店員みたいですけど……」
黒の可愛いらしいエプロン。
これで、猫耳なんかあったら、もうメイド喫茶の店員だ。
こんなのは却下だ
「でも、本当は、夏木ちゃんのこう言う姿見たいでしょ?」
「べ、別にそんな事はないですよ……」
「へぇー本当かな~」
と末永さんはにやにやと俺を見るが、俺は本当のことを言ったつもりだ。
夏木をそんな下心持つわけ……
「おかえりなさいませ!ご主人様」
「起きてくださいご主人様。朝ですよ」
「ご主人様」
「ご主人様」
「好きですご主人様……」
駄目だ駄目だ!夏木のそういう想像は、兄として失格ではないか!
「どうしたの白金君……」
「何でもないです!」
さて、気を取り戻してエプロン探しだ。
「あの、末永さん、これはどうでしょうか?」
「なんか、地味……」
「それよりも、こっちの方がいいと思うけど」
と末永さんが勧めたエプロンは桃色の無地のエプロン。
なんの変哲のないエプロンだが、このエプロン夏木が以前に着ていたエプロンに似ていて、夏木がこのエプロンを着ている所を容易に想像出来る。
まさに夏木のために作られたかのようなエプロンで、夏木にとても、ピッタリのエプロンではないか!
「末永さん、これにしましょう!」
「うん、分かった」
こうして、夏木のエプロンを買えた俺。
これで、一つ目の問題は解決した。
あとは、夏木の交流関係問題だけとなった。
――とある所にて――
夏木は、友達二人と居た。
「そう言えば、もう少しで、夏木ちゃん誕生日だよね?」
「うん、そうだね」
「なら、お祝いパーティをしなければなりませんね」
白金のサプライズパーティーと重なる予感……
果たして、白金は無事サプライズパーティーを開けるのだろうか
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