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6月中旬雨が多くじめじめした季節が来た。
そんな中、俺は一人部屋で、猛勉強をしていた。
「やばい、どうしよう……」
普段、俺はあまり勉強はしない。
だが、今回ばかりは勉強をしなければまずいのだ。
なぜなら、7月上旬には期末テストが待っているからだ。
「おにぃ、無茶は禁物だからね……」
と部屋の外から心配そうに声をかけてきた夏木。
「おにぃ、お昼ご飯置いておくからね……一応、もう一度言うけど、無茶は駄目だからね」
と、夏木は心配してくれるが、俺は、勉強に打ち込む。
途中、夏木が持ってきたお昼ご飯をつまむが、その時にも参考書を読み、夏木の心配を完全に無視している感じだ。
兄として失格だ。
ごめんな!夏木!
だが、今回ばかりは、そこまでしなければ、赤点を回避できないかもしれないのだ。
時間は、一秒も無駄にできない。それに、数学と理科は今のところ赤点を回避出来るか分からないほど
まずい状態だ。
だから俺は、今日という休日を利用し、猛勉強に励んでいる。
そして、勉強を始めてから、気づけば夜になっていた。
「おにぃ、まだ勉強をしているの……あまり無茶は良くないからね」
そう言葉を残し、夏木は夜食を置いて行ってくれた。
その後、俺は夏木が作ってくれたおにぎりをつまみ俺は勉強に集中。
気づけば、日付をまたいでしまった。
「おはよう……夏木……」
「おは……おにぃ!大丈夫!?」
「大丈夫、ちょっと勉強しすぎただけだよ……」
ふらふらとした足取りで朝ご飯が置いてある机へ
今日は、和食か……特にしゃけか美味そうだ……
俺はごはんを食べる。
「ご馳走様。今日も美味しかったぞ……」
「それよりも、本当に大丈夫?今日は大事をとって、休んだ方が……」
「大丈夫だよ……」
休むわけにはいかない。
もう少しで、期末テストなんだ、だからなんとしてでも
――学校にて――
俺は眠い目を擦りながら授業を受けた。
だが、内容が全く入ってこない。
先生は何言っているのだろうか?
今何をやっているのだろうか?
「はい、今日はここまで」
気づけば、休み時間を迎えてしまった。
この時間も勉強をしなければ……
「白金君……なんか、顔色が悪そうだけど、大丈夫?」
ぼんやりした俺の視界に出てきたのは、末永さん。
末永さんは、とても心配そうに俺を見ていた。
「うん、大丈夫だよ!ちょっと昨日勉強しすぎて、ほら、期末テストも近いし」
と末永さんに心配させないように俺は、明るく振る舞った。
だが、末永さんの表情は変わらない。
「そうなの。勉強も大切だけど、無茶は駄目だからね」
「うん……」
そう言ったが、末永さんはずっと俺を見てくる。
「やっぱり駄目だわ!」
末永さんが俺の机をバン!と叩くと、俺の手を握り締めた。
「白金君!私、白金君の勉強を教える!」
「えっ……」
末永さんは勉強が出来る。
勉強を見てもらうのはとてもありがたいことだが
だけど、俺なんかが、末永さんに教えてもらってもいいのだろうか?
末永さんも期末テストに向けて、勉強をしなければならないのに俺の勉強の面倒なんて見ていていんのだろうか?
「私、白金君のそう言う姿、見てられない。だから勉強を教える。それに勉強を教える側も、改めて得るものもあるから、私にもメリットがある。だから、勉強を教えさせてください!」
と言われたので、俺はこう言った。
「なら、俺に勉強を教えてください……」
そう言うと、末永さんは、嬉しそうに頷いた。
こうして、俺と末永さんの……
「あの!その話、私も混ぜてくれないかな?」
その話に入ってきたのは、島崎さんだ。
すると、末永さんは怪訝そうな顔をし、こういった。
「良くないですね島崎さん。人の話を盗み聞きなんて」
「盗み聞きしたのはごめん……だけど、その話、私も興味があるの」
「そう言って貴方、また白金君に近づいて、白金君に嫌がらせでもしたいの?」
「違う、私は、もう、そう言う事は……ただ私は、末永さんに勉強を見てもらいたい!それだけなの!」
「だけど、島崎さん。私に勉強を見てもらうほど、成績も悪くないはずですよね?」
「そうですね。だけど一度だけで、いいから、学年トップに近い人物が一体、どんな感じで、勉強をして、白金に勉強を見てくれるのか知りたい」
「はぁ?何言っているのですか?勉強って普通に……」
「末永さん、俺からもお願いします。島崎さんを入れてください」
「白金君まで……」
末永さんは少しの間、考える。
そして、「はぁ……」と深いため息をつくと、こう言った。
「白金君が言うのなら、特別に教えますよ……だけど、少しでも白金君に嫌がらせとかしたら、すぐにでもやめてもらいますから」
「うん、分かった」
こうして、放課後、この3人で、学校の図書館での勉強が行われた。
果たして、俺は、無事赤点を回避できるのだろうか?
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