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39 バレンタイン

1月も終わり、2月へ突入した。


そして、今日は、2月14日。


バレンタイン当日だ。


だが、今日は休日と言う事もあり、学校もない。

異性からチョコレートを貰える事を期待していた者は、今頃、萎えている頃だろう。


「おにぃお昼ご飯できたよ」


今日のご飯は、チャーハンだ。

具も沢山あってとても美味しそうだ。


「どう、美味しい?」

「うん、美味しいよ。流石、夏木だな」


「えへへ、ありがとうおにぃー」


俺は夏木の頭を撫でる。


夏木は俺に頭を撫でられ喜ぶ。


なんて、可愛らしい表情なのだ〜


すると、夏木は何かを思い出したかのように、席を立つ。


そして、冷蔵庫から何かを取り出してきた。


「実はね、おにぃにチョコレートを作ったの。良かったら食べてくれるかな?」


夏木が差し出してものはハート型のチョコレートだ。


「今日はバレンタインでしょ。だからおにぃに食べて欲しくて……」


夏木……そんなに俺の事を思ってくれていたのか……

おにぃ感激!


俺はチョコレート食べた。

チョコレートは甘さもあるが、少し苦みもある。

少し大人向けなチョコレートていう感じだ。


「どう、美味しいかな?」

「うん、美味しいよ」

「ほんと!」

「あぁ、本当だ」


と俺は夏木のチョコレートを一個簡単に食べ終えてしまった。


すると、夏木がこんな事を言った。


「じ、実はねおにぃ。おにぃのためチョコレートを作ったのはいいんだけど……そのおにぃに合う味が分からなくて、沢山チョコレートを作ってしまったの。だからその、良かったら食べない?」


「あっ!無理しなくて大丈夫だから!」と言った夏木。


だが、せっかく夏木が俺のために作ってくれたのだ!


おにぃがその残ったチョコレートを食べなくてどうするのだ!



「ありがとうおにぃ!」


夏木が喜んでくれればそれでいい。

俺は夏木が作ってくれたチョコレートを食べ続けた。


甘いチョコレートから苦いチョコレートまで……

いろんなチョコレートを食べた。


一体、何個目のチョコレートだろう。

もう、10以上はチョコレートを食べたような


「おにぃ大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ」


こうして、何十個ものチョコレートを平らげた俺。


もう、チョコレートは当分食べたいとは思わない。


だが、そこから数時間後のことだった。

ここから、チョコレート地獄が始まるのであった。


俺の家のインタホーンが鳴った。


夏木が、玄関へ行った。


「あれ、皆さんどうしたのですか?」


皆さんと言う事は一人ではないのか


「お邪魔します!」


一葉!それに末永さん!後、小林さんに恵理まで


なんだか、嫌な予感が……

なぜ、みんな手提げ袋を持っている!


「実はね、みんなでチョコレートを作ったの。だから食べて」


もう!無理だ!

適当な事を言って、チョコレート地獄を回避しなければ!


「あっ、ごめん。俺今さっき、ご飯を食べたばかりでお腹いっぱいなんだ」

「それにしては、その服。チョコレートのような汚れがあるんだけど……私の見間違えなのかしら?」


これは!さっき夏木に食べさせられれたチョコレートの汚れだ!


こんな所に落とし穴が!

畜生……俺としたことが、こんな汚れに気付かないとは……


さて、これをどうやって誤魔化すか……


みんな俺を睨みつけてくる。


あまり、考えている時間もない。


「えっと、この汚れは、前にチョコレートを食べた時の汚れと言うか……


「ふ~ん」


「皆さんお茶はいりましたよ」


と言って夏木は、みんな分のお茶をおいた。


そして、夏木は俺の服を見る。


「あれ?おにぃ、その汚れもしかして、さっきのチョコレートの汚れ?」


夏木!!!!


「白金君?今の発言、どういう事なのかな?」

「もしかして、夏木ちゃんのチョコレートは食べるけど、私達のは食べれないと……」


そんなに睨まないでください、末永さんと恵理。


「いいや、そう言うわけではなく」

「なら、食べて貰いましょうか?」


「ほら口を開けて」と言い、小林さんが俺にチョコレートを入れようとする。


俺は口を開けず、チョコレートを拒否する。


だが、ここで俺は思った。


この行為は小林達に失礼かも知れない。

……

さっき一葉が言っていたが、小林さん達もわざわざ俺のために、手作りチョコレートを作って来てくれたと言っていた。


だから、それを拒否すると言う事は、俺は小林さん達を拒否しているのと一緒なのかも知れない。


仕方がないが、チョコレートを食べるか……


「どう、美味しい?」

「うん、美味しい」


小林さんのチョコレートは苦みが強い。

けれど、ほんのり甘みがあって美味しい。


「じゃあ、私のも」


一葉のは甘みが強い。


お子様向けのチョコレートと言う感じだ。


けれど、これはこれで美味しい。


「じゃあ、私の食べて貰おうかな」


末永さんのチョコレートは普通のチョコレートと

思うほど、バランスの取れたチョコレートだ。


これは普通に美味しい。


こうして俺はみんなのチョコレートを食べた。


みんなそれぞれ違った味がした。


苦みが強いのもあれば、甘みが強いチョコレートもあった。


けれど、どれも美味しかった。


また機会があれば食べたいのもだ。


あれ?なんです皆さん。なんか、俺に話しづらそうな雰囲気を出していますが……


まさか……


「実はね、白金君のためにチョコレートを作っていたら、ちょっと、作り過ぎてしまったの。だから、その食べてくれないかな?……あっ別に食べなくても良いからね!」


なら今は大丈夫です!


もう、さっき夏木のチョコレートをたらふく食べたので……


あのーそんな「お願い!」と言わんばかりの目で訴え掛けないでくれますか?


さっき、大丈夫的なこと言っていましたよね……


あれ嘘ですか?……


そんなキラキラした目で見つめないでください……


これじゃ俺が食べないと罪悪感が残るじゃないですか……


「よ、良かったら、チョコレート食べようか?」

「ほんと!?」


あはは俺は何を言っているんだ……


さっきも、夏木のチョコレートを食べたのにまた、この人達のチョコレートを食べるとは……



俺は、みんなが作ってくれたチョコレートをすべて食べた。


みんなはとても喜んでくれた。


その顔を見ると、俺が頑張った甲斐があった。


だけど、もうチョコレートは当分いらない。


いや、食べたくないし、見たくもない!


こうして、バレンタインは、終わりを告げた。

読んでくれてありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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