伊達巻!
1月3日
皆さんはどうお過ごしでしょうか?
やっぱり、三が日は、家でテレビなどを見ながら、ぐうたらしているのでしょうか?
それとも、親戚が集まり、わいわいと楽しんでいるのでしょうか?
それとも、俺みたいにバイトや仕事をしているのでしょうか?
「いらっしゃいませ!」
「次でお待ちのお客様どうぞ!」
など言い俺は接客をこなす。
三が日だけあった人は多い。
こっちは、先輩たちが帰省とはやらで人手不足だと言うのに……
昼休み
「お疲れ様です!先輩!」
「良かったらどうぞ!」とお茶をくれた一葉。
俺は一葉のお茶を貰い、一つ口飲む
仕事をやり切った後に飲む飲料は格別に美味しい。
その後、俺と一葉でお弁当を食べることとなった。
俺の昼ごはんは、コンビニ弁当。
それに対して、一葉のお弁当は、豪華なお弁当だ。
一葉は美味しそうに伊達巻を食べている。
お、美味しそうだ……
そんな俺に気づいたのだろう。
一葉はこう言った。
「これ、おせち料理の余り物なんです。良かったら先輩も食べます?」
「じぁ、貰おうかな」
何が食べたいですか?と聞かれたので、俺は一葉がさっき食べていた伊達巻を貰うことにした。
「じぁ、はい。あーん」
一体これはなんの冗談だ。
一葉は、俺が食べるのを待っている。
一葉がやっていることはまるで、カップルがやるようなものに見えるが……
「先輩。タダで伊達巻を貰おうなんて甘いですよ~」
なるほど、そう言うことか。
ならば、俺も見返りをあげればいいのだな
「なら、物々交換だ!」
俺はコンビニ弁当のから揚げを差し出す。
から揚げは犠牲になるが、伊達巻は手に入る。
悪いなから揚げ……でもお前の事は忘れないから
「大丈夫です。私、脂っこいの避けているので」
「それよりも、はい。あーん」
どうしよう。伊達巻を食べたい。
だけど、ここで、一葉の思い通りにはさせたくない!
「ふ~んそうですか。先輩が食べないなら、私、食べちゃお!」
一葉は伊達巻を美味しそうに食べた。
そして、もう一つ伊達巻を……
「あれれ?伊達巻も後、一つになってしまいましたね!」
お前が食べたからだろ!
「それで、どうするのですか?伊達巻……」
「ほらほら」と伊達巻を俺の前に散らしてくる一葉。
全く悪趣味な事をしてきやがって!
「先輩が食べないなら、私、食べちゃお!」
伊達巻が食べたい!
伊達巻が食べたい!
伊達巻が食べたくて仕方がない!
「あの、一葉さん。その伊達巻……」
俺は誘惑に負けてしまった。
一葉にあーんをされながら、伊達巻を食べてしまった。
なんたる屈辱……
「どうでしたか?伊達巻のお味は……」
「美味しかったです」
「そうですか。それはとても良かったです」
一葉はとても上機嫌だ。
どうしてか?そんな事言うまでもない。
一葉の伊達巻を一葉の箸で食べてしまったからだ!
「あぁ、これで先輩が私とキスをしてしまったという既成事実が出来てしまいましたね」
あれはキスとは言わない。
ただ、伊達巻を貰った。
一葉の箸で食べたからと言って、キスをしたと言う事実は出来上がらない。
しかし、一葉はとても上機嫌だった。
その後、午後のバイトを乗り越える俺達
俺はバイトが忙しくて、今にも死にそうだと言うのに、一葉はまるで、疲れを感じさせない笑顔をお客さんに振りまいていた。
「先輩、今日もお疲れ様でした!良かったらこれ!私からの奢りです!」
「ありがとう、一葉……」
一葉から貰った缶コーヒーを俺は飲む。
疲れた目がシャッキとする。
だけど、これはブラックで苦い……
苦い顔をした俺に、一葉は腹を抱えて笑った。
「先輩、面白い~。ほら、これ甘いんで飲んでください」
俺は一葉から貰った飲み物を飲んだ。
飲んでみたところ、ココアだ。
だけど、口に残った苦みがなくなったので、助かった。
「あはは、先輩引っ掛かりましたね!それ私の飲みかけですよ」
爆笑する一葉。
畜生!やられた!
一葉にしては良く気が利いたことだと思ったのに!
「あぁ、先輩。またやってしまいましてね!」
と笑った一葉は、「ではお先に失礼します」と言い残し、一葉は、上機嫌にバイト先を出て行ってしまった。
こうして、一葉に振り回された三が日は終わりを迎えた。
突然の割り込み投稿にも関わらず読んでいただきありがとうございます。
次回もよろしくお願いします!




