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忘年会


クリスマスも終わり、あと数日で今年も終わる。


今年は今までの中で、一番充実していて、一番、時が流れるのが、早いと感じる一年だった。とテレビと暖かい飲み物を飲みながら、こたつに入りながら、今年を振り返る俺。後数日、しなければ、年を越さないが、もう、大きなイベントはないだろう。


しかし、残念ながらまだ今年は終わっていなかった事を思い知る俺であった。



ある日のバイト


今日は今年最後のバイト。31日〜三が日はお休みになる。そのため、今日は、お客様はたくさんの人が来店してくれた。お陰様で大繁盛。この店も、それほど、市民の皆様から愛されている証拠だ。



バイト終わり


俺は天野店長に呼ばれていた。


「急に呼び出して悪かったな皆んな」


どうやら、神崎先輩や葵先輩、後藤さん、など今日のシフトが入っている人が呼ばれている。


「それで、私達に何ようですか?」


「実は、今年も忘年会をやろうと思っているんだが、皆んなもどうかな?」


「僕は大賛成です!」


 天野店長の問いかけにピシッと手を挙げたのは神崎先輩。そしてそれに続くように、葵先輩や後藤さんなど、この場にいるほぼ全ての従業員が賛成の意思を示した。

あと残るのは、言うまでもないが俺だけだ。


「白金、お前はどうだ?」


「俺は……」


 今回はお見送りという事で……

と言いたいが、俺はほぼ強制参加だろう。

断った人は、基本何かしらの用事とかで断っている。暇人である俺とは違う。


それに用事があるとか言って断っても、後々、嘘だと言う事が簡単にばれるのだろう。そうなると、俺に残された選択肢は一つしかないに等しい


「行きます忘年会」


「そうか、分かった」


と言ったものの、俺はこう言うイベントはどうも苦手だ。がやがやしたところでご飯を食べることになるし、やっぱり後輩の俺は、先輩の接待をしなければならないのだろう。


ならば、家にいて、夏木の料理を堪能していた方が、気が休まる。


夏木の料理、食べたかったな……


と言う事で、俺は忘年会に行くことになった。

忘年会 会場まで、原田さん、後藤さんの二人で行くことになっている。(強制的に)


――当日――


「先輩遅いです!」

「本当ですよ!先輩何していたのですか!?」


と駅前に着くなり、原田さん後藤さんに怒られる始末。これでも集合10分前には来ていたが、この二人はいつ来たのやら……


「先輩、一緒に行きましょう!」


 えっと……この状況どうしたら良い?

二人の手が視界にそして、顔をあげれば、二人が同じようににっこり笑っている。この二人の中、誰の手を取ればいいのだ。と迷いながら手元を見た俺は、手袋をしてない後藤さんの手を取ろうとする。


すると後藤さんはにっこり笑うが、原田さんが睨みつける。逆に、原田さんの手を握ろうとすれば、もう一人が睨みつけてくる。

 一体俺はどうするべきなのだろうか?

そう迷っていると、二人は「早くして!」と言わんばかりに不機嫌そうに顔を膨らませる。

どうやら、そう長く迷っている暇はないようだ。


だけどどうすれば


後藤さん?

いや、原田さんが睨みつけてくる。

なら、原田さん。

いや後藤さんが睨みつけてくる。


あぁ!どうすれば!

待てよ……


俺はいいアイデアを思い付いた。

わざわざ一人に絞る必要はないじゃないか!


ならば二人の手を握る!

こうして、俺は二人の手を握り、目的に向かうのであった。

一体、はたから見たらどういう関係に見えるのだろうか?


ーー目的地焼き肉店にてーー


「遅かったなお前達」


天野店長が店の外で俺達を待っていた。


「遅かったて言うことは、もう、皆さんいるんですか?」


「あぁ、そうだ。だが、お前たちは集合時間10分前には来ているから遅刻ではない。だから気にするな」


と言われ俺達は店の中に入った。


そして、天野店長に案内された場所に向かうと、

そこには神崎先輩達がいるではないか。


しかも、もう料理も注文されているではないか……


どんだけ、この人達は気が早いのだ!


「さぁ、みんな座って」


と葵先輩が俺達を手招きをし、俺達は席に着いた。



「今年も一年、ご苦労だった。では乾杯」

「乾杯!」


と俺達の忘年会が始まった。


みんな肉を焼いたり、飲み物や食べ物を沢山注文する。


「遠慮せず沢山食べるんだぞ」


と俺の隣に座る天野店長はそう言った。


が、多少は遠慮しなければならない。


と言うのも、この忘年会は全て天野店長の自腹で行われているらしい。


「ビールの生を一つ」


天野店長はお酒を頼んだ。


天野店長は普段から車を使う人だが、大丈夫なのだろうか?


「天野店長、その大丈夫ですか?」


「あぁ、今日は車ではない」


天野店長は黙々とお酒を飲む。

そして忘年会の序盤に差し掛かった時点で、ビールジョッキを5杯も飲んでいる。


「天野さんそんなに飲んで大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だ。しかし久しぶりに飲む酒はうまい」


と言った天野店長は、3杯5杯7杯とお酒を注文した。


それでもべろべろにならず淡々とお酒を飲み干す天野店長。

何となく、お酒には強そうなイメージがあったが、まさかここまで飲むとは……


そう思っていたのもつかの間、天野店長が10杯目に突入した時に異変が起きた。


「白金きゅん~一緒に飲もうよ〜」


天野店長はべろべろんに酔いはじめ、俺に近づく。


天野店長は普段から香水をつけていて、とてもいい匂いがするが、今は香水の匂いと酒臭いがまじり、はっきり言ってとても臭い。


だけど、なんと言うことだ……


普段はクールな店長だが、滅茶苦茶エロいんですけど!天野店長の荒い息使い、そして着崩れしているワイシャツ。


「店長しっかりしてください!」


葵先輩がお水を持ってきた。


「ありがとう~葵ちゃん~」


葵先輩から貰った水を一気に飲む。

これで、多少酔いがさめればいいが、そう簡単にはいかない。


俺に変わって今度は。葵先輩が狙われた。


「あれれ?葵ちゃんて、胸大きいんだね~」


と言い、葵先輩の胸をわしずかみし、触り始める。


「ちょ、ちょっと天野店長!やめて」


顔を真っ赤にした葵先輩。


それに対して、天野店長はニヤニヤしながらこう尋ねる。


「ねぇねぇ、葵ちゃんは何カップルなの?」


「や、やめてください」


「じぁ教えてよ〜じゃないと、もっといやらしいことしちゃうよ~」


と俺は今、見てはいけない光景を見てしまっている。これはセクハラと呼んでもいいだろう。


これは天野店長を止めなくては!


だけど、葵先輩のこの後の展開も気になる。


しかも、神崎先輩などの男性陣営はみんなガン見して助けに行かない。なので、とりあえず空気を読み、様子見と言う事で……


「ちょっと男子達!ぼーと見てないで、葵さんを助けなさいよ!」


「は、はい!」


女性陣の従業員により、男性従業員達も動き出す。

俺も助けに行かなくては、とりあえず、天野店長に水を飲ませることにした。お酒の仕組みはよく知らないけど、とりあえず水を飲ませれば、落ちたくだろう。


「天野店長。もう一杯、水を飲みましょう?」


「ありがとー白金きゅん~白金きゅんや優しいですね~」


と天野店長は俺の頭を撫でる。そして、天野店長は俺を抱きしめる。まるで、俺をぬいぐるみ扱いだ。


「よしよしいいこでちゅね~」


神崎先輩達は無様な俺を見て爆笑する。


「見てないで助けてください!神崎先輩!」


「助ける?お前、今、すごい、思いをしているじゃないかなぁ、白金きゅん!」


 人が大変な目にあっているというのに神崎先輩達は俺の無様な姿を写真を撮っていたり、腹を抱えて笑っている人もいる。神崎先輩達は頼りにできない。

ならば!


「後藤さん!原田さん!」 


「あっ、お肉焦げそうですね」


「そうですね」


どうしてでしょうか?

俺は二人に無視されました。

そして、他の従業員にも助けを求めても、苦笑いし、「頑張って!」なんて言う励ましを掛けらて終わり。もう、誰にも助けてもらえないではないか。


「葵先輩、一生のお願いです。俺を助けてください」


とウルウルした瞳で葵先輩をみる。

だが、葵先輩は無情にも、冷たい目で俺を突き放す。


「人が胸を触ていると言うのに白金君は、それをただただ見ていた……だから、私も白金君は助けないことにしたから」


と葵先輩は後藤さんと原田さん達の方へ行き、美味しそうに焼肉を食べる。


その姿に俺は心の底から思った。


俺もあの中に混ぜて欲しい……

みんな楽しそうにお肉を食べている。

俺、まだ全然お肉食べられていないから、せめて少し分けてくれ!


「白金きゅん~私と遊ぼう!」


そして、天野店長のスキンシップはさらに激しさを増し、ほぺったをすりすりなどやられた俺は、もう、店長恐怖症になってしまいそうだ。

男性陣と女性陣は楽しそうに、焼き肉を食べている。俺も混ぜてくれ……



その後、天野店長は満足したのだろう。

すぅすぅと俺の膝の上で寝てしまった。

ワイシャツが乱れ、視線を見れば、黒のブラジャーが見える。俺は一体どこに視線を落とせば……


一時間後


かれこれ、一時間くらい経っているが、天野店長はいまだに、ぐっすり寝ている。天野店長を起こしてみても、起きない。膝の上で寝る天野店長。そろそろ、足が限界だし、このままでは、帰れない。


「さて、これでお開きにしましょう!」


「ちょっと待ってください!俺は、これからどうしたら!」


「白金。お前、店長をおんぶしろ」

「どうしてですか!?」

「お前が一番、なつかれていたからだろ」


と言う理不尽な理由で、俺は天野店長をおんぶをして店を出ることとなった。(一応、天野店長を一度、退かすのは手伝って貰ったが……)

これが、社会の理不尽さと言うことだな。


食費の会計は、普段天野店長が常連という事もあり、つけということに。


そして、俺達はお店の外を出た。

すると、目の前に黒の高級車が止まっていた。


「おまち致していました」


見知らぬ白髪の男性が……

歳でいったら60歳くらい。


男性はしっかりした服装をしており、まるでどこかの執事のようだが……


「申し遅れました。私、天野家の執事をしています。篠崎 重彦と申します」


「うわ!本当に執事だ!」


名刺を受け取った葵先輩が驚いた。

執事と言う職業が、本当にあることに驚きだが、執事をつけるほどの家に暮らしている天野店長も凄い。



「おやおや、柚木様。かなりお飲みになられましたね。すみませんが、白金様、車の後部座席までお願いしてもよろしいですか?」


「は、はい」


初対面のはずだが、どうして俺の名前を知っているのだろう?俺が知らないだけで、もしかしてこの人と会っているのだろうか?いや、そんなことはないはずだが……


「皆さま、今日はとんだご迷惑をお掛けしました。ですが、これからも柚木様の事をよろしくお願いします」


と挨拶をし、天野さんの執事とは別れるのであった。こうして、今年は終わりをつげた。


次の日。天野店長から連絡がきた。


「昨日は、ほんと申し訳ない。それでだな、お詫びとはなんなんだが、今度、君達をディナーを食べにきて欲しい。勿論、私はお酒を飲まないし、迷惑はかけない。だから、



読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします

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