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夏休みが終わりついに新学期が始まった。

そして、早速奴らが俺の前に


「おはよう!キモオタ君!」

「おはよう!キショオタ!」

「お、おはようキモオタ……」


と原田さん、島崎さんはいつも通りと言う感じで俺に挨拶してきた。


だが、どうも、小林さんだけ様子が変だ。


「あれれ?それはまた新しいオタク小説?」

「どれ、見せてみなさいよ」


と島崎さんが俺の本を取り上げ、島崎さんと原田さんは本の中を見る。


そして、島崎さんこう言った。


「うわ、恋愛小説とか気持ち悪!」


それに対して、原田さんはニヤニヤしながらこう言う。


「まぁまぁ、優菜。キモオタ君には本当の恋愛が出来ないんだから、小説くらいいいじゃん」


「確かに!」


と馬鹿笑いする島崎さんと原田さん。

この二人に「俺だって恋愛の一つくらいできる!」と言いたいが、原田さんが言っていることは正論過ぎて何も言えなかった。


と俺はチラッとある方を見る。

それは小林さんだ。

理由は簡単だ。


小林さんはいつもとは違っていたからだ。


小林さんだけが、何も言わないし、二人とは違って俺の事を笑わなかった。


新学期に入ってから小林さんが変だ。


一体どうしたと言うのだろうか……


そして、2人が俺から離れていく際、小林さんは頭を下げるのであった。


これは、俺に対して謝っていると言うことだろか?


と言う謎が残るまま、新学期初日の朝は終わり、朝のホームルームが始まるのであった。


――朝のホームルーム――


新学期が始まり、俺達のクラスに新しい生徒が入ってくるようだ。


その理由は担任が教室に入ってくるなりこう言ったからだ。


「まず、最初に皆さんに大事なお知らせがあります」


先生は転校生を呼び出した。


そして、転校生が教室へ……


黒髪のロングを一つで結んだ女子生徒。


すらっとしたスタイルに可愛らしい顔。


まさに美少女。


クラスメイトがざわざわするなか、美少女は黒板に名前を書きこう言うのであった。


「私の名前は、高城 一葉と申します。どうぞ宜しくお願いします」


と自己紹介した高城さん。


なんだか、その名前に聞き覚えのあるような……


それに、どこかで会ったことのあるような顔のような……


「では、高城さんはあそこの……ちょ!ちょっと高城さん?!」


そんな高城がスタスタと俺の方へやって来た。

そして、俺の前に立つと


「会いたかった!結城」


と俺に抱きついた高城さん。


高城さんからは懐かしい匂いがする。


やっぱり、彼女だ。


中学まで幼馴染だった、高城 一葉だ。


まさか、こんなすぐに再会を果たすとは思ってもいなかった。


嬉しい!


嬉しい!


嬉しいけど……


「もうちょっと場所を考えてくれ」


と俺は呆れる。


すると、一葉は俺から離れてた。


そして、満面な笑みを浮かべながらこう言った。


「ごめん結城!」


その表現に俺は一瞬、ドキッとした。


再会してからそれほど時間が経ってないのに、一葉は前よりも可愛くなっている。


こうして、再会を果たした俺と一葉。


「宜しく、結城!色々この学校のこと教えてね!」


と俺の右隣に座る一葉。


俺と一葉が知り合いである事を知った担任が、一葉の面倒係として俺が指名された。


その結果、右隣には一葉が座ることとなった。


――昼休み――


右の横を見ると、女子達に囲まれている一葉。


転校生だけあって人気者。


周りに誰もいない俺とは全然違う。


それなのに、一葉は俺の所へ毎回くる。


そして、昼休み早速、俺の前にやって来た一葉はこう言った。


「はい!結城の分。私の手作り弁当だから一緒に食べよう!」


と俺に弁当を差し出す一葉。


転校して初日と言うのに、もう俺と弁当を食べる準備をしていたとは……


少し一葉にひく俺に対して一葉は満面な笑みで俺を見る。


「結城、食べよ!」


「いや、俺は別にいいよ……」


「もぉ!つべこべ言わず一緒に食べよう!」


と一葉は俺の机を動かし、一葉の机と合体させる。


「さぁ!食べよう!」


と一葉は自分の弁当と、俺のためにつくった弁当を広げた。


こうなると俺の取る行動は一つ。


それは一葉と強制的にお弁当を食べると言う事だ。


「どう美味しい?」

「うん、美味しい」


一葉の手作り弁当は初めて食べたが、どこか懐かしいような味がする。


多分それは、一葉の親の味だろう。


一葉が親から教えて貰えば、自然的に親の味になるだろう。


小さい頃は良く、一葉の家でご飯をごちそうになったもんだ。


「はい結城あーん」


と俺におかずを食べさせようとする一葉。


俺は、一葉を無視しご飯を食べる。


冗談じゃない、こんなクラスの目がある中でカップルみたいなイチャイチャ行為をするなんて


「おーい結城君~」


食べ物を押し付けてくる一葉。


だが、これも無視して目の前のお弁当のおかずに集中する。


ここは気づかないふりをしよう。


ここで、一葉と目が合えば俺は一葉に気づいていることになる。


そうなると一葉のおかずも食べざるおえなくなる。


クラスメイトがいる前で絶対そんなことはしたくない!


と言う思いで俺は一葉の攻撃を防ぎきるのであった。


だが、その代償に一葉の機嫌を損ね、放課後一葉と一緒に帰ると言う確定演出が発生してしまったのであった。


だけどその前に……


「あとはよろしく!」


と俺にほうきを渡してきた島崎さん。


そして、島崎さんはカバンを持ちどこかへと消えていった。


今日は掃除当番の日だが、いつも通り島崎さんは掃除をほったらして、帰ってしまった。


なので、いつもどおり俺一人で、掃除をすることとなった。


と言う事で、ぼっち掃除の始まり始まり。


一葉には先に帰って欲しいと頼んでおいたが、「門の前で待っている!」と言い、言うことを聞かなかった。


多分今頃は門の外で待っているのだろう。


だからと言って掃除に手抜かない。



まずは、床の掃除からだ。


机をどけて、掃除機でごみを吸い取る。


みんなはただ床を掃除するだけかも知れないが、俺は隅々まで掃除をする。 


そうするだけでも全然違う。


次に皆の机を綺麗にする。


雑巾で綺麗に拭く。


本来のならここで掃除当番の役目は終了だ。


だが、俺は違う。

ここからは窓拭きと花瓶に入っている水交換だ。


「よし、始めよう」


と俺はバケツを持ち廊下に出た。


すると、意外な人物と出会う事となった。


「小林さん」

「よ、よう結城」


となぜか、廊下の外で立っている小林さん。

なぜ、廊下に……


「どうしたの?」


と尋ねた俺。


「ただ、暇だから様子を見に来ただけ……べ、別に結城の事が心配になって来たわけじゃないから!」


と顔を真っ赤にし、なぜか不機嫌になる小林さん。


どうして急に不機嫌になるのだろうか……全くよく分からん


俺は小林さんを無視し、バケツに水を汲みに行く。


小林さんには申し訳ないが、今の小林さんとどう絡んで良いのか分からない。


また変な事を言って地雷を踏むのはごめんだ。


だから、無視させてもらう。


「ま、待ちなさいよ」


と小林さんが俺の裾を掴む。

もしかして、俺はまた地雷を踏んだのか?


と思いながら、小林さんの方を振り返ると小林さんは顔を真っ赤し、小声でこう言った。


「わ、私も手伝う……」


と言った小林さんだが、俺からはボソボソと何かを言っている事しか、分からなかったためもう一度聞き直した。


「ごめん、なんて言った?」


「だから!私も手伝ってあげるから!」


と言う事で、小林さんと俺で掃除をすることとなった。


「結城って、こんなことを毎回やっているの?」


「う、うん」


「どうしてそこまでするの?」


「この教室にはいつもお世話になっているからかな?」


「何それ変なの」


とクスっと笑った小林さん。

すると、にっこり笑い小林さんはこう言う。


「でも、そう言う結城の所、好きだよ!」


と言われ、俺は一瞬、キュンとなった。


まるでこの感情は、小林さんに恋をしたような感覚だ。


いやいや、相手はあの小林さんだ!きっと俺の事をからかっているに違いない


落ち着け俺!


と俺は掃除に集中した。


先ほどまであった会話はなくなり、俺と小林さんは掃除を続ける。


そして、いつもより早く掃除が終わるのであった。


――廊下にて――


「あ、あの小林さん今日はありがとう」

「べ、別に結城にお礼なんかされる覚えないし」


とその後、無言が続く。


小林さんと話したいが小林さんに対して緊張し、言葉が出てこない。



――門にて――


「待っていたよ結城」


と小林さんがいる前で抱きつく、一葉。


もうちょっと場所を考えて欲しいもんだ。


見てほしい、目の前にいる小林さんが俺達を睨みつけているのではないか


小林さんはこう言った。


「ふん!何よ!学校の前でイチャイチャと!」


と小林さんは俺達を置いてスタスタと帰ってしまった。小林さんには改めてお礼を言いたかったが、一葉が邪魔をしてお礼を言えず、小林さんは帰ってしまった。


「結城帰ろう!」


と俺はこのあと、一葉に散々振り回させ振り回されることとなった。


そして、家につく頃にはクタクタになり、玄関で倒れこんだ。






読んでくれてありがとうございます!

次回も宜しくお願いします!

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