27
8月も、下旬に差し掛かったある日。
俺は夏休みの課題に追われている。
夏休みも後、数日と言うのに、ほとんど課題が終わってない状態だ。
俺は必死になりながら、課題を頑張っている。
そんな中、インタホーンがなった。
多分 恵理だ。
今日は、夏木がいない。
夏木は、夏休みの課題も終わり、友人の所でお泊り会。
そのため、世話役として、恵理が来ることになっている。
俺は、恵理が来ることに最初はとても反対したが、俺のことを心配している夏木が恵理に頼んだと言うことを恵理に聞かされたため、断れなかった。
けれど、一日恵理と一緒は嫌だったので、夕方のみと言う契約にしてもらった。
それにしても、未だにインターホンが鳴り続けている。
恵理なら、合鍵とか持っているはずだから、入ってこられると思うが……
そう思いながらも俺は、玄関の扉を開けに行った。
すると、
「こんにちは、白金君」
そこにいたのは恵理ではなく末永さんだ。
末永さんを見た俺は、やっと思い出した。
そして、思う。
やばい……
「末永さん!ちょっと待ってって!」
俺は玄関の扉をしめ、急いで部屋の片づけを始める。
散らかっている場所は、末永さんの目につかないところに排除。
そして、昼から放置していた昼ご飯の弁当のからは急いで捨てる。
後は、自分の部屋の掃除。
末永は、リビングにしか招待しないが一応のため部屋を綺麗にしておく。
「よし、完璧だ」
俺は急いで、末永さんの所へ向かう。
「おまたせ!さぁ!あがって!」
「う、うん」
と俺はリビングに向かい入れた。
「ゆっくりして行ってね!末永さん!」
「う、うん」
と言ったものの困った。
どうすれば良いのだ。
これから夕食の支度をするにも、恵理が手料理を持って来ると思って何も買っていない。
だから、末永さんに振舞うつもりでいた手料理も作れない。
「結城!夕飯持ってきたよ!」
こ、この声は……
「恵理!」
と俺達がいるリビングに突如現れたのは恵理。
恵理は鍋を持っているそして、こちらを満面な笑みを浮かべながらこう言った。
「結城、この人、誰?」
「えっと、友達……」
「まさか、あんたみたいな陰キャに女子の友達なんていないでしょ?」
と俺を馬鹿にするかのように笑う恵理。
恵理に対して、反論したい。
だけど、恵理が言うように女子の友達なんて……
そんな時だった。
「いいえ、私が白金君の友達です!」
と勢いよく立ち上がった末永さん。
そんな末永に少し驚いた恵理はこう言った。
「そ、そうか、それは驚いたなー!だけど、結城。もし、夏木ちゃんがこのことを知ったらどうなるかしら。知らない女性を自分がいない時に誘い込んだなんて知ったら……」
と俺に近づき俺を覗き込む恵理。
不気味に笑う恵理は物凄く怖い。
だけど、その心配は無用だ。
「夏木と、末永さんはもう一回、会っている。だから恵理が望んでいる展開にはならないぞ」
と言うと恵理は「チッ」と舌打ちをした。
そして、不機嫌そうに鍋を机の上に置いた。
「はい!結城の夕飯!今日はシチューだよ!」
「そうか、今日はシチューか!」
とシチューを見た俺は、末永さんにある提案した。
「末永さん、良かったら食べます?この量じゃ一人で食べきれませんから」
やむを得ない。
本来なら俺が末永さんに手料理を振舞う約束をしていたが、仕方がない!
と思っていると、恵理が俺の頬を強くつねる。
「それ、私の分も含まれているんだけど……」
「え、恵理、もしかして、一緒に食べるの?」
「何?不満?」
「いえ……」
と言うことで、俺達はご飯を食べることとなった。
「はい、貴方の分」
「あ、ありがとうございます」
「はい!結城の分!」
「あ、ありがとう……」
末永さんの量と俺の量
明らかに、差がありすぎる。
末永がお椀の半分くらいで俺が溢れるくらいの量。
「末永さん。よかったら少し食べる?」
「ううん、大丈夫」
と断られた以上、この量食べなくてはならない……
それに恵理には睨まれた。
俺達3人はシチューを食べる。
誰も喋ることなく、ただみんな静かにシチューを食べる。
なにか、会話の一つくらいはあってもいいと思うが……
そう思う俺だが、俺もシチューに夢中である。
久しぶりに恵理の手料理。
昔より格段に美味しくなっていて、手が止まらない。
「どう結城。私の料理美味しくなったでしょ?」
と俺の心を見通したかのように言った恵理は、俺にドヤ顔をした。
正直、今ムカついたので、ここは「まぁまぁだな」とか言って恵理の反応を見ても面白かったが、多分、機嫌を悪くさせるような絵面しか想像できない……
それに、本気でこのシチューは美味しい。
だからこそ
「お、美味しいです……」
「ふん!どうよ!」
ドヤ顔されるのが、ムカつくが恵理には顔が上がらない。
すると、末永さんが笑った。
「二人ともとても仲が良いんですね。まるで、恋人同士……いや、それ以上の関係みたいですね」
「いやいや!俺達はそんな関係じゃないよ!ただの幼馴染だから!」
と俺は完全に否定した。
冗談じゃない。恵理の恋人認識なんて
「あら、違うわよ。私達は立派な恋人同士ねぇ、結城」
「いや、違う……」
「そうだよね結城」
と俺を脅しているかのように睨む恵理。
ここで、断れば間違いなく後で良くないことが待ち受けているだろう。
ここは穏便に事を済ますべきだろう。
と判断した俺は、恵理に合わせることにした。
「そうだね恵理。俺達は立派な恋人同士だね……」
と聞いた恵理は満足そうに頷いた。
そして、末永さんはどこか寂しそうにこう俺達には聞こえない声で呟くのであった。
「そっか、白金君にも彼女がいたんだ……」
「あっ、もうこんな時間。結城、私は帰るから、なにかあったら私を呼んでちょうだい」
と言い、恵理は末永さんに近づき、耳打ちをする
すると、末永は顔を真っ赤にした。
「べ、別に私は白金君のことそう思ってないですから!」
そう言った末永さんに対して、恵理はニヤニヤしながらこう言った。
「なら私が貰っちゃおうかな~」
「そ、それは駄目です!」
と俺が聞こえない所で、二人が何を話していた。
「じゃあ、私はこれで」
「ありがとな、恵理」
「どういたしまして」
と恵理は自分の家へと帰っていた。
後は、末永さんだけだが、もう夜だ。
俺はちょっと照れながらこう言った。
「す、末永さん、もう夜遅いし、良かったら泊まっていく?」
そんな俺の提案に末永さんはもじもじしながらこう言った。
「し、白金君がいいなら……」
と言う事で、末永さんは親の許可をとり、親の承諾も貰えた。
なので、今日一晩だけ、俺の家で過ごすこととなった。
「ごめんね、白金君。さきお風呂入っちゃって……」
と恥ずかしそうに俺の前に現れた末永さん。
末永さんには、妹の物を勝手に使わせたが、少し、小さかったかも知れない。
だけど、反則級に可愛すぎる!
と末永に見惚れてしまった俺は我に返る。
「ご、ごめん、俺も風呂入ってくるから!」
俺は、末永さんから、逃げるようにお風呂に入りに行った。
そして、その後は、末永さんと恋愛ドラマをみて、俺は自分の部屋、末永さんには、両親の部屋で寝て貰うことにしてもらった。
「じゃあ、お休み末永さん」
「うん」
こうして、俺は自分の部屋に戻り寝た。
明日はバイトだ。
そのためにも早く寝なければ……
それなのに、全然寝付けない。
目がっぱりだ。
そんな時、俺の部屋の扉が空いた。
そして、誰かが俺の布団に入り、俺を抱きしめる。
こんな事出来る人は……
「白金君はあったかいなぁ……」
と末永は優しく俺を抱きしめる。
末永さんからいい匂いがする。
末永さんの息が聞こえる。
そして、末永さんの胸が当たっている!
狸寝入りしている俺は、今興奮している。
そんな俺に気づくはずもなく、末永さんは約10分くらい俺に抱きついていた。
「ありがとう、白金君。お休みなさい」
と言い、末永さんは俺の部屋から出て行った。
「はぁ……緊張した」
未だに興奮が止まらない。
まさか、末永さんに抱きつかれるとは……
興奮が抑えきれない中、俺は改めて寝なおした。
羊を何匹も数え寝付けた。
そして、寝付けた頃には、午前2時くらいを回っていただろう。
次の日
バイト先にて
お客さんがいない隙に俺は大きなあくびをし思う。
眠い……
こうして、末永さんと過ごした夏休みは幕を閉じ、数日後、ついに夏休みも終わりを迎えるのであった
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