01.日常
興味を持って頂きありがとうございます。知識や文才など特にない学生の思い付きで書き始めた作品です。至らない点も多いと思いますがどうぞよろしくお願い致します。
「498、、、499、、、500!!」
カラン、、握る力を失った右手から木刀が滑り落ちる。
「はぁぁ、終わったぁあ!」
俺はその場に仰向けに倒れ込んだ、全身、特に腕が痛みで悲鳴をあげている。
「お疲れ様、ラン」
そう言って、俺と同い年の青白い髪の毛をした爽やかな男の子、ヒョウが瓶に入った冷えた水を差し出してくる。
「サンキュ、ヒョウ」
俺はありがたく頂戴して一気に飲み干す。
「うんまぁ!水ってこんなに美味かったっけ??」
身体の疲れが幾分かマシになった気がする。
「まさか授業サボっただけで素振り500回とはね、、今はこの街も厳戒態勢で先生も余裕無いから、、本当タイミングがよくなかったよ、、」
ヒョウが苦笑いしながら言う。
「ほんとだよなあ、ついてなさすぎる、次からは授業を真面目に受けることにするよ」
「まあ、どーせランは寝てるけどね」
「うっせえ」
そんな会話をしながらヒョウも横になり二人で訓練場の床に寝転がる。
「俺らなんのために勉強したり訓練したりするんだろーな、、偉くなっても欲しいものなんて何もねーよ」
「またそれかよ、、親に捨てられた僕たちを拾って、人並み以上の教育を受けさせてくれてる先生やこの施設に少しは感謝しなよな」
「そりゃ感謝はしてるし恩は感じてる、ちゃんとここを卒業したら契約もしてその権限を国の為に使うつもりだよ、けど俺自身がが努力してまで生きる目的が無いんだよ」
ここは国の政策でできた施設で、親に捨てられたり、親のいない子供を引き取り無償で育てる学校の様なものだ。
その代わりに、この学校では、勉学、戦闘訓練等は徹底的に管理され、普通の学校よりも遥かに高度な教育を行い、それを同じ『ランク』の者の中で高い成績を修めた一定数の者だけが次のランクに上がり、その他の者はまた同じランクの者の中で競わされる。
6歳のとき最も低い『ランク1』が与えられ、1年に1度一部の者のランクがあがる。
そして、16歳を迎えて成人するとこの施設を卒業する。
つまり、卒業する者の最高ランクは10であり、最低ランクは1である。
ごく稀に1年に1度のタイミング以外でランクが上がる場合もあるらしいが俺は見たことがない。
卒業した者の多くはこの国の軍である『契約の騎士団』に所属することになる。
もちろん、卒業時のランクに応じて待遇も変わり、ランクの高かった者は皆、騎士団内でも功績をあげている。
一部の者は商業で成功したり、国の文官等になり政治に関わる者もいるらしいが少数派だ。
「そうだなぁ、ランは僕のことは大切に思ってる?」
「当たり前だろ、ヒョウは俺の親友でもあるしたった一人の相棒だからな」
「ありがたい言葉だね、僕もそう思ってるよ、ランは唯一の相棒だ。じゃあフレンやヒカリはどうかな?」
「あいつらはうるさい事もあるけどなぁ、まあでも大切だな」
「だよね、それじゃあこうしよう、僕たちは家族だ、僕たちの親とは違う、お互いがお互いを大切に思う正真正銘の家族だ」
「、、家族?か、、いいなあそれ!」
「だろ?ランは僕や家族であるフレンやヒカリを守る為に強くなって偉くなるし、僕はランやみんなを守るために強くなって偉くなる、どう?少しはやる気出てきた?」
「やっぱヒョウは最高だよ、これは俺とヒョウの約束、、いや契約だな!」
「いいね、僕はどんなことがあっても契約に従うと誓うよ」
「俺も誓う、、契約成立だ、忘れんなよ!」
「当たり前だよ」
話を終えた俺たちは二人で訓練場を出て食堂へ向かおうと立ち上がり訓練場の出入り口に向かっていると、出入り口からラン達よりもかなり年下に見える一人の少年が訓練場に入ってきて、並んでいる木刀を1本とり素振りを始めた。
時間的に夕食を済ませた後の自主的なトレーニングだろう。
1日中訓練させられるこの施設では珍し事だがおかしいことではない。
「あんまり遅くまでやりすぎても明日に響くぞー」
無視は出来ない為一応声だけかけて二人は訓練場を出て食堂へ向かった。
食事の時間からは大分時間が過ぎてるが、ヒカリが俺たちの食事も確保しておいてくれてるだろう。
「はあ、、やっと飯がくえる、、」
ため息をつきながら食堂へ入ると
「サボりの分はもうありませーん!」
と真紅という色がぴったりな赤毛のツインテールの女の子、フレンが絡んでくる。
「はいはい、悪いけど今はフレンに構ってられるほど体力残ってないんだ」
「なによその言い方!!」
騒ぐフレンを無視して俺とヒョウは食堂のいつもの席に座る。
「お疲れ〜、大変な目にあったね〜」
金髪とは言えない黄色っぽい髪の毛をしたショートボブ?の様な髪をした女の子、ヒカリが気のない労いの言葉をくれる
「はい、これ二人の分の夜ご飯〜、デザートは僕が貰ったからね〜」
「何勝手に食べてんだよ!」
「助かるよありがとうヒカリ、ラン早く食べよう、あんまり遅いのは料理長達に迷惑だ」
「チッ、デザートの件は甘んじて受け入れよう、ありがとなヒカリ」
「感謝されても怒られる筋合いはありませ〜ん」
この施設は料理も高級では無いが、腕の立つ料理人達が子供たちの健康と身体作りのことを考えてメニューを作っているため、非常に美味しく、健康的だ。
また、子供達の睡眠時間や入浴時間、その他諸も多少の自由はあれど施設側が管理しているため体調を崩す子供は一人もいない。
「ほんともう腕が上がんねーよ、飯食うのが大変なんて地獄かよ」
「まあランのことだから寝たら忘れるでしょ〜」
「俺の権能は超回復かなんかか?」
「はいはい、自分だけ権能見つけてるからって自慢ですかー?」
いつの間にかフレンも戻ってきて話に加わる。
「お前らも少しは自分で見つける努力してから言えよな」
「親の権能もわからないのにどーやって見つけろって言うのよ!」
権能とはこの世界で意思のある生物が生まれつき持っている能力のことである。
7割程度は親の権能と似ていたり、一部を受け継いでいたり、全く同じなんてこともある。
逆に言えば、残りの3割は自分で権能を見つけなければ自分の権能がわからないのだ。
生まれた瞬間から身についている能力なので赤子の時に無意識に使ってしまって事故を起こしてしまう事もあれば、死ぬまで自分の権能がわからない者もいる。
また、権能には名前があるが、それもある時急に頭で理解するもので自分で知ろうと思って知れるものではない。
名前を先に知ることが出来れば権能を見つけるのはかなり楽になるが、基本的には権能をある程度使いこなせるようになってから名前を知るのが大半である。
俺は偶然半年ほど前に自分の権能を見つけ名前まで知っているが、施設の子供で権能を見つけているのは2割程度である、フレンの言い分も最もだ。
「まあそーだよなあ、俺も本当に偶然だったし」
「けど、僕たちも来年には成人だし、そろそろ権能を見つけて使いこなす練習をしないとまずいよね」
「確かにそーだね~」
「私たちはランク10で卒業する超スーパーエリートなんだから、権能なんて勝手に使えるようになるわ!」
そう、俺たちは今15歳、この施設で4人しかいないランク10についこの間上がったのだ。
つまり6歳から1度も負けずにここまで過ごしてきたってことだ。
「あんま調子乗って足元すくわれないようにな」
「それはランもだけどね」
「ウッ、、」
ヒョウに釘を刺されたし俺も気を付けることにしよう。
「じゃーな」
「また明日」
「おやすみ~」
「おやすみ!やっとランから解放されるわ!」
夕食も食べ終わりそろそろ就寝時間も近いので俺はフレンとヒカリに別れを告げヒョウと男子の寝室へ向かった。
思い付きで書き始めたので読んで頂いた皆様の様子を見てどこまで書いていくか決めるつもりです。少しでも続きを読みたいと思ってくださる方がいらっしゃいましたら、どうぞ応援、感想、アドバイス等よろしくお願いします。