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Lesson9.アイリナ・レイ

貞男はクエスト初達成のお祝いを終わり宿屋に帰宅する最中であった。

お金は100万貰って次の日に罰金分を支払うつもりでいた。

そんな時だった。


「おや? 君は童多 貞男君だっけ?」


と聞いたことのある声がした。

そこには貴族が着そうな鎧を着ており髪型は団子の様にシエテ凛々しい感じの女性がいた。

その女性を見て貞男は


「あれ? どこかで会いませんでしたっけ?」


と聞くと女性は


「そうか……あの時は胃版だったからな、私だよ……アイリナ・レイだ」


と笑顔で挨拶をした。

それを聞いて貞男は


「!? ま! その! こ久しぶりです! あの時はごめいひゃくを! 申し訳ございません!」


と緊張と共に頭を下げる。

それを見てアイリナ・レイは


「いや、こちらこそ仕事とはいえ君には迷惑を掛けたと思っている、時に転生者の件で不快な思いをさせてしまったのはこちらの力不足だ、申し訳ない」


と逆に謝罪をした。

それを聞いて貞男は


「まあ確かにその件に関しては納得は言ってませんが……それはアイリナさんが謝る事ではないと俺は思っていますし……誤って頂く必要はありませんので……」


と緊張しながら言った。

それを聞いてアイリナは


「そうか……ありがとう……そう言ってもらえると助かるよ」


と嬉しそうに言った。

その時、貞男は


「あ! そうだ! お金なんですけど! 早速収入が入りまして! 早速罰金代を支払ってもいいでしょうか?」


と申し訳なさそうに聞いた。

アイリナは


「ああ、良いぞ、今戻るところだ、一緒に行こうではないか」


と言って貞男はアイリナと共に歩いて詰所へと向かった。

その間


「キャあああああ! アイリナ様ああ!」

「麗しいです!」

「ねえ! あの汚らしい冒険者は誰! 隣を歩くだなんて!」

「そうよそうよ! あんたみたいなゴミがアイリナ様の隣を歩くだなんて! 殺す!」


と不穏な言葉が飛んできた。

貞男は


(大丈夫だ、大丈夫だ俺……昔もそんな事あった記憶は少なくはあるがある……そうだ! 耐えるだ)


と考えながら隣を歩いていた。

するとアイリナは


「すまないな……不快な思いをさせてしまって」


と謝罪をした。

それを聞いて貞男は


「別に構いませんよ……気にしてませんし」


と言って軽く言った。

それを聞いてアイリナは


「そう言えってくれると助かる」


と言って黙る。

そして、そのまま詰所に着くと


「ではここで支払いの方をさせて貰う」


とアイリナは貞男を席に着いてその後自分も席に座る。

貞男は


「こっこれを」


と言って緊張気味に金を出した。

アイリナは金貨を手早く数え始めた。

そして


「うむ、確かに60万金貨だ、ご苦労」


と言ってその金を持って行った。

そして、戻ってきてアイリナは魔剣を持っていた。


「ではこの魔剣を返させて貰う、ご苦労だった」


と労われた。

それを聞いて貞男は


「いえ、こちらこそご迷惑を掛けて申し訳ございませんでした!」


とさすがに申し訳なく思い謝罪した。

するとアイリナは


「そうだ! 今から家に来ないか? 君は転生者という事らしいしちゃんとこの世界の事も知っておいた方がいいだろう、最近のエール達の事も聞きたいしな」


と笑顔で言った。

それを聞いて貞男は


「え……いいんですか?」


と緊張しながら聞くとアイリナは


「ああ、構わないぞ」


と言った。

その言葉と共に女性達の視線がより一層鋭くなった。


(ううう……視線が痛い)


と思いながらも断るのは失礼だと思い。


「わっ分かりました……では遠慮なく」


と顔を引き攣りながら答えた。

アイリナは苦笑しながら


「すまないな」


と貞男の周りの視線に気づいていた為申し訳なさそうにした。


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貞男はアイリナと会話しながら通りを歩いて行った。


「そういえば君は何でナンパをしていたんだ? 先程から会話をいているがそんな風には見えないんだが?」


と質問した。

それを聞いて貞男は


「いや……エールさんとミールが冒険って言っていたんですけどなんかナンパという名の冒険だとか言い出して……それでそのまま連れていかれた感じで……」


と気まずそうに言った。

それを聞いてアイリナは


「全くあの2人は……」


と呆れていた。

貞男は話題を変えようと思い


「そういえばぼく意外にも転生者がいるって聞いて……あまり他の人達の印象が良くないみたいですけど……アイリナさん的にはどうですか?」


と聞いた。

するとアイリナは


「うーん……まあ私もあまり良い印象は持っていないかなあ……まあ悪い奴もいれば良い奴もいるだろうと考えているよ……正直気が合う転生者もいたしな」


と言った。

それを聞いて貞男は


「お……俺はどうですか? アイリナさんから見て?」


と気になり緊張しながら聞くとアイリナは


「今のところは悪い印象はないかな?」


と笑いながら言った。

貞男は


「あ、ありがとうございます」


と照れながら言った。

するとアイリナは


「そういえばクエストを受けたんだって? どんなクエストを受けたんだ? 60万を一気に返せたみたいだから相当なクエストを受けたのか?」


と聞いた。

それを聞いて貞男は


「ああ、えっとマーラタートルヘッドの魔力石の採掘とあの……隠れ素材の採取のクエストです」


と報告した。

それを聞いてアイリナは


「なるほど……なら高いはずだ……それにしてもミールはもう少しは恥じらいを覚えて欲しいものだ……女の子なんだし……」


と少し残念そうに言った。

それを聞いて貞男は


「それは俺も思いました……何かミールってそこの意識が低すぎる気がするんで」


と残念そうに言った。

そして、続けて


「でもあぶれていた俺をパーティーに入れてくれたことは感謝していますよ……さすがにあのまま1人のままだったらどうしようと思っていましたし」


と嬉しそうに言った。

それを聞いてアイリナは


「そうか……それは良かった」


と安心したように言った。

そして、通りを抜けて目の前に豪華な屋敷が見えた。

そして、その建物を見ながらアイリナは


「あれが私の家だ!」


と言って指を差して言った。

それを聞いて貞男は


「アイリナさん……騎士団長って聞いていましたが……貴族ですか?」


と聞いた。

アイリナは笑いながら


「そうだ、親子代々騎士として王に仕えているんだ、今は私が次いで騎士として働いている」


と言った。

貞男は


「すげええ……俺の世界でもここまでの家はテレビでしか見た事ねえ」

「テレビかあ……こちらの世界で言えば水晶を使って映像を見る技術と聞いている、まあと言ってもこっちのは通信手段として利用しているがな」


と言った。

貞男は


「テレビ電話みたいだなあ」


とボソっとつぶやいた。

それを聞いてアイリナは


「テレビ……電話?」


とつぶやいた言葉に反応したが深く聞かなかった。


「まあここで立ってるのもなんだ、入ってくれ」


と言って門を開ける。

貞男は


「お。お邪魔しまーす」


と言って緊張しながら敷地内に入った。

周りには綺麗な花や芝生があり、道の様に真っ直ぐの石畳を通って行った。

貞男はまさにお金持ちの家に入った気分であった。


そして、大きな屋敷のやたらにデカい扉があった。

取っ手は金で出来ていた。


「ほええええ」


と感傷に浸っているとアイリナは


「今帰りました」


と言って家に入った。

すると


「お帰りなさいませ、お嬢様」


髪をまとめているダンディーな執事さんがいた。

エールとは、比較にならないぐらい上品な人だと思った。

貞男は


「おお……おおおお……」


と物語以外では初めて執事を見て感動していた。

すると執事は


「おや? そこにいらっしゃるのは?」


と聞いて来たので貞男は


「は! は! 初めまして!! わっ私んお名前は!! ええとt!! 童多 貞男です! よっよよろしくお願いします! って! てっ転生者です!!」


と緊張して変な自己紹介をしながら頭を下げた。

それを見て執事は


「執事見習いとしては不合格です……出直しなさい!」


と険しく怒鳴った。

アイリナは慌てて


「違う! 貞男は私が招待した客だ! 執事見習いとして来たわけではない!」


と訂正すると執事は


「はい、理解しています」


と真面目な表情で言った。

それを聞いてアイリナは


「分かっていたなら何でそんなことを言うんだ!」

「初めましてのブラックジョークです、面白かったですか?」


と執事は貞男に聞いた。

貞男は微妙な表情で


「えっと……そうですねえ……おおお……面白かったです」


と無理に言った。

執事は


「反応が薄い、やり直してください」


と真顔で言った。

それを聞いてアイリナは


「また冗談を……貞男が困っているので止めなさい」


と呆れながら言った。

執事は


「分かりました」


と言って頭を下げる。

貞男は


「いえ、気にしていませんので」


と言って頭を掻く。

そして、


「申し遅れました、(わたくし)の名前はレニーダ・レイ、そこのアイリナの兄で執事長をしております」


と挨拶をした。

貞男は


「よっよろしくお願いします」


と呆気に取られながらも頭を下げる。

そして、


「あの、これからもよろしくお願いします」


と言って握手しようとすると


「あ」


と言ってレニーダがすぐ手袋をして


「よろしくお願いします」

「はあ」


とアイリナの溜息を余所に握り返す。

それを見て貞男は


「レニーダさん……もしかして潔癖症ですか?」


と聞いた。

レニーダは


「よく分りましたね……」


と言うと貞男は屋敷を見回しながら


「まあ仕事だからかなと思ったんですけど……この綺麗な玄関と物がきっちりと揃えられている部分と後その握手に手袋する姿とアイリナさんの呆れる顔を見ると多分そうかなって……」


と予測したことを伝える。

するとレニーダは


「良い目をお持ちだ」


と不敵に笑う。

アイリナは呆れながら


「すまない、では客間へ案内する」


と言ってそのまま連れて行かれる。

客間に通された貞男は


「ではここで待っていてくれ、着替えてくる」


と言ってアイリナは奥の部屋に向かった。

貞男は


「何か……豪華だなああ……」


と言って辺りを見回す。

すると


「覗きですか? いけませんよ」


とレニーダがいつの間にか真横に来ていた。


「うおおお!!」


と驚いてそこから飛び退く。

貞男はレニーダに気付くと


「いえ! 決してそんなことは!」


と言うとレニーダは


「では何でしょうか?」


とさらに顔を近づけて聞いてきた。

貞男は


(なんだこの人……かなり怖い……)


とさすがにビビった。

するとレニーダは


「すみませんねエ……私こう見えても妹思いなんですよ……貴方方の世界ではシスコンと言うのでしょうか?」


と言うと貞男は


「言葉の言い方でずいぶん雰囲気って変わるんですね……それで正しいと思いますよ」


と答える。

レニーダは


「ほう、で? 結局何だったんですか?」


と聞いて来たので


「いやあ……凄い家だなあって思いましてええ……すみません」


と謝るとレニーダは


「ならば良いです」


と言って親を置いて


「ごゆっくり」


と言ってその場から離れる。

貞男は


「お、お構いなく」


と取り敢えず答えた。

そして、心の中で


(怖えええええ)


と震えながら思った。

すると


「すまない……兄が迷惑を……」


と服を着替えたアイリナが申し訳なさそうに言った。

それを聞いて貞男は


「いえ……妹思いで良い事ですよ……もしかして転生者嫌いな人ですか?」


と何となく聞くとアイリナは


「いや……ただただ本当にシスコンなだけだ」


と真顔で言った。

それを聞いて貞男は


「そうですか」


と真顔で答える。


「……」


貞男はお嬢様の様な綺麗な服装を見て思った。


(着替えたアイリナさんは色気あるなあ……)

「などと思っていませんか?」


と唐突に真横にいるレニーダに


「ヒヤアアアアア!! すみません! すみません!」


と再び謝る。

アイリナはムッとしながら


「いい加減にしてください、兄さん」


と言ってレニーダは


「はい」


としょんぼりしながらそのまま立ち去る。

そして、アイリナは


「すまないなあ……招待したにもかかわらず……」


と申し訳なさそうに言った。

それを聞いて貞男は


「いえいえ! そんな! そうだ! 話をしましょうよ!」


と仕切り直そうとした。

アイリナは


「そっそうだな! そういえばエールとミールとはどうやって会ったんだ?」


と興味津々に聞いてきた。

貞男は真顔で


「エールさんがミールさんにナンパを教えているところを俺がナンパされて嫌がっている女性だと勘違いしたことが切っ掛けです」


と答える。

アイリナは


「うん、そうか……またあの2人は……」


と呆れていた。

貞男は


「そっそういえばアイリナさんが騎士団長って言ってましたが凄いですね! やっぱり実力が凄いんですか?」


と尊敬の念を込めて質問した。

するとアイリナは


「そうだな……私なりに頑張ったさ……だけど、まあ私何てまだまだだよ……エールさんに比べれば私なんか……」

と少し悲しげに言った。

それを聞いて貞男は

「えっと……アイリナさんはエールさんとは付き合いが長いんですか? てっきりナンパをしているところを注意して知り合ったと思っていたんですが?」


と聞くとアイリナは


「何も聞いていいないのか?」


と唖然として言った。

それを聞いて貞男は


「えっと……何がですか?」


と質問した。

するとアイリナは


「エールはああ見えて元は騎士団長だ……私が副団長をしていた時の話だがな」


と教えてくれた。

貞男は


「ハハハ……」


と少し笑った後アイリナを不審そうに見た


「どうした?」


とキョトンとしながら貞男に聞くと


「嘘ですよね? さすがに?」


と思いっきり疑って聞いた。

アイリナは


「いや……今の状態を見てそう思うのは分かるが……本当だぞ」


と気まずそうに言った。

そして、


「まあ……本人に聞いてみたらいいさ……写真もあるし見せて貰えるぞ」


と笑いながら言った。

貞男は


「……はい……」


ともの凄く不審そうにしながら頷いた。

そして、アイリナは


「まあそうだな! 取り敢えず昔のエールの話でもしようか? それを聞けば信じられるかもしれないぞ?」


と言った。

貞男は


「……はい」


と取り敢えず頷く。

そして、アイリナは

10分後


「それでな、エールは剣の実力が凄くてな、公式試合でもかなりの実績を……」


1時間後


「ゴブリン退治の時は先陣を切って……」


2時間後


「指名手配されている盗賊を……」


と話している時に貞男は


「あのお? ちょっといいですか?」


と聞いた。

アイリナは


「?? 何だ?」


と不思議そうに聞くと貞男は


「アイリナさんって……エールさんのこと好きなんですか?」


と聞いた。

アイリナは


「……へ?」


と一気に顔を真っ赤にした。

貞男は


「好きなんですねえ」


と言うとアイリナは


「ひやひやひや!! ひがうがは!!」


と全く言葉を言えてなかった。

貞男は


「動揺し過ぎですよ……もうバレてるんで」


と言ってそれを聞いたアイリナは


「……」


固まってしまった、するとレニーダが現れて


「全く、ここまで来たら素直になればいいのに」


と言った。

アイリナは


「に! 兄さん!!」


と怒るがレニーダは


「無理ですよ……バレてるんですから……潔く認めなさい」


と言ってアイリナはしょんぼりしながら


「……はい」


と答えた。

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