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Lesson3.水晶パリーン!

貞男は受付嬢に


「では、この書類に必要事項を書いてください」


と言って羽ペンと書類を渡された。

貞男は


(おお! これは中世で使いそうな羽ペン! これ見るとなんかテンション上がるなあ!)


と明るい表情になりながら書類を手に持って机に向かった。

貞男はまず名前を書いてその後の事項に少し戸惑った。


(住所かあ……どうしようかあ……転生者って書けばいいのかなあ……でも転生者って珍しくないみたいだし……でもあまり評判自体は良くないみたいだしなあ……)


と悩んでいるとエールが


「おいおい! どうした! 何に困ってるんだ?」


と笑いながら近寄る。

ミールも


「アハハハハハ! にゃにしてるのおおお!」


と酔っぱらいながら歩いてくる。

貞男は


「ミールさん……もう飲んでるんですか?」


と聞くとミールは


「良いじゃン別にいい! 私だって飲みたいよおおお!」


と笑いながら言った。

エールは


「大丈夫! 俺は飲んでいない! この後ナンパするからな!」


とドヤ顔で言った。

貞男は


「いや……それは聞いてないです」


と言って呆れながら言った。

そして、エールは


「まあそういうなよ!」


と言って肩を組む。

すると、貞男の書類にエールは目を通した。

そして


「ああ! お前の住所か! 普通にお前が転生したこと書いておけよ!」


と笑いながらエールは言った。

ミールも


「しょうだしょうだ!」


と言って顔を染めながらグラスを上に勢いよく上げて、酒を零しながら言った。

貞男は


「でも大丈夫なんですか? 何か転生者っていいイメージ着いてなさそうですけど?」


と言うとエールは


「まあ確かにそうかもしれんがだからって嘘書いてもすぐバレるだろ? なら本当のこと書いてちゃっちゃと問題を片付けた方がいいぜ?」


とアドバイスをしてくれた。

それを聞いて貞男は


「あ……ありがとうございます……分かりました……では」


と言って書類の住所欄に『転生者です』と記載した。

そして、


「あれ? エールさんどうしました?」


と受付嬢が水晶を持って現れた。

ミールは


「ひぇんひぇん! にゃにもにゃああいよおおお!」


と呂律を回れず何を言っているのか、聞き取れなかった。

だが受付嬢は


「はあ……そうですか……では、この水晶に手を翳してください、その間に貴方の身分をこのギルドカードに記載しますので!」


と言って書類を受け取り、水晶を目の前のカウンターに置いた。

そして、貞男は


(おお!! これは! 異世界でのお約束の! 水晶玉! これで俺の実力が分かるんだあ! どんな職業に着こうかなああ!)


とワクワクしながら手を置こうとすると


「……へ? 転生……者……」


と聞こえたので貞男が受付嬢の方に目をやると、

受付嬢は顔を真っ青にしていた。

貞男は


「?」


と不思議そうにしていると受付嬢は震えながら貞男を見て


「嫌あああああああああああああああああああああああ!!」


と突然叫んだ。

貞男はその叫び声に怯んで後ろに下がると受付嬢はその隙に水晶を奪った。


「!! え! 何! 何!! どうしたんですか! 何か変でした!!」


と慌てて貞男は水晶玉を持ったまま震える受付嬢を見た。

すると


「また……また割る気……そんなことさせない……絶対に……お前なんかに水晶を割らせてたまるかあああ!!」


と言って睨み着けてくる。

貞男は


「ちょっとっちょっと!! 待てって! どういう事!! 何でそんなに怯えてるんですか! てか何! え! 俺何かしました!!」


と慌てて顔をカウンター内に出す。

すると


「あーあ、転生者か……」

「また水晶が割れるのかあ……レナーさんも大変だなあ」

「そりゃそうなるわ」

「可哀そうに……レナーさんの宿命になりつつあるな……」



と同情の声が上がっていた。

貞男は


「水晶? 割れる? 何を言って……あ」


と一つのテンプレを思い出した。


アニメやラノベやWeb小説内で必ず俺Tueeの主人公がギルドで自分の能力を計る水晶を割ってしまうあの定番、そしてその瞬間ギルド内が騒ぎになって英雄の様にもてはやされている光景が浮かんだのであった。


(確かに水晶が割れるがそれが何の問題に……)


と少し貞男は疑問に思った。

普通なら称賛されるはずが受付嬢は水晶が割れることに対してトラウマでも抱えているような怯え方をしていた。

どう見ても尋常ではない事が分かった。

するとエールが貞男の肩を叩いていった。


「まあまあ大丈夫だ、こいつは確かに転生者ではあるが魔剣を持った人間だ、だから魔力に関しては普通ぐらいかちょっと上ぐらいじゃないか? 人智を超えるようなものは持っていないはずだぞ」


と優しく言った。

受付嬢は


「うううううっ嘘よ! そんなの!! しっしし信じられるわけが!!」


と声を震わせながら反論しているとミールが


「ほりゃ! ほれ魔剣! 見えるでひょ!」


といつの間にか貞男の魔剣をミールが勝手に持っていた。

貞男は

「! ちょ! 何勝手に奪ってんの!!」


と慌てると他の冒険者は


「ああ、魔剣の方か」

「なら確かに水晶は割れることは無いか……」

「珍しいな、剣をチートに選ぶなんて……大抵ステータスか魔力なのに……」


と噂をしていた。

貞男は


「ええっと……その……一つ質問良いですか?」


とエールに聞いた。

するとエールは


「?? どうした?」


とキョトンとして聞いた。

貞男は少し言いにくそうに


「あの……水晶が割れる行為ってそんなにヤバいんですか? 俺が知っている知識ですと割った途端何か困る事でも?」


と聞くとエールは


「いや……普通に考えれば分かるだろ……ま、どうせ水晶を割ればお前等は凄い人が現れて騒ぎになると思ってるんだろうけど……」


とへらへら笑いながら言った。

貞男は


「えっと……はい」


とさすがに図星を突かれてその言葉しか出なかった。

それを聞いてエールは呆れるように


「あのなあ? お前水晶が割れるってどういう事か分からないか?」


と聞かれ貞男は


「えっと……」


と詰まっているとエールは


「水晶にも金が掛かるんだよ……そんなにポンポン生産出来る訳ないだろうが……」


と先に言って呆れていた。

そして、貞男は


(うわ……当たり前のことを教えられてしまった……)


と心の中で自分に呆れてしまった。

そして、貞男は


「えっと……それってこっちが弁償するんですか? 一体いくらするんですか……」


と少し怖くなりながら聞くとエールは


「ああ、それはさすがにギルド側が負債の責任を取るんだ、50万ぐらいかな? 知らんけど……」


と説明してくれた。

それを聞いて貞男は


「え!」


と嘘だろと言いたげな表情をして聞いた。

するとエールは


「そりゃひよっこの冒険者に負債を任せられるわけがない……成功するかどうかも分からないし……それに転生者は何かと問題を起こしがちだから信用がないんだ」


と説明した。

貞男は


「ちょっと待ってください……転生者が色々と迷惑を掛けていたのは聞いていましたが……そんなに酷いんですか?」


と少し不安そうに聞いた。

エールは


「まあなア……他のギルドの縄張りの人を勝手に救ったり、や他のギルドの女性冒険者を勝手に連れ回したり、バカみたいな魔力で地形を変えたり等など……その上責任は上の者であるギルド長が取るんだ……」


と言った。

それを聞いて貞男は


「つまり受付嬢が今水晶を持って悲鳴を上げてるのって……」


と聞くとエールは


「水晶を壊して自分の責任になる事がトラウマになってるんだよ」


と説明してくれた。

貞男は


「なるほど……因みにどんな責任を?」


と確認すると他の冒険者も


「ああ……取り敢えずは多方面の方々に謝罪周りと水晶を壊したことに対しての減給+始末書の作成かな……」


と言った。

それを聞いて貞男は


「……そりゃトラウマになるわけだ……」


と水晶パリーンが思った以上に大事であることを学んだ。

そして、エールと貞男は2人でレナーに近づいて


「ひいいい!!」

「大丈夫ですよおお……怖くないよおお」

「そうですよおお……壊しませんって……」


と話し掛ける。

レナーは震えながら


「ほっ本当でしょうねえ……もう徹夜は嫌よおお」


と声を震わせながら聞いた。

そして、後ろの冒険者達が


「ああ……5連続転生者でご連続パリーンはヤバかったな……数日後にオンギャラッバアアアアアアア!! って悲鳴が聞こえた……」

「あの時はみんな心配して集まったけど……始末書だから俺等手伝えなくて来た意味なかったんだよなあ」


と話していた。

貞男は


(マジかあ……本当に申し訳ないなあ……いや俺はまだそんなことしてないしするようなことは無いけど……)


と苦笑いしながら考えた。

そして、レナーは


「わっわkいrました……では……」


とたどたどしい言葉で話して、恐る恐る水晶を渡して貞男は水晶に手を翳した。

そして


ピカアアアアアアアアア!!


と光出して、そのまま水晶はステータスを映し出した。

レナーは涙を流しながら


「良かった……良かったよおおお……われなkったよおおおお……」


と崩れるように泣き出した。

それを見ていた他の冒険者もエールも


「おめでとう」

「良かったな」

「頑張った……頑張ったな……」


と遠い目をしながら声を掛けて


パチパチパチパチ


と冒険者達は自然と拍手をレナーに送った。

それを見ていたミールは酔いが醒めたの笑いながら


「ハハハハハアアアハハ!! 何の……ぶふう!! 拍手だよおおアアハハハハハ!!」


と言って見ていた。


「アハハ……」


と貞男は苦笑いしながら


「そっそれで……僕のステータスは?」


とレナーに聞くと


「ああ……すみません……少々を待ちください……ぐすん……」


と言って水晶を見ると


「ダメだ……涙のせいで何も見えません……」


と目を赤く腫らしながら言った。

貞男は


「自分で見るので貸してくれません?」


と聞いた。

結局、水晶は受付嬢であるレナーが記載などの仕事を負っているため自分で水晶を見ることは許されなかった。

そして、レナーが落ち着いてから改めて水晶を見たレナーはすぐさま貞男のギルドカードに水晶のステータスを登録してやっと貞男の冒険者登録が終わった。

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