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第五話

~前回までのあらすじ~

[ジャックオーランタン]の上級に合格し、心置きなくランタンの運用が可能に。

新たな脅威として[ゲートキーパー]なるボスの実装で、冒険に緊張感が増した。

そして未踏破のエリア、湿地帯の調査に乗り出し…

 翌日。

「さて、一旦ホームに戻ってから…ん?」

 昨日はそのまま、ギルドの出張所でログアウトした為、ホームに戻ってLv上げをしようと考えてたら、メニューの依頼情報にギルドからの出頭要請が来ていた。

「出頭要請?なんだ?金の支払いなら態々こんな件名にはしないよな」

 疑問に思いつつも、こちらに疚しい事は何一つない、堂々と赴いてやるか。

「何か用が有ると聞いて」

 ログアウト用の個室から出て直ぐに、受付が有るので訪ねる。

「はい、えーと…。ああ、テツ様で御座いますね。大事なお話が御座いますので、あちらの応接室までご足労願います」

 案内に従い、応接室のドアをノックする。

「どうぞ」

「失礼する」

 如何にも出頭ってのが気に食わなく、言葉が高圧的になってしまうな。

「よう!ご機嫌斜めだなテツ」

「ルーカス!?なんでまたあんたが此処に?」

「御二方、先ずは自己紹介から良いですかな?」

 おっと、ギルドのお偉いさんか知らんが、挨拶そっちのけにしてしまった。

「私は、当ギルド出張所の責任者、コーザーだ。よろしく」

「俺はテツ、何やら出頭要請があったのだが…これは一体?」

「出頭要請?そのような文面が届いたのですか?」

 俺は自分充てに届いたメールを二人に見せる。

「説明不足な上に出頭か、これじゃ誰だって機嫌が悪くなるぜ」

「申し訳ない、情報の行き違いがあった様で…再発防止を徹底したしますので、この場は鉾を収めて頂けないだろうか?」

 いや、別に怒ってるわけではないよ?まあここで面倒が長引くのもアレ何で、謝罪を受け入れる事にして、この話は終わらせた。

「では改めて、今日はどういったご用件で?」

「惚けるな、俺が居る時点で大方は察してるんだろう?」

「ルーカス殿…まあその、察しの通りですね」

 なんだこの、おばさん同士の会話で、アレをアレしてさあみたいなフワフワした会話は、察してはいるけど確信が持てねえよ。

「蛭をランタンで追い払えるって話かな?」

 他に思い当たる節も無いし、取り敢えず答える。

「そうだ、面倒だから端折るぞ?俺とお前で、暫く湿地帯の調査に協力する事になった。勿論強制では無いがお前にとって旨味が大きい依頼だぞ」

「端折り過ぎですよ…、先日テツ殿が提供なさってくれた、害虫対策を検証した結果。非常に費用対効果の高い結果を得る事が出来ましたので、是非[ジャックオーランタン]のライセンス所持者で、波動型のランタンを使用してる方の協力が必要なのです」

 ふうん、理由は分かった。では旨味とは?

「俺にとっても良い話とはどういう事で?」

「おう、[ジャックオーランタン]に限らず、ライセンス保持者が行政からの依頼に協力すると、昇格に必要な条件の緩和や免除をしてくれるんだ。ウィルの倅も本当ならこっちに来たかっただろうが、奴のランタンは固定型の武器で、今回の内容には合わなかったからな。テツ、二刀流何て芸当が出来るお前さんに白羽の矢が立ったのさ」

 つまりここで調査に協力すれば、見回りと同等かそれ以上の点数稼ぎが出来るって事か、それは確かに美味しい依頼かもしれん。

「成程、ルーカスは保護者って事で良いのかな?」

「そうだな、別に必要ないかもと思ったが、[ジャックオーランタン]のライセンス保持者として依頼を受ける場合、原則二人以上のグループを組むのが規則だからな。足場の悪い事と、遠距離攻撃が出来る事で、テツとの相性が良い俺がバディを務める事になった。ってなわけで宜しく」

 言われてみて、ルーカスが適任者だなと気づく。

「納得されましたか?それで、この話受けてくれますかな?」

 迷うまでも無い、少しでも早く特級に近付けるなら受けるしかあるまい。

「勿論。個人的には金銭より、特級昇格への便宜に期待します」

 俺の望みも直球で伝えておく。分かってるだけでも、特級の先に、超級、神級、と続くのだ。昇格できるのなら早いとこしたいのが本音だ。

「決まりですね、ではこれから宜しくお願いします」

 コーザーと握手を交わし、ルーカスと共に退出した。


「さて、これからどうすれば良い?」

「既に段取りは済んでる、付いてこい」

 言われるがまま、ルーカスの後を付いていくと、武装したグループに合流。

「こっちの話は着いた。こいつがメインパーソンのテツだ」

「テツだ。よろしく」

 一同「よろしくお願いします‼」

「良し、挨拶も済んだし準備を済ませろ、五分後に出発する」

 どうやら、現場はルーカスの仕切りで回すようだ。

 五分後、俺はランタンの二刀流で、消耗品は一切持って来ていない。完全に調査隊のバックの中身に期待して、自分は素材を持ち帰る気満々で来たのだ。

「点呼完了、何時でも行けます」

「では出発進行だ」

 こうして、人も物資も充実した状態で、湿地帯の奥地の調査が始まった。


「ああ、蛭に纏わり付かれないだけでもこんなに楽だとは」

「おまけに敵性生物も大幅に弱体化している」

「これで足場さえ何とかなれば‼」

 出発から十数分。調査員の零れ話を聞きながら、只管奥地を目指す。

「ストップ!この近くに汚染された区画が有ります」

 調査隊の一人が、懐から出した計測器らしきものが、緊張感を煽るアラートを発している。どうやら前方180度のいずれかの区画が、若しくは全てが汚染されているのだろう。

「ルーカス殿、どう致しますか?」

「今の戦力で踏み込むのはリスクが高いか。よし、前方にスキャンと高低周波は掛けろ」

 ルーカスの指示で、ハンディカムの様な物と、小型のパラボラアンテナの様な装置を取り出す隊員。準備が整ったのか、カメラとアンテナを前方にかざし始めた。

「ルーカス、これは?」

「汚染区画ってのは非常に危険だ。お前も知ってるだろ?だからと言って、攻略できませんスルーしますってのも、後の事を考えると悪手だ。そこで考えられたのが、この釣り出しだ」

 聞いた理屈は簡単だった。魔物はエリアから釣り出して倒しても、発生区画の汚染は低下される。それを利用して、安全な場所に誘い込んで間引くというものだ。

「正面、左右から計12体の敵を確認、間もなく接敵します」

 それから直ぐに、敵と戦闘に入ったが、かなりの強敵だった。

「ぐあっ!?」「し、痺れる!?」「滑る!滑るよ‼」

「これは、電気鰻の魔物か!?」

 ただでさえ大きかった電気鰻が、2m級になって、12体の群れで襲って来た。

 ちなみに体色は金色と、緑がかった青色。超旨そうな見た目だ。

 今回俺は、武器らしい武器を装備していない、精々前に出て囮を買う位しか出来ない。そう思って前に出ようとしたら。

「大丈夫だ。テツは中衛でどっしり構えてれば良い」

 ルーカスに引き止められて、じっとしてる事になった。

「お前はこの調査の中核だ、基本前に出る必要は無い。それに使い魔を常に前線に送り出している、それだけでも十分勤めを果たしてる。俺やあいつらの仕事まで取る事は無いだろう」

 戦闘は俺達の役目だ。その言葉を証明するかの様に、最初の混乱は直ぐに収まり、実に手際よく鰻達は三枚卸(比喩)になった。

 差材を回収し、奴らの名前が判明した。

「[ボルトイールの身]、ボルトイールって言うのか電気鰻の魔物は」

 もう一個、[発電器官]と言う素材も手に入った。ちなみに説明は。

 [ボルトイールの身]:白身でありながら豊富な油と濃厚な味わいが特徴、調理して食せば電気に強くなるかもしれない。コスト1。

 [発電器官]:体内で電気を作り出す為の器官、様々な用途が有るだろう。

 こんな感じだった。

 その後、もう一度釣り出しを行い、又鰻が来たので、それを駆除し帰還。俺は休憩でログアウト、ルーカスたちは休息と、レポートの作成、装備の見直しなど、次回の調査に向けて準備をする様だ。


 休憩後、再びログインした。

 外に出ると、調査隊が待ってましたとばかりに歓迎してくる。

 さっきの汚染区画の対策なのか、調査員の人数が大幅に増員されていて、ざっとみても30人は超えている。これだけ居れば万が一[ゲートキーパー]が出現しても、余裕で対処出来るだろう。

 一応俺、ルーカス、調査員の代表で、軽く打ち合わせをし、出発した。

 人数が大幅に増え、寄って来る生物は増えたが、これだけの戦闘員が居ると最早鎧袖一触。苦戦など一切匂わせずに撃破していき、問題の区画付近に到着した。

 これから危険区画へと足を踏み入れる者達の顔は、鬼気迫るものが有った。

「これより汚染区画の調査を始める。こういった場合、トラブルというのは必ず発生する。そうなった場合でも、冷静に対処をし、最良の結果を生み出すのが我々の真価であり使命だ。では始めよう」

 今回は調査隊の隊長が指揮を執るようで、隊長の演説、号令の下作戦が開始された。

 まあ、作戦と言っても、汚染区画に入り、ローラー作戦宜しく、隈なく踏破していくだけだ。一応行動内容は全て記録し、ゲートキーパーの出現条件も調べる様だが。

 あ、ちなみに出現条件とか言ったが、NPCにそんなゲーム的な表現が通じるのかと思ったら、「ゲートキーパーの出現条件?勿論調査するさ」とルーカスに言われ、ああ、そういえばスキルとか因子も前にNPCと話して通じたから、こういったメタな事を考える必要は無いんだなと分かって、ホッとした。

 いちいち、NPCに通じる言い回しを考えるのもしんどいからな、こういうご都合主義、大人の事情は大歓迎、運営GJ。

 それはそれとして、先陣を切って区画を跨いだ隊員の後をなぞり、汚染区画に侵入。なんとも言えない不気味さを感じながら、仲間を害虫から守る。

「敵襲‼」

 突然響き渡る警鐘に、俄かに周囲が騒がしくなる。

「報告、ゲートキーパーの出現を確認、繰り返す…」

 知らぬ間に条件を満たしようで、ゲートキーパーが出現した。

 今回お見えになったゲートキーパーは、馬鹿でかいザリガニの怪物だ。

「総員、先ずは奴の攻撃方法を探る。重歩兵は前に、それ以外は無暗に前に出ず、重歩兵の真に徹せよ」

 重歩兵と呼ばれる、テクノロジー感満載なアーマーを纏い、サイ〇リスの様なごついシールドを持った調査員が前を固め、その後ろを様々な兵科が固める。

「工兵はバリケードを築け、衛生兵は負傷者が出た場合に迅速に治療に当たれるよう、今の内から病床の設置と治療環境を整えろ。雑用係は、食事の用意と、兵器の交換修復だ急げ!」

 隊長の指示は長期戦を覚悟させるもので、籠城、治療、食事、休憩、隊員間のローテーション等を考慮した指示なのだろう。

 俺はランタンの効果がギリギリザリガニに及ぶ距離に陣取り、味方をサポートしながら、前線の分析と後方支援の完成を見守った。

 そしてやはりと言うか、流石はレイドボス。一筋縄ではいかず、前線に綻びが生じ始め、その穴を俺の使い魔が埋める事で、時間を稼ぐ。

 俺の使い魔はかなり良い線を行っている。なんせ一番弱い[幸運]のLv10使い魔ですら、ザリガニの一撃には耐えて見せてるのだから。[魔力]の二体も二撃目は耐えれないが、やられる前に何度か攻撃に成功していて、<守護霊>に至っては二撃目すら耐えて見せた。

 更にルーカスを始めとした、遠距離攻撃の支援で、厄介なハサミを何度か破壊出来たのも大きく、そのおかげで時間を稼ぎ、籠城するバリケードが完成した。

 なお、破壊した部位は、なんと脱皮する事で、即座に修復してみせた。

 ただ、脱皮後にはそれなりの隙が生じ、数を重ねる毎にその隙が長くなってきている。奴を撃破するのなら脱皮からの復帰までに、どれだけダメージを負わせるかが鍵のようだ。

「総員、バリケード内まで後退、此処を起点に奴の力を削ぐぞ‼」

「「「おう‼」」」

 バリケードが完成し、隊員のローテーションも機能し始め、戦況がこちらに傾いたかと思ったが、例によって発狂がそれを覆してしまう。

 それまでは、やや赤みがかった黒だった体色が、真っ赤に染まり、動きもより激しく苛烈になり、使い魔は捨て石にしかならなくなってしまった。

 さらに、蝦蛄(シャコ)の如く、ハサミでの強烈な殴打に、衝撃波まで出すという、とんでも強化を果たし、再び苦戦モードに逆戻りしてしまった。

 けれども、焦る事は無い。発狂で色々と状況は覆されたが、振出しに戻ったわけではない。奴の行動パターンこそ変化したが、対処法は変わらず、前が耐えて後ろがドカンだ。

 程なくして発狂後のパターンも判明し、衝撃波も即死級の火力が有るという事も無いのが判り、最早勝利は目前となった。

 現在俺は、ルーカスの正面で、防御姿勢を取っており、時折飛んでくる衝撃波からルーカスを守り、ランタンで味方を支援、使い魔を前線に送り続けるという、自分で言うのもなんだが八面六臂な働きをしている。

 ちなみに奴の衝撃波だが、大体一撃で3~400のダメージが出るが、俺ならARMとHPだけで一撃は凌げるし、ダメージを負ってもその都度回復が飛んでくるから、後は装備の耐久力だが、俺の防具は初期装備のシャツとズボン、壊れない装備である。つまり、実質無敵状態で、陣形の中心に居座っている訳だ。

 もうこうなれば後は作業だ。詰将棋と言ってもいい。

 ハサミは常に攻撃に晒され、大なり小なり欠損し挟む事が出来ず、殴打しか攻撃手段が無い。そうなれば重歩兵の受けの技術の前に、悉くいなされ有効打が繰り出せず、前衛の突破は困難。

 そして業を煮やし、脱皮をすれば、現状持ちうる最大の火力を叩き込み、LPを大幅に削り、次の脱皮を虎視眈々と待つ。

 そんな作業を数回繰り返したところで、脱皮後の硬直が長い上に、凄まじく弱体化した状態になったので、最期はあっけなく仕留める結果に終わった。


 激戦だったが、終わってみればあっさりしていたゲートキーパー戦を終え、俺達は出張所に帰還し、それぞれ報告やら休息やらで散っていった。

「テツ、お疲れさんだったな」

「お疲れ様。疲れたけど色々美味しいし、いい気分だ」

「いや~、あれだけの大物を仕留めたんだ、こりゃ市場が潤うぞ、本当に素材を辞退しても良かったのか?、売ればかなりの金額になっただろうに」

「まあ、便宜の方が嬉しいかな?今は」

「確かに、特級以降の特典を考えれば、一秒でも早く昇格する事の方が、結果として儲かるだろうけどな。いずれにせよ今回の功績は大きい。特級までは遠いだろうが、確実に一歩近づいたな」

 そうだな、今回は人数も人数だからな、結果として一人当たりの手柄は大分少ないだろうから、一歩近づく程度の進捗なんだろう。

「今後の調査はどうなるんだ?」

「そうだな、暫くは続くだろうが、このペースならそう長くは掛からんだろう」

「そうか、あまり一ヶ所に拘束されるのもアレだしな、早いとこ済ませたいよ」

 治験も進めたいし、砂金も集めたい、金も稼ぎたい。やる事が多すぎる。

 する事が無くなるよりは遥かに良いが、ゲームなんだから気楽に、だな。

 その後は休憩を挟みつつ、調査と汚染区画の割り出しを行い、汚染が危険域に達している区画を二ヶ所見つけた。

 ゲートキーパーの討伐から、間が無いので、区画外からの釣り出しで、汚染度を下げる方法を取った。

 終日間引き作業を行った甲斐あって、それなりに汚染度を下げれたので、後日、本格的な調査を再開するそうだ。

 明日からまた鬱な月曜日、嫌だが仕方ない。ログアウトして就寝した。


 あれから十日程経過し、湿地帯の調査は一区切りついた。

 地理情報としては、ホームから西に真っ直ぐ行くと、数百メーター規模の小山が聳え、その南方に沼地が有って、そこから北西、小山からは西に下山する事で、ジャングルに辿り着く。

 沼地から更に西に広大な湿地草原が広がっており、その先に進み続けると、徐々に植物が減り、砂利が増えて汽水域に変化、更に西や南西に進むと干潟に辿り着く事が出来た。

 ジャングルの方は、西、北西に山脈が広がっていて、この山脈が湿地帯の水源となっており、山からの流水や湧水が湿地帯に流れ込むのを確認した。

 山の方はノータッチなので知らん。

 汽水域や干潟を発見する際には、大変美味しい思いが出来た。なんと道中で採取を行ったら、砂金が取れ、これまで計四つも採取する事が出来た。

 調査の方も、多少の金銭と、昇格への便宜を取り付け、満足のいく結果に収まり、俺としては良い依頼だったな。という事で漸く湿地帯から解放された。

 そういえば、ゲートキーパーも二体倒してるんだっけ。これのお陰で特級が三歩も四歩も近づいて、かなり近道する事が出来た。

 ちなみに討伐したゲートキーパーは、ゴカイの怪物、[ストロングワーム]。10m級のカバの怪物[ラージヒッポ]だった。

 取り敢えずここでする事も無くなったので、出張所に挨拶をし、ルーカスと一緒にホームに帰って来た。

 出張所はそのまま湿地帯支部となるそうだ。

「それじゃまたなテツ」

「ああ、巡回の時は宜しく」

 ルーカスとも別れた。これで普段のプレイに戻れるな。


 平常運転に戻って先ずしたい事は、そう。Lv上げだ。

 湿地帯調査に加わってから、Lv88のままやり遂げたので、チェストには換金用素材がごまんと貯め込んである。今こそこれらを売り捌いてLvを上げる時だ。

 一応相場を確認し、出品する全ての商品を相場より5%程安くした。

 今回は、相当な量の換金物を競売に掛けたから。暫く時間が掛かりそうなので、待機時間を利用して、久しぶりに治験を受けに行った。

「これは、お久しぶりです。もう来ないのかと思いましたが?」

 相変わらずな感じで、毒を吐いて來る科学者。

「かくかくしかじか」

「しかじかのかくか」

「…ギルドの依頼で出張してたんだよ」

「左様ですか、ではポッドにお入りください」

 折角説明してやったのに、そっけない反応、まあいいか。

 久々とは言え、二回目だからか、前回よりは苦痛は少ない感じがする。パラメータは同じ位低下してるから、只の気のせいかもしれん。

 それから一時間半、ホーム内を散策し、露店を覗いたりして、プレイヤーメイドの素材や装備を物色。NPCの売り物も時間と共に変化してきているが、プレイヤーメイドは、その変化がより顕著に表れていた。

 NPCの売り物が、例えば剣が木製だったら→青銅→鉄→鋼といった感じに、分かりやすくランクアップしていくのだが。

 プレイヤーメイドは、削り出しただけの木製から、キチンと成型された板材、更にそれらを張り合わせた合板、更にそれらを薬品に漬けたり塗装したりと、同じ素材を徹底的に改良して、武具に転用するなど、工夫や熱意が凄い事になっていた。

 そしてその結晶とも言える、一振りの木剣の性能がコレだ。

 [防腐塗装された耐火性合板木剣]:塗装により腐食せず、ガラス質を染み込ませた事で、耐火性を持った強靭で軽い合板性の木剣。[攻撃速度20%上昇][スタミナ消費15%軽減][反射ダメージ50%軽減][耐久値50%上昇][物理防御20%無効][BAR無効]。攻撃力48。コスト7。

 まあ、凄いよね。OP6個に素の攻撃力が48でコスト7。どんなビルドでも持っていて損の無い珠玉の逸品だ。メインにもサブにももってこいな性能をしてる。

 てか塗装やら、薬品の染み込ませだとか、どんだけ自由度高いんだよこのゲームは、確か塗装はスキルであったが、木材を薬品に漬けるスキルなんてあったかな?、多分メッキか染色辺りが関係してそうだが、まあ試したら出来たんだろうな。まあそういうゲームって事で納得しておこう。

 そんな、超性能な木剣、お値段なんと22万円。TAKKEEEEEEEEEE。

 でもこの木剣、俺の目の前で売れていったんだよね、勿論サクラの可能性は否定できないが、複数のプレイヤーが同等の木製武具を購入していったから、欲しい人は高くても買うのだろう。

 他にもポーションの進化系回復アイテム等も目を惹いた。

 医療キットと呼ばれる注射器型のポーションや、ローコストで大量に持ち運べて接種も簡単な、タブレットタイプのポーション。軟膏の様に塗ったり、野球選手のビールの様に浴びたりする、皮経吸収タイプのポーションなど、そのバリエーションは多岐にわたる。

 それぞれ即効性やコスト、効力等で差別化されていて、クラシックな瓶のポーション含め、全てにメリットデメリットが有って、評価は人によって相当にバラけるだろう。

 そんな感じで、普段ゆっくり散策する事の無いホームを歩くことで、周囲は自分が思ってた以上に目まぐるしく変化してる事に驚いた。

 時間つぶしの心算が、アッという間の一時間半だった。

 研究所で証書を受け取り、ギルドで報酬と素材を売った金を受け取る。

「トータルで7万か、まあこんなもんか」

 それじゃあ久々のLv上げと行きますか。


 教会にやってきて、早速Lv上げを行う。

 先ずはLv88から100に上げる。そこから転生して更にLv51まで上げた。

 因子はこれと言って欲しいものが無い…というわけではないが、現段階で他に手を出すくらいなら、[獣人]を重ね取りした方が色々とお得だから[獣人]を取得。

 パラメータも据え置きだ。

 どうも近々大型アプデの告知が有るようで、噂では新しい因子やパラメータにスキル。さらに新しいコミュニティ要素の実装など、大きな変化が来るようだ。

 ビルドの手直しはそれからでも良いだろうと、先送りにした。

 それから、<生存本能>Lv40 <速度上昇>Lv40 <野生の力>Lv40 <守護霊>Lv20 <魔道人形>Lv10 <ゴーレム使い>Lv10 <大蛇><象亀><錦鯉><甲虫>を各Lv1で取得した。

 これで、ナイフを装備して残コストが36.5だ。

 さて、一気にLv51まで上げたとはいえ、それなりに弱体化はしているので、何か手頃な依頼は無いかと物色中に、ユキから連絡が入った。

『テツ君こんばんわ、もし良ければパーティーを組まない?』

「良いよ、何処で合流する?」

『私も今ホームにいるからギルドで会いましょう』


 それから数分して。ユキと合流した。

「こんばんわ、なんだがテツ君と会うのは久しぶりね」

「ああ、なんせ十日間湿地帯に籠ってたからね」

「戻って来たって事は、用事は済んだのね?」

「そう、ライセンスの昇格ポイントも稼げたし、割はよかったよ」

 少しの間お互いの近況と進捗を聞かせ合った。

 ユキの方も、シルクと交渉して防具を充実させ、Lvの方も三回目の転生を目前に控えたLv91と、かなり強くなっているようだ。

 俺は特に当ても無いから、全部ユキに丸投げした。

「それなら、北の渓谷に行きましょう」

 って事で渓谷までやって来た。

「さあテツ君、始めるわよ」

「サーイエッサー」

 どうもユキは砂金が欲しい様だ。俺を通してシルクと共通のフレになった後、パミルも紹介して共通のフレになり、その時に俺と同じように、砂金十個で高級アクセと交換を持ち掛けられたようだ。

「どうしても、アクティブスキル、魔法、CA(コンバットアーツ)のクールタイムを軽減する効果が付いたアクセが欲しいのよね。アレが有れば攻守ともにもっと安定するのに」

 ほー、そんな便利なOPが存在するのか。このゲームは強力なアクティブ系のスキル、魔法、CAには、リチャージラグや、クールタイムが設定されている。

 リチャージラグは、スキル魔法CAを使ったら、その時に使用した分のスタミナが一定時間回復せずに、その分のスタミナが使用出来なくなってしまう。

 例えば、剣のCAの[十字切り]を使用するとスタミナを50%消費し、普通だったら五秒待てばスタミナが全快する所、[十字切]りにはリチャージラグが五秒間設定されていて、その五秒間は50%分のスタミナは一切回復しない状態になってしまう。

 だから、もし強力な攻撃を連発したいなら、リチャージラグの短いアクティブスキルや魔法かCAを鍛えるか、俺が以前採用していたパラメータの[魔素]を入れて、魔法はスタミナ消費をMPに肩代わりしてもらい。CAのスタミナ消費を肩代わりする、CAゲージを追加する[気合]を採用する。スキルのスタミナ消費を肩代わりする[保険]を採用するという方法もある。(ちなみに俺が最初、[魔素]を選んだのは、ビルド的に他の二種を選んだとこで、違いが無かったから、適当に選んだのが[魔素]だったてだけだ)

 他にも、マサみたいに、因子やスキルの効果で、通常攻撃を必殺技並みに強化する方法も有ったりするが、それは今は良い。

 こう見るとリチャージラグは煩わしく感じるが、こういう制約が無いと回復魔法などが使い放題で、ゲームバランスが崩壊するので仕方が無いし、前述の様にスタミナ消費を肩代わりするパラメータの存在や、そもそものスタミナ消費が少なくラグも短いアクティブを使ったり、装備やスキル消耗品等でケアする事も容易なので、余程いい加減にビルドを構築しない限りは、どうにでもなる要素ではある。

 それに対してクールタイムは軽減する手段が少なく(ユキに聞くまで無いと思ってた)一度発動すれば、スタミナがどれだけあろうが、クールタイム中は絶対に発動出来ないのだ。

 その分リチャージラグに加え、クールタイムまで設定されていたり、長いものは、それだけ強力であり、連続して使用できないのだが、クールタイムすら軽減できる装備が有るなら、話は根底から覆る。

 本当に強力なのは無理でも、それなりのスキル魔法CAを、装備さえ固めてしまえば連発出来てしまうのだ。装備も限定され、それ相応の犠牲は払うが、それでもビルド次第でクールタイム軽減は破格の効果と言える。

「ちなみに、ソレが有ればユキはどう強くなれるんだ?」

「私が切り札的によく使ってる<アイススピア>と<ファイアーオーブ>が有るでしょ?常時あの二種で攻撃出来るようになるって言ったら?」

「…それは凶悪だな」

 常に弾幕か一面溶岩を敵は味わうのか、確かに攻防安定するな。

「でしょ?繋ぎの余計なスキルやCAのコストもポイントも浮くし、是が非でも欲しいのよ、だから協力してね?」

 いきなり、上目遣いで祈るような仕草をしてきたユキ。

「あざといなぁ…」

 まあ可愛かったので良し。

 それからスロープを降り、橋梁作業を眺めながら渓流で砂金掬いに勤しんだ。

 俺もユキもコストに余裕が無いので、ある程度要らない素材が貯まったら、俺がダッシュで上に駆け上がり素材を売却しに行くなど、ユキがなるべく採取を継続出来る様に動いた。

 その甲斐あって、ユキは砂金を二つ、俺は[幸運]のお陰か四つも手に入れる事が出来た。

 ユキの物欲しそうな、男をダメにする視線を無視し、ホームに戻って来た。

「今日はお金も砂金も手に入って良かったわ、テツ君またね、おやすみ」

「おやすみ~」

 俺も、手持ちの整理を済ませて、ログアウトし就寝した。


 おはようございます!。今日の天気は快晴、絶好の外出日和です。

「さて、始めるか」

 そんなの関係ねえ‼とばかりにPCを立ち上げる。今日一日を引き籠る気満々だ。

 メニューを開き、依頼関係を確認。巡回の開始時間が丁度良い感じだったので、参加する為に南門に向かい、現地を目指した。

「おはよう」

「おはようさん」

「なんか朝の巡回って珍しいな」

 現地でウィルに挨拶し、話をする。

「どうも最近は昼夜問わず、アンデッドの発生や襲撃が多いんだよ」

「そうなんだ、まあ人も増えてるみたいだし何とかなるだろ?」

「全員が戦力に成ってくれりゃあな。どうも最近適性だけは一丁前で、戦術的にも装備的にもまるで向いてねえような奴らが増えちまったんだ。なんだろうな、基準を明確にしたせいで、「最低ラインさえ超えれればいいだろ」、そんな感じが透けて見えるぜ」

 ああ、ライセンスの情報が攻略サイトに充実してきた弊害か。

 確かLPが120以上だっけか?ちとうろ覚えだが、そんな条件で受けれる治験の依頼から、紹介で此処に来たのがきっかけだったよな。

 入り口の条件さえわかれば、取り敢えずどんなもんかと、試そうとするプレイヤーが増えるのは当然だ。LP120(あれ?[生命]120以上だっけ?まあどっちでもいいや)なんて転生してれば、後衛職でもLv60で満たせるからな、巡回に参加できるプレイヤーが一気に増えたのも納得だ。

「まあまあ、数が居ればなんだかんだで、楽は出来るんだし、ポジティブに行こうぜ、最悪弾避けにでも使ってやれば良いんじゃね?」

「立場上そうもいかんがな…、まあ参考にはしとくよ」

 ふと周りを見渡すと、確かにプレイヤーが増えた事が分かる。

(マジでプレイヤーばっかじゃん、やっぱ装備さえしてればデバフをばら撒けるランタンは、魅力的だよな)

 実際成り行きで取得した[ジャックオーランタン]だが、今ではこれ以外考えられない程度には気に入っているので、後悔はしていない。

 なんで後悔かと言うと、あくまで現時点ではだが、ライセンスは一つしか所持できないのだ。もし取得後に別のライセンスに乗り換えたければ、現在所持しているライセンスを破棄する必要がある。

 まあだからこそ、皆色んなライセンスを試して、自分に一番あったものにしたいんだろう。その内ビルドごとの鉄板ライセンスが発覚すれば、このお試しムードも収束するかな?。

 考えに耽っていると、いつの間にか時間が来て、巡回が始まった。


「それではテツさん行きましょう」

 いつの間にやらギルとバディを組まされていた。

「あ、ああ…いつの間に…」

「え?さんざん声を掛けたんですが」

「すまん、ミーハーが増えた事で少し考え事をしてた」

「ああ…」

 どうやら、ギルにも思う所が多々あるのか、歩きながら愚痴が炸裂した。

「…で、連中何て言ったと思います?ゲーム位好きにやらせろや、一々うざってえんだよこの糞NPCが‼、ですよ?終わってますよね」

「あ、ああ…」

 愚痴ってのは取り敢えず聞いてあげるのが大事だから、適当に相槌を打ちながら聞いてるが、なんだ?ギルの言葉に妙な違和感を感じる。…まあ良いか。

「まあ犬に噛まれたと思って、巡回の厳しさを躾けてやりましたけどね」

「…程々にな」

 黒い笑顔を浮かべながら、思い出し笑いを浮かべるギル。これ以上は色々と危なそうなので、流れを変えよう。

「それで、今回の巡回ルートは?」

「前回と一緒ですよ、また外回りです」

「そうか、じゃあいこっか」


 ウィルの言う通り、昼間だというのに多くのアンデッド、それに魔物化した動物と遭遇。それらを撃退しながら、ギルと近況を報告し合う。

「湿地帯は大変そうですね、僕のランタンは波動系ではないんで、そういう状況には対処できませんね、やはり一つ位は波動系のランタンを持ってた方が良さそうですね」

「それでも俺のランタンは強度重視のスチールタイプだからな。更に効果範囲は広いけど威力の弱い放射型だから、二つで何とか寄せ付けずに済んだ感じだし、護身で持つにはちょっと力不足は否めないな」

 両手がふさがってる状況で、不意打ちされる事を考えると、俺みたいに高いLPを有する等、相応のタフさが要求され、それでいて状況を打開する手段も要るので、二刀流のギルには厳しい話だろう。そう伝えると。

「ああ、それなら[ホルダー]を用意すれば、両手は自由のままですよ」

 詳しく聞くと、腰に巻いたベルトにランタンを付けるというシンプルな装備で、教会の[ジャックオーランタン]の窓口に行けば、ライセンス保持者だけが購入できる商品のカタログを見せて貰え、そのカタログに何種類か乗っているそうだ。

「そんな便利な物が有ったのか…」

「えっと…テツさん?教会のジャックオーランタン支部を利用した事は?」

「ライセンスの交付と昇級以外で立ち入った事無いな」

「…」

「いやほら、自分にあった本格的なカスタムとかが、特級からしか利用出来ないって聞いたから、必要無いと思ってたんだ、決して忘れてた訳じゃないよ?」

 勿論購買の存在を忘れていたのも事実だがな。

「ホルダーに関して後で見に行くとして、なんでギルは利用してないんだ?」

「それはホルダーが、非常に重いからですよ。それでいてランタンのコストも別途キッチリ消費されるので、なかなか余裕が無いんですよ」

「具体的には?」

「そうですね、例えばホルダーには、吊るしたり固定したり出来るコストが設定されてまして。テツさんのそのランタンは、確かコストが10でしたよね?」

 俺が左手に持ってるランタンを指さすので、頷く。

「それを吊るすには、最低でもコスト10のホルダーを装備しなくてはなりません、更にもう一個吊るそうと思えばコスト20のホルダーが必要に…。つまり10のホルダーに10のランタンでコスト20、コスト20のホルダーにコスト20分のランタンでコストが40も必要になります」

「代わりに手は空きますと…。うーん厳しいが導入する価値自体は有るな」

「ええ、他にも頭に括り着けるヘッドライトみたいな物も有りますよ」

「へ~コストは矢鱈重いけど、単純に光源とデバフの両立が出来るのは便利そうだ」

「ええ、中には左右に照射型のランタンを持って、更に照射型をヘルメットに括りつけて、腰に放射型を二つ以上吊るして、工夫の護衛を生業にしてる人も居るそうですよ」

 そいつは眩しそうだぜ。

 俺も後で見行こう。ギルと会話しながらそう思うテツだった。


 以前休憩をした場所で、休憩を取り再び巡回を再開する。

「またか、いい加減落ち着いて欲しいが」

「ですね、最近は戦いっぱなしで疲れました」

 再三の敵襲に、ギルがうんざりした表情を浮かべる。

 それでも気持ちアンデッドの発生は、落ち着いた感はあるが、魔物化した獣共や、墓荒らしの屑共は以前より増した気がするし、どうにも楽にならないなぁ。

「前から思ってたんだが、ギルドなりなんなり、他所から応援とか呼ばないのか?、何かトラブった時にここで抑え込めないと困るのはギルドも一緒だろうに」

「そうですね…、先ず生命力が高いという前提条件を満たし、一定以上の戦闘力を有する人材が、中々居ませんし、能力に実力が追い付いていな場合も有りますから…、やはり闇雲に依頼を出して人を増やしても、改善には程遠いと思いますよ?」

 足手纏いは要らんってか、こういうとこは親子なのか同じ事を言うな。

「どうしようも無いか」

「ええ」

 ままならんなぁ…、こういう現実臭いのがこのゲームの良い所でもあるんだが、如何せんもっと甘やかしてくれても良いのよ運営さん?

 魔狼の群れを蹴散らし、アンデッドの集団を浄化し、巡回を続ける。

 汚染の影響なのか、ランタンの吸魂と、[昇華された骨]のドロップが以前より頻繁に発生、相変わらず何に使えるのか不明な素材に、謎現象。でも不思議と良い予感しかしないんだよな。

 最初吸魂は、十回目が節目で、何かが起こるかと思ったが、何も起きず暫く考えるのを放棄してたが、最近は百回吸魂すれば何か起きるんじゃね?、と希望を抱いて指折り数えてる次第である。何事もモチベーションは大事であり、何も無ければその時はその時で次の想像を掻き立てるまでよ。

「さて、そろそろ戻りましょうか」

 外周部を丁度一周したとこで、集合場所に戻った。


「ただいま…ってなんだこりゃ!?」

「これはまた…」

 戻ってみると、そこにはウィルやギルの言う所の足手纏いが、ズタボロの状態でウィルやベテラン勢に説教されていた。

「おう、テツにギルか、今は取り込み中だ、俺が手続してやんよ」

 俺達が遠巻きに見ているのに、気づいたカイルがこっちに寄ってきて、手続きと事情を説明してくれた。

「やはり、そうなりましたか、それにしても急な敵前逃亡は無いですね」

 聞くところによると、能力に実力が追い付いていない(おそらく転生で[生命]120以上を自動的に満たしたプレイヤーの事だと思う)者が、後先考えずに前に出て、早々に支給品を使い果たし、以後味方の資源を食い潰しながら、それでいて最大限足を引っ張って、挙句の果てに味方に敵を押し付けて逃げた先で、囲まれて助けを求めた様だ。

「ありゃりゃ、弾避けにすらならんか」

「ありゃダメだな、レイスやゾンビはランタンである程度弱体化させなければ、物理も魔法も属性も通り難いってのに、あそこで説教喰らってる連中は、誰一人としてランタンを持っていやがらねえ。そもそもランタンを装備する事が、条件の一つだったが、数が多いから見逃してたが…。それでも仲間のランタン持ちを支援して、機を見計らって火力を叩き込むなら問題ねえが…連携もからっきしときた、マジで何しにきやがったんだか分かりゃあしねえ」

 これは大層なご立腹だな、気持ちはよくわかるが。

「ね?テツさん、これが現実ですよ」

「そうだな、ちょっと小手先の考えじゃどうにもならんな。ところで、そこまでの失態をやらかしたんだ、連中には何かペナルティでもあるのか?」

「勿論‼あそこで説教喰らってる奴らはこれが初犯じゃねえからな、二度とここの敷居は跨がせねえ、[ジャックオーランタン]のライセンスの取得資格を、永久に剥奪されるぜ、ざまあみろだぜ」

 ほほう、これは良い反面教師だ。周りに故意に、若しくは不必要に迷惑を掛ければ、それ相応の罰が発生する。しかもそれをNPCがプレイヤーに権限として行使できるのか、そんな重要情報がこんな形で知れるなんてな、やっぱ人間ゲームの中であっても真面目に生きるに限るな。


 墓地からホームに戻り、教会に向かう。

「こんにちは、今回はどのようなご用件で」

「装備のカタログが見たいんですけど」

「では、こちらへどうぞ」

 個室へ通され中を見渡すと。

「おお、ちょっとした博物館だな」

「こちらが、上級までの方が使用できる装備となっています」

 ごゆっくりどうぞと、係の人が退出した。

 どうやら、ここにあるのは全てレプリカの様だが、機能しないだけで、見た目や重量、重心などは本物を忠実に再現してるので、手に取ったり身に着けて感触を確かめる。

「にしても、色々と充実してるなぁ…」

 対アンデッド特効のある武具。それ自体が強力な浄化作用のある聖水でありながら、様々な物作りに使える超高純度な祝福された真水(猛毒)。アンデッドの認識を阻害する香。等々バラエティーに富んだ物品の数々に、ワクワクしながら品定めをしていく。

 そして、目当てのホルダーを含め、一通り目を通して気になったのが。

 [ランタンヘルメット][鞣革のホルダー][背負子のホルダー][ランタンドローン][鏡面スーツ]の五つが、俺の琴線に触れた。

 [ランタンのヘルメット]:照射型のランタンが取り付けられたヘルメット。防御力5。コスト15。

 見たまんまな防具で、コストはクソ重いが、手を塞がずに光源の確保と、デバフを与えれるから、何かと有用な装備だと思う。

 [鞣革のホルダー]:革で出来たホルダー。そこそこの重さに耐えられる。コスト20。

 色々あったホルダーの中で、一番スタンダードな物がこれだった。

 [背負子のホルダー]:背負子の形をしたホルダー。装備すると移動速度が下がりが、コストの二倍分ランタンを搭載可能。ベルトタイプだけでは足りないあなたに。コスト20。

 背負子版ホルダーは、ベルトタイプとは別に、バックパック枠で装備できるホルダーで、コストの二倍分搭載でき、移動速度が大幅に低下する。

 [ランタンドローン]:ランタンを搭載したドローン。これは放射型搭載の追走型です。LP50。コスト5。

 文字通りランタンのドローンで、ノーカスタムで、スキル無しだと、簡単に壊されてしまう上に、効果も低いが、コストが軽いのが特徴。今後使う事は無いだろうが、俺の中の少年心をくすぐったので紹介した。

 [鏡面スーツ]:全身鏡面仕上げのスーツ。光を反射したり、相手の姿を移したり出来る。稀に魔法を跳ね返す事が有る。コスト10。

 工夫次第では色々出来そうな玩具だ。これも面白そうだから、で紹介した。

 こうして見てみて、うーん。今すぐは必要ないかな?が結論だな。

 ベルトタイプなら使う機会も有りそうだが、コストが重すぎるし、今の所絶対に手で持ちたい物も無いので、今回は冷やかしだけとなった。


 さて、教会を後にし、研究所で実験に従事、倦怠感はマシになって来たが、相変わらずペナルティが大きく、一時間半は近場でしか動けない状態だ。

 ホームの散歩も悪くないが、金を稼ぎたいので、森に向かう。

「暫く間が有ったから大分様変わりしたな」

 久々に訪れた森の入り口周辺は、綺麗に手が入っており視界も良好。動きやすさも向上していて、採取が非常にし易くなっていた。

 これ幸いと採取を開始し、戦闘を避けながらホームとの間を往復。

 昼飯までの間に薬も抜けて、そこそこの稼ぎになったので、ログアウト。

 買い出しに家事と用事を済ませ、暫く休憩をした。


 色々と用を済ませ、再ログイン。

 どうしよっかな~、ギルドに入り、依頼を物色中に、ベルから連絡が入る。

『こんにちは、今大丈夫ですか?』

「ああ、どうした?」

『良ければ一緒に遊びませんか?』

「良いよ、今どこに?」

「後ろに居ますよ」

「!?」

「こんにちは」

「ビックリした。こんにちは」

 ベルとも久しぶりに会った事も有り、少々雑談。

「では樹海に行きましょうか」

 行き先を任せた結果、東の樹海に決定、早速向かう。

「こんにちは、シルク」

「こんにちは、シルクさん」

「こんにちはテツさんベルさん」

 折角樹海に足を運んだからと、シルクを探してみたら、案の定居たので声を掛ける。ちなみにベルとも共通のフレンドだ。

「テツさんは、久しぶりです」

「…って事があってさ」

「「?」」

「湿地帯に引き籠ってたんだ」

「「へ~」」

 シルクと最近の売れ筋や近況のやり取りをし、パーティーを組む。

「私のビルドは、クラフト寄りなので、使い魔の風評を覆せなくて、中々パーティーを組めないです。この機会に感謝です」

「あ~、やっぱ使い魔運用のビルドは肩身が狭いのか」

「ペットや従魔と比べると、どうしても劣りますからね」

「そうなんです、私は自衛の囮が目当てなので、弱くても良いですけど、他人とパーティープレイとなると、どうしても組む前から敬遠されがちなのです」

 相変わらず使い魔の評価は低い様だ。

「それはお気の毒に…まあ俺も他人事じゃないけどな、でもシルクってクラフトメインで、素材も有る程度は自分で集めれるんだろ?、ぼっちでもそんなに困らないんじゃ?」

「む~ぼっち言うなです。MMOで人と遊びたい位思っても良い筈です」

「まあまあ、僕もテツさんも気にしないんで、今を楽しみましょう」

 てなわけで三人で樹海に入った。


「相変わらず堅い使い魔ですね…」

「私のと全然違うです…」

「まあな、攻撃系防御系のパラーメータもバランスよく選んでるし、[生命]も1800を超えてるからな、そう簡単に倒されちゃあ困る」

「「1800!?」」

 うーん、良いシンクロ具合だ。

「ベルは?」

「僕は400弱です」

「シルクは?」

「200…」

「まあそういう事だな」

 二人共、はあ~といった感じで、俺の使い魔を眺めていた。

 その後も、サルに煽られ、猫科に奇襲されながら、せっせと採取に勤しみ、中々の収穫にホクホク顔で引き返した。

 時間も有るし、ベルとホームに戻ると言ったら、シルクもそろそろホームに拠点を戻すと言って、付いて来る事になった。

「大分素材が集まったから、ホームで色々加工するです」

 ホームについて、軽く荷物の整理をし、今度は南の山に向かう。

「金属繊維も欲しいです」

 と言って、シルクも付いてきたいというので、引き続きパーティーを継続。

 さあ行かん、とその時。

「よう、俺も混ぜてくれよ」

「お、マサか、二人は良いか?」

「僕は構いませんよ」

「私もです」

「んじゃあOKだ」

「へへ、ありがとよ、ところで行き先は?」

 マサに南の山に向かう旨を伝え、OKと言うので、皆で向かった。


 山の麓に到着し、道中連絡を入れておいたパミルと合流した。

「テツさんお久しぶりですね」

「会う人会う人皆に同じことを言われるよ」

 さっきもマサに言われたし、アコに遭ったら彼女にも言われるんだろうな。

「それじゃ行きますか」

 今回五人パーティーと、そこそこ人数が居るので、危険な坑道に足を踏み入れる事にした。

「ちなみに坑道には何が居て、何が採れるんだ?」

「猪や熊が居たり、サソリや百足が出ますね。素材は鉄に銅、粘土にガラスですかね」

 素材は中々だが、確かに危険だな。狭い一本道で、猪と熊の挟み撃ちとか勘弁願いたいな、ただでさえ南山の生物は、ホーム近くの森より強化されてるから、壊滅必至だ。

「それじゃあ俺が先頭で、後は臨機応変で良いな?」

「「「「OK」」」」

 てなわけで坑道に踏み込んだ。


「思ってたより狭くは無いんだな、それに結構枝分かれもしてるな」

 なんか勝手に、人一人が通れる狭い坑道を想像してたが、普通の二車線道路のトンネル並みの広さに、分かれ道も多く、蟻の巣みたいな感じだった。

「む、何か来たぞ」

 カサカサと何かが音を立てて来る。

「これは!百足か‼」

 非常に俊敏な動きで襲い掛かって来たのは巨大な百足で、名前はまんまの大百足。パミル曰く速いし異常にタフで、毒持ちな為、坑道で一番嫌われてる敵だそうだ。ちなみに魔物ではないそうだ。

「うげぇ…寒気がするです…」

 女子なシルクには、中々受け入れ難い見た目だろう。心底嫌そうな顔をしている。

「オラァッ」

 足に噛み付こうとした百足を蹴飛ばし、距離を取るが。

「うわ、噛まれた」

 その一瞬で噛まれ、毒を打ち込まれ、LPが7%程減る。

「ああもう、位置が低すぎて攻撃し難いなぁ‼」

 装備もスキルも整ってないので、足元という低い位置への有効打を持たない俺は、苛立ちを露わにしながらも、前衛を務める。

「俺に任せろ、俺なら大雑把な狙いでも十分当たるからな」

 久しぶりに見るマサは、以前にも増して、その攻撃範囲に磨きを掛けていて、その広い攻撃判定が次々と大百足を捉える。

「止めは私が刺しますよ、フン‼」

 パミルの戦闘スタイルは、破壊力抜群なつるはしの一撃に特化したもので、マサと使い魔の集中砲火で動きが鈍ったとこへ、渾身の一撃を浴びせ、グチャリという音と共に残りの四割を消し飛ばして見せた。いつ見ても豪快だなあ。

「ふう…面倒な相手だな」

「テツさん毒は大丈夫ですか?」

「ああ、まだ九割は有るから平気だ。にしてもARMもHPも貫通するから、人に依っちゃ毒虫系は天敵とも言えるな」

「だな、俺みたいに防具に依存してると、毒や酸は脅威だからな」

 その後は、強化された猪や熊、大蠍に大百足を捌きながら、鉱脈に到達。

「良いですね~、やっぱ危険な代わりに良い素材が取れますよ」

 ウキウキのパミルが、つるはしでシンボルを穿つ。

 俺も以前買ったつるはしを使い、シンボルに鋭い先端を叩きつける。

「お!パミル、金鉱石ってのが出たが、コレ結構貴重だよな」

 大半が粘土やガラスで、時折鉄鉱石に銅鉱石がポロポロと落ちる中、不意に一際輝く鉱石が出たので確かめると、それが金鉱石だった。

「!?テツさん‼大当たりですよ‼それ一個で今なら軽く5万は下らないでしょう」

「マジで!?そりゃいいぜ、[幸運]が仕事したのかな?」

 金は現在DIYの中で、最も需要が多い素材の一つに数えられ、錆びない上に良質な導体なので、あらゆる用途に利用できる、万能素材なのだ。

 だから、砂金も含め、金を貯める事が、このゲームの貯金と言っても過言では無い程、流通価格が安定している。そういう意味でも需要が非常に高い。

 マサ達にもつるはしを貸しながら、採掘を続け、皮や毒針、毒腺に甲殻等の戦利品を含め、コストがいっぱいになったので、パミル含め、皆でホームに帰還した。

 パミルもシルクと一緒で、ここ等で本格的にクラフトに専念する為に、ホームに戻る心算でいたので、俺達に便乗してきたわけだ。

 ホームで皆と解散し、荷物の整理をして、一旦休憩した。


 休憩ご再開し、手持ちの金を使い切り、Lvを54に上げた。

「さて、何処に行こうか…」

 昨日今日で、森の浅層中層、砂金目当てに渓谷、植物系で樹海、鉱石関係で山と、手頃な場所の資源は粗方を取ってしまったので、行き先に迷う。

「しゃあない、森の深層に行くか」

 今の俺なら無理は無いが、ソロではお手頃とは言い辛い微妙なラインだ。

 少しでも楽をする為に、ランタンを二個装備し、最低限のポーションを持って、森に向かった。

「そこのお兄さんちょっと良いかしら?」

 森の入り口で、さあ行くかってタイミングで声を掛けられる。

「ん?俺の事か?」

 周囲にはそれなりに人が居るので、一応確認したが、相手の視線の先には自分しかいなかったので、恐らく俺の事なんだろう。

「そうそう、お兄さん使い魔を7体も連れてるなんて、珍しいことしてるから、思わず声を掛けちゃったわ」

「成程、要件はそれだけで?」

 只の冷やかしなら結構なんで、距離を置く。

「そんなに邪険にしないでお兄さん、私はサチ」

 声の主は、サチと名乗った飄々とした感じの女性だった。

「俺はテツだ、それで?何か御用かな?」

「テツ君ね、どう?私とパーティーを組んでくれないかしら?さっきも言ったけど、君みたいな珍しいビルドの人と遊ぶのって凄い楽しいのよね」

 ふむ、やや馴れ馴れしい感じはするけど、目くじらを立てる程でも無いし、規約の矢鱈厳しいこのゲームで、馬鹿にする為に、態々懐に入って来る奴なんて居ないだろうし、此処はOKしておくか。

「まあ、それなら御一緒しようか」

 まあ奇人変人を近くで見たい、そういった野次馬根性逞しい奴だったとしても、実害は無いだろうし、良いだろう。

「ヤタ!それじゃよろしくねテツ君」

 という事で、サチと森に入った。


「えーと、サチは深層で戦えるか?」

「前衛が居ればイケるわよ」

「一応深層での採取が目的だからな、あわよくば最深部も見てみたいが」

 未だに詳細がハッキリしない最深部、中心には何が有るのか。

 それはそれとして、やはり道中の資源は枯渇したままで、一直線に深層に向かう。

「此処まで来れば流石に採取出来るか」

 そこかしこでシンボルが光を放ち、その存在を主張している。

「グオオオ‼」

 早速熊が襲ってきたので、使い魔を嗾ける。

 その直後、更に二体の熊が現れ参戦、使い魔達と揉みくちゃになる。

 俺もランタンの有効範囲に熊を収める様に立ち回り、その甲斐あって、数分で三体の熊を仕留める事が出来た。

「まあ、こんなもんか」

「…」

 熊の戦利品を確認し、一番近いシンボルで採取を行ってると。

「…何これ…」

「ん?」

「何これ!?、なんで使い魔が熊と張り合えるのよ!?」

 何でって言われても困るがな。

「で?奇人変人マニアのサチさん?満足いただけましたか?」

「奇人変人て…、そりゃ…勿論期待以上だったわ‼」

「そりゃ良かった、気が済んだならもう良いかな?」

 用は済んだな?、と採取を続けようとすると。

「そう邪険にしないでよ、良い物見せて貰ったお礼に、私のビルドも見せたげるわ」

 サチがそう言うので、折角だし見させて貰うか。丁度良い事に熊も現れたし。

「じゃあ見ててね」

 そう言うとサチは熊と一定の距離を保ちながら、何やらばら撒いたようで、そのナニかの周りをウロチョロする事十秒程、熊が倒れ消滅した。

「んん!?なにが起こったんだ?」

「ふふん、どう?これが私の戦い方よ」

 サチからビルドの概要を聞き納得。

「成程、変わり種ビルドって意味じゃ、お仲間だったか」

「そ、こんなビルドだと、どうしてもスタンダードなビルドの人に敬遠されちゃってね…、使い魔を連れて堂々としてる人ならって、そう思って声を掛けたの」

 サチのビルドは、因子の[罠師]を選んだ時点で使えるスキル、<まきびし>の運用に一点特化したもので、まきびしは三ヶ所まで設置でき、毎秒一回固定ダメージを与えるダメージフィールド作れるようだ。

 これだけ聞くと非常に強そうだが、範囲もそこまで広いわけでもなく、敵を一切足止め出来ない為、使ってみると思ったような活躍が出来ない事から、使い魔と同じような評価、下手したら因子って事を加味するとそれ以下の評価かもしれないのが、[罠師]らしい。

「そうなんだ、普通に戦えるビルドに見えるけど、やっぱ初期の悪印象ってずっと引き摺るんだな」

「そうね、私も[罠師]三回重ね取りしたからこそ、今の強さだけど、一個だけだと範囲は狭くてダメージ頻度も遅いし、スキルの効果もしょぼくて…確かに単体で見ると半分地雷なのよね」

 成程、確かに親近感が沸く、最初に比べて俺のサチへの印象は大分好転した。

「なら、良かったらフレンドになるか?奇人変人の同志として」

「良いの?ならお願いするわ、これからよろしくね」

 その場でサチとフレンド登録をし、森の散策を続けた。

 熊や、魔兎や魔犬を相手に戦い、連携を重ねる内に、使い魔ビルドと[罠師]ビルドは相性が良い事が分かった。

 なんせ、この[罠師]の<まきびし>。範囲内ならば、地形や遮蔽物を貫通してダメージ判定が発生するのが判明した。つまり使い魔やパーティーメンバーの後ろに設置しても、範囲内なら攻撃できるのだ。

 しかも毒でも酸でもないのに、防御、バリア三種、HPをもぶち抜いて、LPに固定ダメージ叩き込めるという、耐性持ち低LPキラーの素質を持っている。

 これなら、例えパミルのつるはしの一撃でも突破しきれない、ユキの魔法も通らないような、ジリ貧になる相手でも、<まきびし>の援護が有れば、突破出来る可能性がグッと上がる。その位可能性を秘めたビルドと言える。

 お互いの、ビルドの良さを確認しながら採取を続け、手持ちがいっぱいになったので、ホームに帰還し、後でまた組む約束をして、ログアウトした。

出来たら週末辺りで。

そういえば、いつのまにか、評価ポイントが付いてました。

評価して下さった方、ありがとうございます、励みになりました。

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