さいきょうの○○○○
俺の名前はミミック!
俺は最強で最恐の最凶な存在!
そこら辺に置かれている人食い箱とは訳が違うのだ!
俺は魔王様の懐刀とも言われる存在!
何故ならば……俺は魔王様の玉座の間の目の前に置かれた言わば最後の砦!
勿論、訳が違うのはそれだけじゃないぜ!
俺の宝箱は特別製で他の宝箱よりも一際大きく作られており、更に宝箱は開けやすくとても薄い素材で作られている。
ついでに誰にでも見付けやすいように親切な看板も立てて置いた。
こうしておけば100メートル先からでも気が付くであろう。
そして、極め付きは何と言っても無限の魔力!
魔王様の間より漏れ出した魔力を供給されており、常に最強の死の魔法を唱えられる。
ここまでやって来た愚かな勇者共を一瞬にして一掃してやるのだ!
俺がどれだけ最強で最恐の最凶な存在なのか、よくわかっただろう!
ふふふっ、勇者共のあたふたとした姿が目に浮かぶようだ!
俺はその時がやって来ることを楽しみにしながら今日も箱の中で高笑いを浮かべている。
早くやってこい!愚かな勇者共よ!
はてさて
気合いを込める最強のミミックなのだが……
普通に考えて、そんな見るからに怪しい宝箱を開ける愚か者がいるのだろうか?
ましてや目の前に魔王が待ち構えている。
そんな状況で一体何を求めて宝箱を開くというのだろうか?
少なくとも魔王がやって来た勇者達のために、わざわざ金銀財宝や最強の武具を差し出しておくとは思えない。
そう……
魔王の部屋の前に置かれた宝箱は言わば100%罠なのである。
しかも目立つように一際大きな宝箱……
そんな宝箱を持って帰るのは舌切り雀に出てくる欲張りなお婆さんくらいのものだろう。
ましてや高らかな笑い声が聞こえる怪しげな宝箱……
そんな怪しげな宝箱を開くのは余程の馬鹿か、強者だろう。
少なくともこの世界がリアル思考の世界ならば絶対に開いてはいけない宝箱である。
せめて、この最強のミミックが守っているのが門であるならば、もしくは宝箱の中に魔王の部屋を開く鍵が入っていたならば、出番はあったかもしれないが……
こうして今日も開かれない最強の人食い箱は阿保な勇者を待つのであった……
出番のない人食い箱……まさに無用の長物と言える代物
そんな存在を面白おかしくコメディ風に描いてみました。
最後まで読んでくれた奇特なお方、誠にありがとうございました~♪
※武範様、神ならぬ魔王が降臨しましたw