35/50
135.「私にとって詩は」、「葡萄」、「白い仲間」
「私にとって詩は」
私にとって詩は
感情の激流の中に
ぽつんと流されずにある大きな石で
そこに乗ることで
激流や激流を取り巻くものから
一時的に避難しているというのが正しい
今日は特に
ーーー
「葡萄」
きみは葡萄のように
みずみずしい果実だったね
なのに今は見る影もなくしぼんで
老いさらばえている
なぜあのとき彼に
すべてを委ねなかったのかい?
またたく間に過ぎた青春の時
後悔と共に
きみに残されたのは
吹き付ける木枯らしと
終わらない冬
ーーー
「白い仲間」
鏡を見るまで気づかなかった
白い姿はカラスらしくない
黒い仲間たちはその途端、飛び立つ
ただ黙ってあとを見送る
しばらくして戻った群れは
それぞれに木の実を咥えていた
目の前にそっと置いてひとつ鳴く
この赤い瞳から溢れたのは同じ色の涙




