102.「石化」、「スケジュール」、「傷口」
「石化」
気づけば心の色が闇色になっていた
ある人は言う
「そうさせられてしまったのだ」
気づけば心はすくみあがったまま
「感じないようにすることで身を守っていた」
感じない私は石のようだ
ならば、石になりたい
「自分を第三者としてみてごらん。石ころじゃない。人でしょう」
人は傷つく
もう苦しみたくない
「過去にあった楽しいことをよく思い出して。過去と未来は続いているから、未来も楽しいことが必ずあるよ。感じるからこそあるよ」
よくわからない
難しい
問答は続いている
ーーー
「スケジュール」
元旦は初日の出を見るから
晴れてほしい
なんて
買ったばかりの
スケジュール帳を広げて願う
残暑厳しい秋の日
アイスクリームの載った
アイスコーヒーを飲みながら
ーーー
「傷口」
お前は彼女とのことを隠そうとするが
それさえも計算のうちと知っている
しおらしい態度で手を差し出せば
にこやかな笑顔で応えると思うのか
都合のいいときだけ兄弟の絆を
持ち出して傷口に塩を塗る
彼女に愛されたのは
身代わりだったと
分かっているんだろう
ふたり離れ離れにされていた間に
うまく入り込んだだけ
彼女が永遠に去る
きっかけを作ったお前は
刃を交える理由さえも押しつけてくる
うつむいて唇を噛まなくていい