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113.「治癒」、「仲間」、「演舞」
「治癒」
彼女を亡くした深い傷が
癒えることは生涯ない
それでも誰かと傷を舐め合うのは
まっぴらだった
夜、ひとりになりたくて
仲間から外れると
君は報われぬ恋を嘆き
離れた場所で泣いていた
見過ごすことができず
声をかけただけで
馴れ合うつもりはない
それでも抱き寄せると
彼女が微笑んだ気がした
ーーー
「仲間」
友達じゃない
家族でもない
ひとつの林檎を分け合っただけ
ーーー
「演舞」
軽やかな衣装を身に着けた私が舞うことで
集まった人々は
音楽にあわせ、手拍子をして
顔をほころばせた
私を贔屓にするあなたとの関係を疑う者たちが
悲しい噂を流していたけれど
気にしなかった
今日はいつにも増して心を込めて舞った
あなたの結婚披露宴なのだから




